新連載[初めてのスピーカー交換・完全ガイド]市販スピーカーに換えると音が良くなるのはなぜ?

純正スピーカーの一例。
純正スピーカーの一例。全 4 枚

「スピーカー交換」に興味を抱くドライバーは案外多い。しかし、本当に音が良くなるのか、どんなスピーカーを選ぶべきか、費用はどのくらいかかるのか等々、分かりにくいポイントもさまざまある。当特集では、それらを1つ1つ解き明かしていく。

◆「純正スピーカー」には、多くを望むのは酷。なぜなら…

第1回目となる当回では、「スピーカー交換」が効果的であるその理由を解説していく。

ところで純正オーディオの状況によっては、最初にすべきは「スピーカー交換」ではない場合もある。この件については次回に詳しく解説するが、そのようなケースであっても併せて「スピーカー交換」も行えば、得られる結果はさらに良くなる。

さて、市販スピーカーに換えると音が良くなるのはなぜなのかというと……。

結論から入ろう。答はズバリ、「純正スピーカーには多くを期待できないから」だ。そうである理由は2つある。1つは「純正スピーカーにはコストがかけられていないから」で、もう1つは「軽量化が推し進められているから」だ。

それぞれがどういうことなのかを説明していこう。まずは「コストがかけられていないこと」について。

実は、スピーカーはコストをかければかけるほど音が良くなる。というのもスピーカーは発明されてから100年ほどが経過しているが、主な仕組みは発明当時と変わっていない。このようなローテクな工業製品は得てして、素材や構造にコストや手間をかけるとどんどん性能が上がっていく。仕組み自体がシンプルだと、素材や作りの良さが大きく性能に寄与する。結果、超高級品も出現する。

純正スピーカーから市販スピーカーへと交換した状態の一例。純正スピーカーから市販スピーカーへと交換した状態の一例。

◆価格競争を勝ち抜くためには、削れるコストは削られて当然。かくして純正スピーカーは…

しかしながら、純正スピーカーにかけられるコストには限りがある。なぜならクルマは厳しい価格競争にさらされているので、走行性能や安全性能に直結しない部分は合理的に作られることとなる。スピーカーもしかりだ。実際純正スピーカーは、見た目がチープだ。ゆえに、音質性能もそれなりだ。

対して市販スピーカーは、最廉価なモデルであっても純正スピーカーと比べたらかなり豪華だ。磁気回路も純正スピーカーより大きく、振動板素材にもより上質なものが使われている。

続いては、「軽量化が推し進められていること」について説明していこう。クルマには高い燃費性能が求められる。で、それを達成するには、軽いことがキモとなる。なので、軽くできる部分についてはできる限りの軽量化が図られる。スピーカーもその対象とされている。

そしてそのことも、音質性能を得るための方向とは逆をいく。というのもスピーカーは、良いものほど重くなる傾向にある。磁気回路は強力であった方がドライブ能力が上がるので、性能を上げようとすれば構成パーツは大型化しがちだ。

純正スピーカーの取り付け位置の一例(ツイーター)。純正スピーカーの取り付け位置の一例(ツイーター)。

◆フレームが堅牢だと、磁気回路で生み出されたパワーのロスが減る!

また、フレームも屈強なほど性能が高まる。なぜなら磁気回路で生み出されたパワーのロスが減るからだ。フレームが堅牢だと、空気を震わせて音を伝える重要パーツである振動板の足場が固まるので、磁気回路で生み出されたパワーをそっくりそのまま音に変えられる。

にもかかわらず純正スピーカーは、磁気回路も小さくドライブ能力もそれなりだ。またフレームに至っては金属ではなく樹脂でできている場合も多い。この点においても、高音質化を狙う方向とは逆を行く。

というわけで、サウンドシステムのバージョンアップを図ろうと思ったとき、純正スピーカーには改善すべき余地がかなりあり、そこに手をかけると(コストをかけると)、ガラリと音の質が良化する。

なお、ドア内部は音響的なコンディションが良くない。なのでスピーカーを交換する際には併せてそこのところにも手をかけると、「スピーカー交換」によって得られる利点が増大する。この件についても今後の記事の中で詳しく説明していく予定だ。

今回は以上だ。次回も初めての「スピーカー交換」をサポートする情報を開示していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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