ウクライナ侵攻1年、トヨタ、日産、マツダなどロシア市場から撤退[新聞ウォッチ]

ウクライナ、キーウ市の国立劇場。ロシアの侵攻による死者を追悼するために照明された(2月23日)
ウクライナ、キーウ市の国立劇場。ロシアの侵攻による死者を追悼するために照明された(2月23日)全 2 枚

ロシアがウクライナへの侵略を開始して1年。停戦の兆しはなく、戦争は数年単位で長期化する恐れもあるという。一部の報道によると、すでに双方の兵士約30万人が死傷し、民間人2万人超が死傷とみられ、ウクライナでは1300万人が避難生活を送るという悲惨な状況も続いているようだ。

きょうの各紙は、全紙が1面トップで「ウクライナ侵攻1年」を報じたほか、総合面や経済面などにさまざまな切り口で1年を総括する特集記事を取り上げている。読売は「露から撤退日系加速」とのタイトルで「国内の主な企業はロシア市場から撤退し、経済制裁により、貿易の流れは変わった。各国が液化天然ガス(LNG)を確保する動きが激しくなって電気料金は上昇し、家計の重しになっている」などと指摘。

帝国データバンクによると、侵略前、ロシアに進出していた国内上場企業168社のうち、事業停止や制限・撤退を公表した企業は半数の79社。このうち、事実上の撤退を含む方針を明らかにしたのは27社で、全体の16%に上る。撤退は、昨年8月まで10社にも満たなかったそうだ。

撤退企業の中には、トヨタ自動車が昨年9月、西部サンクトペテルブルクの工場を閉鎖し、現地生産から撤退することを決定したほか、日産自動車やマツダは、ロシア事業を現地企業などに譲渡。いすゞ自動車も現地のトラック生産・販売から撤退する方向で検討を進めているという。各社ともに、現地の販売台数は全体の数%程度にとどまり、販売への影響は限定的だとも伝えている。

朝日も経済面に「ロシアから撤退する日系企業」について取り上げている。タイトルは「去るも残るも苦渋」として「ウクライナ侵攻が長期化し、サプライチェン(供給網)の混乱が続いているほか、人道的な理由も決断を後押しする一方、撤退を決めあぐねている企業も多く、判断は割れている」とも。

さらに、「今回あらわになったのは、海外事業に伴うリスク」としながら「国内回帰の動きが広がる」と報じている。記事ではロシアばかりではなく、中国・上海でのロックダウンで部品の供給などが滞ったことにも触れ、キヤノンやエアコン大手のダイキン工業などが国内回帰を検討しているなどと取り上げている。

その中国リスクといえば、経済安保に向き合う企業も少なくない。中国市場に占めるシェアが大きい某日本車メーカーでは、現地企業との合弁事業の契約が切れるタイミングで生産体制を見直し、新規の投資を見送る準備を始めているという情報もあるほどだ。ロシアよりも中国撤退のほうが影響が甚大とみられるだけに気がかりである。

2023年2月24日付

●ウクライナ終戦見えず、露侵略1年,戦線膠着死傷計30万人(読売・1面)

●露から撤退日系加速、自動車、物流混乱や部品調達難(読売・7面)

●陛下「穏やかな春願う」天皇誕生日ご即位後初の一般参賀(産経・1面)

●「リニア米でも経済効果」ワシントン - NY 1時間構想 JR東海がセールス(東京・3面)

●20世紀型大国の落日、ロシア誤算、戦争長期化の様相(日経・1面)

●テスラ、米で2拠点体制,カリフォルニアに技術本部(日経・7面)

《福田俊之》

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