N-BOXからS660、ステップワゴンやフィットまで…「モデューロX」のオーナーが10周年を祝う

Modulo X シリーズ10周年記念モーニングクルーズ
Modulo X シリーズ10周年記念モーニングクルーズ全 38 枚

ホンダアクセスが手がけ、発売10周年を迎えたホンダ純正コンプリートカー、モデューロX。そのオーナーが集う「Modulo X シリーズ10周年記念モーニングクルーズ」が、東京の代官山T-SITEで3月5日に開催された。

モデューロXは2013年1月にデビューした『N-BOX』から、『N-ONE』『ステップワゴン』『フリード』『S660』『ヴェゼル』、そして2021年に登場した『フィット』にわたる7車種で展開を続けてきた。多数の応募者から抽選で参加が決まった幸運なオーナーを出迎えたのは、モデューロXの開発アドバイザーを務める土屋圭市氏(レーシングドライバー)、開発統括の福田正剛氏(ホンダアクセス)、完成車性能担当の湯沢峰司氏(ホンダアクセス)という、まさしく開発中枢の面々だ。

2013年、N-BOXから始まったモデューロXの歴史2013年、N-BOXから始まったモデューロXの歴史

早朝からの開催にもかかわらず、会場には歴代の様々なモデューロXが続々と訪れ、みるみる駐車場を埋めていった。そして、そこかしこではじまったのがオーナー同士の交流。互いの愛車を見せあったり、写真に収めたりしながら、会話や情報交換に花を咲かせていた。

Modulo X シリーズ10周年記念モーニングクルーズModulo X シリーズ10周年記念モーニングクルーズ

そんな会場内を、文字通りクルーズするように巡っていたのが、土屋氏をはじめとする開発陣。来場者一人ひとりへ気さくに声をかけ、日々運転していての感想や、車両に対する要望など、オーナーの生の声へ真剣に耳を傾けていた姿には、モデューロXという共通項で結ばれた絆を感じさせる。とくに土屋氏は、前日に鈴鹿サーキットで開催されたイベントから帰京しての参加で、手塩にかけたコンプリートカーへの強い思い入れが表れていた。

◆モデューロXならではの空力効果

このモデューロXにおいて重視されているのが、「実効空力」という考え方。これはレーシングスピードにおける空力性能とは異なり、日常の速度域でも体感できる空力効果を指す、ホンダアクセス独自の解釈だ。四輪の荷重を均等にするべくリフトの前後バランスを均等にし、それに最適化した足回りを組み合わせることで、無駄なヨーを抑えた外乱に強い走りを生み出すのである。これについては、オーナーからも実感の声が聞かれた。

6時間ほどかけて来場したという平泉ナンバーの『ステップワゴン』に乗る岩村さんは、「いろんなクルマに乗ってきましたが、高速道路の120km/h区間などもまっすぐ走ってくれるので、移動が楽」だと語る。「フル乗車しても大きくふらつくことなく安定していて、同乗者がビクッとするような動きが出ることもないです」。

ステップワゴン モデューロX で参加した岩村さんステップワゴン モデューロX で参加した岩村さん

また、こちらも6時間ほどの道のりだったという神戸ナンバー『フリード』に乗る福原さんは、日頃ご夫婦で運転しているとのこと。「妻が通勤に、僕が休日にと、毎日使うのですが、ふらつかないので乗りやすいですね。空力、効いてるんでしょうね」。長時間の移動後にもかかわらず、満面の笑みで元気にはしゃぐ幼い娘さんが、快適なドライブだったことをなにより物語っていた。

フリード モデューロXで参加した福原さんフリード モデューロXで参加した福原さん

◆「乗る人の目線」で開発

モーニングクルーズに続いて開催されたのが、「Modulo X シリーズ10周年記念スペシャルトークショー」。カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏の司会で、土屋氏、福田氏、湯沢氏がこの10年の歩みや、開発の裏側などを語った。

Modulo Xシリーズ10周年記念スペシャルトークショーModulo Xシリーズ10周年記念スペシャルトークショー

福田氏によれば、土屋氏は「お客様をよく見ている」とのことで、技術陣が走行性能の追求へ傾きそうになるところへ、ユーザーのニーズを踏まえたセッティングを提案してくれるという。たとえば、ステップワゴンは運転する人間が楽しいだけではなく、後席の同乗者も快適に過ごせるクルマを重視したが、フリードはもう少しハンドリング志向に寄せ、スポーツカーからの乗り換え需要も見込んでいるそうだ。「レーシングカーならタイムだけを見てセッティングするから簡単。でも、4ドアは後ろに乗る人がメイン。ドライバーだけが満足するんじゃダメなんだよ」。ユーザーからはクルマ酔いしないといった、快適性を評価する声も寄せられているとか。湯沢氏もまた、そんな土屋氏のアドバイスを「レーサーではなくお客様目線」だと評する。

ホンダアクセスが純正用品に忙殺される中、モデューロXは専業チームを設定せず、有志が集まって開発しているが、デザイン担当者さえもテストコースを走り、土屋氏に言わせれば「モデラーが泣きながらパーツを削って」調整を繰り返すなど、入念な作業が繰り返される。「ポルシェにできることが、オレたちにはできないのか」と高い要求を突きつけ「クルマ作りが好きでなきゃやめちゃうんじゃないか、っていうくらいの苦労を重ねてきた10年」と振り返る土屋氏だが、湯沢氏によれば、現場では「タイヤ交換も手伝ってくれる」という。このチーム一丸の姿勢が、モデューロXを生み出しているのだ。

今回、福田氏はユーザーから数多く聞くことができたという有意義な意見は、今後のモデューロXの進化を促すだろう。また土屋氏は「抽選ではなく、すべての『モデューロX仲間』が集まれるようなイベントを開催したい」と語った。作り手とユーザーとの一体感が、強く印象に残る一日となった。

Modulo X シリーズ10周年記念モーニングクルーズModulo X シリーズ10周年記念モーニングクルーズ

《関耕一郎》

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