東風日産だけではない、バイドゥ版ChatGPT「ERNIE Bot」が中国OEMとの連携を加速

広州モーターショー2022で展示された東風日産ヴェヌーシア最新モデル『大V』の新エネルギー車(NEV)版
広州モーターショー2022で展示された東風日産ヴェヌーシア最新モデル『大V』の新エネルギー車(NEV)版全 4 枚

東風日産は2月17日、バイドゥが展開するAIシステム「文心一言(ERNIE Bot)」初のエコシステム・パートナーとなったと発表した。

ERNIEは2019年から導入されたAI言語モデル。その改良型であるERNIE Botは、OpenAIが開発したAIチャットサービス「ChatGPT」と似ていることから中国版ChatGPTとも言われ、内部試験が3月中に完了すると先日発表されていた。

バイドゥApolloも2月20日、公式WeChatでERNIE Botにおける東風日産ヴェヌーシアとの協業を発表した。

両者のプレスリリースでいくつかの違いがみられる。東風日産のものでは、あくまでもバイドゥとの協業であり、「Apollo」は出てこない。また、バイドゥApolloのものは東風日産でも「ヴェヌーシア」を強調したものになっている。東風日産のものには「ヴェヌーシア」は出てこない。

ERNIE Botのエコシステムは、バイドゥによればすでに400社以上となっているという。自動車に限らず、家電やネットサービスなど豊富な企業が集まっていると考えられる。その中で自動車関係はバイドゥApolloとしてERNIE Botを打ち出していくようだ。また、東風日産もそもそも電動化やインテリジェント化の先駆的な取り組みはすべて「ヴェヌーシア」に集約していく方針を示している。両者のプレスリリースの違いは、それぞれの前提による軽微なものなのかもしれない。

コネクテッドに注力してきたヴェヌーシア

それでは、どちらかと言えばすべてを網羅しているバイドゥApolloのプレスリリースを見ていく。前提として、バイドゥApollo及びバイドゥはERNIE Botでの他社協業ですでに多くのリリースを発しており、その文面はほぼ同一。今回の東風日産ヴェヌーシアとの協業プレスリリースも例に漏れない。

注目なのは、バイドゥがヴェヌーシアの東風日産における位置付けを詳述していること。もちろんバイドゥがヴェヌーシアの東風日産における位置付けを把握しているとは思えず、東風日産側から得た材料をもとに構成していると考えられる。その内容は、広州モーターショー2022で東風日産が発表したヴェヌーシア戦略と同一だ。

それによれば、「東風日産のインテリジェント化や電動化における先陣かつ実践者として、東風日産ヴェヌーシアは中国国内で最も早くからコネクテッドを探索してきたブランドの一つであり、中国ユーザーのニーズを満たすために、不断にコネクテッドシステムをグレードアップしてきた」「東風日産はヴェヌーシアを中心として、その厚い技術的蓄積を基に、完全に自主でコントロール可能なコネクテッド・プラットフォームを構築。より多くのパートナーと共同で、東風日産コネクテッド・エコシステムを作り出してきた」という。

また、「東風日産のコネクテッド搭載車はすでに400万台を超え、これを基盤にヴェヌーシアはコネクテッドのみならず、FCV含むパワートレインの拡充なども進めていく」とし、「今回ヴェヌーシアがERNIE Botエコシステムに加わったことは、対話式言語モデル技術の中国インテリジェント・ヴィークルのシチュエーションにおける成功を示す」とした。

ERNIE Botとの協業を発表した中国OEMは?

バイドゥApolloが発表しているOEMとの連携は東風日産ばかりではない。時系列でみてみると、バイドゥApolloは2月16日、中国国有OEM大手・東風汽車の高級新エネルギー車(NEV)新ブランドである「嵐図(VOYAH)」と前日15日までに協業したと発表した。


《有田直矢@インサイツ》

アクセスランキング

  1. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  2. 「みんなガソリン車が欲しいんだよ…」フィアットの新コンパクト『グランデパンダ』、6速MT登場に日本のファンも反応
  3. メルセデスベンツ『GLC』新型、インテリア先行公開…史上最大39.1インチディスプレイ採用
  4. 4WDマニア集団の本気ホイール! 4x4エンジニアリング「ブラッドレーフォージド匠」20インチで輸入車SUVが唯一無二の存在感を纏うPR
  5. ホンダアクセス、6kW出力の家庭用EV充電器を発売…『N-ONE e:』などに対応
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る