JR東日本は4月4日、「羽田空港アクセス線」(仮称)の本格的な工事を6月に開始すると発表した。
同線は、東京都港区芝浦1丁目(田町駅付近)を起点に、同大田区羽田空港三丁目(仮称・羽田空港新駅)を終点とする約12.4kmの区間で、2016年に国土交通省が発表した「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」において、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として建設方針が示されたことを受けて、羽田空港と埼玉県や千葉県方面へシームレスに往来できることを目指して計画された。

計画では、山手線の西側(新宿駅方面)から乗り入れる「西山手ルート」、山手線の東側(東京駅方面)から乗り入れる「東山手ルート」、東京臨海高速鉄道りんかい線(新木場駅方面)から乗り入れる「臨海部ルート」の3ルートがあり、2021年1月には各ルートが合流し、羽田空港新駅へ至る「アクセス新線」と呼ばれる新規建設区間約5kmの第1種鉄道事業が許可されている。

東京方面からアクセス新線へのアプローチとなる東山手ルートについては、休止中の東海道貨物線(大汐線)を改良して田町駅付近~東京貨物ターミナル付近間約7.4kmが整備されることになっており、2023年1月にはその鉄道施設変更が認可された。さらに、アクセス新線における工事施工認可も3月に受けており、本格着工への道筋が出来上がっていた。


東山手ルートは、東海道線接続区間約1.5km、大汐線改修区間約3.4km、東京貨物ターミナル内改良区間約2.5kmに分けて整備が進められ、東京貨物ターミナル内改良区間では、JR東日本が保有している用地を活用して、運行に必要な車両留置線や保守基地線が整備される。


東山手ルートに続き、東京貨物ターミナル付近から新規建設となるアクセス新線区間は、公共施設や道路、運河下を通過。最大深度約50m、延長約4.2kmの複線シールドトンネルを構築した地下ルートとなる。
工事費は概算で約2800億円が見込まれており、2031年度の開業を予定している。開業すれば、東京駅~羽田空港間の鉄道アクセスは現行より12分程度短縮した18分程度になるという。
