分解してわかったパワー半導体の戦略、グローバルで生き残るためには

EVにエンジンを載せた新型プリウス

レッドオーシャン化するeアクスル市場

冷却・実装技術が日本の強味だが…

システムアプリケーションを想定した製品開発を

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自動車業界において、半導体というと「半導体不足」というワードが浮かぶ。おもに車載ECU向けのプロセッサやロジック半導体の問題とされるが、パワー半導体も影響がないわけではない。CASE車両においてはコネクテッド機能と同じくらい性能や付加価値を決めるのが電動パワートレイン、つまりパワー半導体が深くかかわる技術だ。eアクスル(e-Axle)やオンボードDCチャージャーでは、RC-IGBT、SiC、GaN、Ga2O3(酸化ガリウム)といった半導体が特に注目されている。

先月開催された「第24回 半導体・センサ・パッケージング展」において名古屋大学 未来材料・システム研究所 山本真義氏が講演を行った。

山本氏は、テスラやプリウスなど国内外の電動車のインバーターなどを分解、解析する研究を続けている。分解した電動車を研究者や業界技術者に公開レクチャーしたり、SNS等でも積極的に情報を発信しているのでご存じの読者も少なくないだろう。各社の電動車を分解・解析した同氏ならではの知見から、パワー半導体のトレンドを分析した。

EVにエンジンを載せた新型プリウス

すでにトヨタの新型『プリウス』を解析している山本氏は、「新型プリウスは先代の設計を受け継いでおり見た目や構造は非常によく似ている。しかし、投入されている技術は各部で進化している。また、最近のハイブリッドは、エンジンにモーターをつけたというよりEVにエンジンをつけたような設計も見受けられる」という。

まず、新型と4代目プリウスは、電気系の出力が53kWから83kWに向上した。そのためPCUも大型化している。ハイブリッドではPCUがエンジンの横に配置されるので、PCUやインバーターはなるべく面積を小さくする方向で「箱」の大きさを小さくするようになる。だが、EVではシステムパッケージの考え方が大きく変わるという。

「空力が重要なEVにおいてフロントアクスルはなるべく薄くしたい。リアアクスルもラゲッジスペース確保のため同様だ。インバータや制御ユニットを薄くコンパクトにしつつ、冷却をどうするかを考える必要がある。例えば基板の冷却ラインの出入り口が左右になっていたら、2枚を背面重ねにして入出力を同じ側にもってくることで配管をシンプルにするといった工夫だ」

レッドオーシャン化するeアクスル市場

さらに日産『アリア』の例を出し、冷却ジャケットの樹脂化も今後のトレンドだろうと予測。樹脂化は軽量化につながる。コストダウンも期待できる。冷却、放熱は高出力化、高電圧化するEVのインバーター他での最重要設計項目だ。PCUのケースや実装だけでなく、パワー半導体の素子構造、回路基板上での部品実装、ユニットの接合技術が問われる。幸いにもこの分野は日本企業の得意分野でもある。

この強みは強化したいところだが、グローバル市場では別の課題もある。山本氏はNIOの例やグローバルでのEV、パワー半導体戦略を示しながら説明する。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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