JR西日本、降積雪時の輸送障害対策を改善へ…乗客の降車は60分を目安に判断

乗客救護の様子。
乗客救護の様子。全 4 枚

JR西日本は2月17日、東海道本線(琵琶湖線・JR京都線)で1月24日に発生した降積雪による輸送障害について、今後の対応策を明らかにした。

この輸送障害では19時頃から20時15分頃にかけて向日町、山科、京都の各駅にある計21か所のポイントで不転換が発生し、島本~山科間で15本の列車が駅間で立ち往生した。

20時50分頃にはようやく13本の列車を最寄り駅へ収容する作業が開始されたが、山科駅(京都市山科区)の前後に停車していた2本の列車については、ポイント不転換の解消を優先させたことから乗客の降車が長引いた。

その結果、16人が体調不良により緊急搬送される事態となり、ポイントの復旧も困難と判断されたことから22時50分頃に駅間での降車が決定され、翌朝5時30分までに全乗客の降車が完了した。

避難誘導の様子。避難誘導の様子。

JR西日本によると、乗客の降車決定までに時間を要したのは、夜間であることや足元の悪化により判断を躊躇したことで、「体調不良のお客様に関する情報把握が不十分であった」としており、駅間降車の判断については今後、60分を目安に判断することや、消防署への速報、指令の対応能力向上を徹底させるとしている。

乗客の降車イメージ。乗客の降車イメージ。避難誘導路の状況。列車は狭隘な場所に停車し、小移動などを行なえなかったことから、今後は駅間停車の対応訓練を行なうとともに、最適ルートを選択できるよう、既存の避難誘導マップを改良するとしている。避難誘導路の状況。列車は狭隘な場所に停車し、小移動などを行なえなかったことから、今後は駅間停車の対応訓練を行なうとともに、最適ルートを選択できるよう、既存の避難誘導マップを改良するとしている。

駅間停車の遠因となったJR西日本の運行判断については、気象予測のみに頼っていた態勢を改め、早期注意情報で対策本部の設置を行なうとともに、京都エリアにおける計画運休や間引き運転の考え方を明確にするとしている。

ポイント不転換に陥った点については、2020年度の冬から実施していた「積雪10cm以上」とする融雪器の使用基準を気温主体に改めるとともに、使用の判断を駅長が現地の状況を踏まえて判断するとしている。

また、融雪器そのものは稼働時間の短いものが京阪神エリアに549か所あるため、今後は全域に遠隔式または長時間稼働できるものに置き換えるとしている。

自治体などへの支援要請ができなかったことも問題となったが、これについては関係機関との協力態勢を強化し、幅広い支援を要請するとしている。

この輸送障害を鑑み、JR西日本では長谷川一明社長ら取締役3人の報酬返上や近畿総合指令所長の交替といった処分を発表している。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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