[音の極め方]濃厚&強力な低音、サブウーファーの「多発使い」で楽しむ!

「サブウーファー」を“多発使い”したオーディオカーの一例(製作ショップ:モービルサウンドテクノロジー<東京都>)。
「サブウーファー」を“多発使い”したオーディオカーの一例(製作ショップ:モービルサウンドテクノロジー<東京都>)。全 9 枚

カーオーディオでは、「とことん音にこだわる」という楽しみ方も実践可能だ。当特集ではそれを推奨し、その具体的な方法を1つ1つ紹介している。今回は、「サブウーファーの多発使い」というアプローチについて考察する。

◆「サブウーファー」は“単発使い”した方が合理的!?

カーオーディオではドアに取り付けるスピーカーのサイズ的な問題で、超低音が不足しがちだ。ゆえに、口径が大きく超低音再生が得意な「サブウーファー」が使われている。なおスピーカーは普通、左右に1組ずつ用意されるが、「サブウーファー」は2発ではなく“単発使い”されることが多い。つまり、ステレオではなくモノラルで鳴らされるのが一般的だ。

そうである理由は以下のとおりだ。サブウーファーが担当する帯域は大体60Hz前後以下である場合が多い。なお60Hzという音は、空気中を進むときに行われる上下運動を1秒間に60回繰り返す。で、その1回分の長さ、つまりは1波長は約5.67mもある。音は1秒間に約340m進むわけなので、それを60で割ると大体そのくらいの長さとなる。

このように1波長が長い音は、車室内という狭い空間では特にステレオ感が出にくい。

それならばモノラルで鳴らした方が合理的だ。わざわざ2発用意するよりコストも手間もかかりにくい。ゆえに、“単発使い”されることが多くなっている。

「サブウーファー」を“多発使い”したオーディオカーの一例(製作ショップ:Jクラブ<島根県>)。「サブウーファー」を“多発使い”したオーディオカーの一例(製作ショップ:Jクラブ<島根県>)。

◆ハードルは高いが、だからこそ得られるメリットも大!?

しかし音を極めようとするときには、そこを敢えて“ステレオ使い”されることもある。ステレオ感が出にくいとはいえ、音源には超低音もステレオで録音されている。それは事実だ。そしてより高音質な再生を目指す際には、「原音に忠実な再生」が追求される。その観点で言えば、ステレオで鳴らした方が妥当だ。

実際、そう考える愛好家は少なくない。ただし、実行のハードルは高くなる。まず「サブウーファーユニット」を2発用意しなければならず、サブウーファーボックスも2つ必要になる。しかも搭載スペースも多くを取られる。ボックスを1つ積むだけでもそこそこ積載スペースが削られるが、それが2つともなると結構広い面積が食われてしまう。そして、パワーアンプのch数も多く要る。コスト的にも手間的にもスペース的にも負担が大きくなりがちだ。

そして、コントロールも難しくなる。発数が増える分だけケアすべき項目も増え、そもそも超低音はステレオ感を出しづらいことも確かなので、“ステレオ使い”のメリットを引き出すにはより高度なサウンドチューニング技術が求められる。

でも、上手くいくと再現性がより豊かになり臨場感もさらに増す。挑戦する意味は決して小さくはない。

「サブウーファー」を“多発使い”したオーディオカーの一例(製作ショップ:LCサウンドファクトリー<栃木県>)。「サブウーファー」を“多発使い”したオーディオカーの一例(製作ショップ:LCサウンドファクトリー<栃木県>)。

◆ビートの効いた音楽が好きなら“多発使い”は超有効!

なお、「サブウーファー」の“多発使い”は、サウンドにパンチ力を出したいときにも有効な選択肢となる。特にビートの効いた音楽が好みであれば、“多発使い”は利を放つ。その場合には、“多発使い”であってもモノラルで鳴らされることが多い。そして敢えて大口径モデルが選ばれて、それを大出力のパワーアンプを使って鳴らされたりもする。結果、空気がしっかり震え、体の芯に響く重厚な低音を楽しめる。

ところで、積載スペースの関係もあり小口径の「サブウーファー」が選ばれることもあるが、その際に敢えての“2発使い”が実行されることもある。ちなみに小口径の「サブウーファー」は、タイトで小気味良い低音を鳴らすのが得意だ。それを2発使うとその利点はそのままに量感を増やせる。長所をキープしながら短所を補える、というわけだ。

なお先述したとおり、「サブウーファー」の“多発使い”はハードルが高い。しかし何かにこだわろうとするときには得てして難易度は上がっていく。そしてそれを乗り越えるからこそ、普通のやり方では得られない利点を享受できるようになる。低音の鳴り方にこだわろうとするときには、「サブウーファー」の“多発使い”という手があることも思い出そう。

今回は以上だ。次回以降もさまざまな“音の極め方”を紹介していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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