タービン交換はハードルが高い!? 実は身近になったターボ車のパワーアップチューン~カスタムHOW TO~

タービン交換はハードルが高い!? 実は身近になったターボ車のパワーアップチューン~カスタムHOW TO~
タービン交換はハードルが高い!? 実は身近になったターボ車のパワーアップチューン~カスタムHOW TO~全 8 枚

ターボ車の利点はパワーを引き出しやすいこと。とくにタービン交換は大きくパワーを出せる。しかし、いろいろと面倒だったこともあるが、最近の純正交換タービンならサクッとパワーアップも可能なのだ。

◆ターボ車はパワーアップしやすい
せっかくだからその利点を楽しむのも手

排気ガスの力を使って、エンジンに空気を押し込んでパワーを出すターボ。最近では小さなエンジンにターボエンジンを組み合わせたダウンサイジングターボエンジンが多い。そうでなくても、大排気量NAよりは、低中排気量エンジンにターボを組み合わせていることが多い。ターボエンジンのチューニング的なメリットはパワーが引き出しやすいこと。ノーマルのブースト圧を20%ほど高めるだけで20~30psは引き上げることができる。もともと3.8LエンジンのGT-Rであれば、このブーストアップと言われるチューンだけで50ps程度は上げることができる。しかも、それが最近のクルマではECU(エンジン・コントロール・ユニット)の書き換えだけでできることが多い。昔はブーストコントローラーを取り付けたが、最近はECU内でそういった制御ができる車種も多く、より手軽にパワーアップが可能になっている。

そして、その上に位置するのがタービン交換だ。これは排気ガスを受けてタービンを回し、エンジンに空気を押し込むターボチャージャーそのものを交換することを言う。大きな羽を持つタービンほど、より大きな風量を持ちエンジンにたくさん空気を押し込むことができるのでモアパワーが狙えるのだ。その引き換えとしてデメリットも存在する。それがタービンが回りにくくなること。タービン自体が大きく重くなっているので回りにくい。なので、これまで例えばノーマルタービンでは2000rpmから過給していたとして、交換した大きなタービンではそのブースト圧が掛かり始める回転数が2500rpmや3000rpmのように高い回転でないと過給できなくなってしまうのだ。

そうなると街乗りではターボによる恩恵がなかなか使えず乗りにくい。高速道路でも少し回転が落ちたらギアを下げないと過給を得られず乗りにくくなる。ターボエンジンは一般にNAエンジンよりも圧縮比が低い。これは過給を前提に下げてあるので、過給が掛からない低回転ではただの低圧縮エンジンになってしまい、NAエンジンよりもむしろ遅く感じられる。

つまり低回転はスカスカ。中回転もスカスカ。高回転でやっとタービンが回りだしてエンジンに過給。すごいパワーを炸裂させるが、あっという間にレッドゾーンに近づいてしまいシフトアップを余儀なくされる。美味しい回転はほんの1500rpmしかない! というようなことも起きるのだ。

そんな乗りにくさを解消するためにカムシャフトを交換してもっとパワーを引き上げ、排気量アップしてタービンが低回転から回るようにする、というような大掛かりなチューニングが行われていた。そのイメージからタービン交換といえばとんでもないコストが掛かり、玄人だけが納得できるチューニングだと思われていた。

◆近年は純正交換サイズのタービンが増えてきている

しかし、そんな苦労をせずともモアパワーが引き出せる。それが最近増えている純正交換サイズのタービンだ。大きさは純正タービンに比べて少し大きい程度。あまり大きくなると取り付けスペースにも困ってしまうが、純正とほぼ同サイズなのでそのまま取り付けられる。それでいて内部の羽などは大きくなっているので、ブーストアップチューニングでは到底無理なピークパワーを実現するのだ。スイフトスポーツを例にするとノーマルで140ps。これがブーストアップで160~170psまで高められる。純正交換サイズのタービンで180~190psくらい。さらに大きなビックタービンで210~220psほどが狙えるのだ。

いずれも取り付けとECUのセッティングで出せるパワーなので、コストパフォーマンスが高いのが特徴。ブーストアップで約10~15万円。タービン交換では約10~15万円のECU書き換え+タービン代約20万円でトータル30~35万円ほど。それでノーマルの1.5倍のパワーが狙えるのはターボ車だけに許された特権とも言えるリーズナブルさなのだ。

気になるエンジンライフもこの程度のパワーアップであればほとんど変わらない。実際にタービン交換車でコンロッドが強度不足で折れたなどのトラブルはまず起きない。きちんとメンテナンスしておけば、ノーマルタービンと変わらないエンジンライフが期待できる。

とはいえ、オイル交換のみで50万kmや100万kmを目指す方にはオススメできない。そういったライフを期待される方はノーマルエンジンとタービンがオススメ。どこでそんなパワーを使うんだ、そんなパワーは素人には扱えないという方もノーマルのまま乗るのがオススメ。パワーアップはその扱いきれないパワーを楽しむ大人の嗜みなのだ。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  4. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る