「後席シートベルト」の装着率は今なお低い! その危険性とは?【カーライフ 社会・経済学】

「後席シートベルト」の装着率は今なお低い! その危険性とは?【カーライフ 社会・経済学】
「後席シートベルト」の装着率は今なお低い! その危険性とは?【カーライフ 社会・経済学】全 1 枚

カーライフにダイレクトに関係する「社会・経済トピックス」を横断的に発信している当コーナー。今回は、「後席シートベルト」について考察する。なおこの装着は2008年の道路交通法の改正により義務付けられたが、その装着率は今どうなっているのかというと……。

現状を示すデータが、今年の2月にJAFより発表されている。JAFでは、昨年の10月11日から12月3日までの間、警察庁と合同で「シートベルト着用状況全国調査」を実施した。それによると、「後席シートベルト」の装着率は、一般道路では42.9%、高速道路では78.0%だったとのことだ。

ちなみに高速道路においてのこの数字は、2002年の合同調査開始以来、もっとも高いものだったとのことだ。しかし、それでもまだ80%を下回っている。そして一般道路においては50%までの隔たりが今なお小さくない。

ちなみに過去の調査結果を紐解くと、一般道では2007年には8.8%にすぎなかったところが、法改正が成された2008年には30.8%にまで上昇した。しかしここからの伸びは鈍い。少しずつ増加したものの、15年を経て10%強の増加にとどまっている。

一方高速道路での使用率も、2007年の時点で13.5%だったところから2008年には62.5%にまで急上昇した。しかし、そこから伸び悩んでいることは一般道路での結果と大きく違ってはいない。この15年間で15%ほど伸びたにすぎない。

ちなみにJAFでは、後席シートベルトを着けないことの危険性は主には3つあると呼びかけている。「本人致命傷(後席乗車)」、「同乗者致命傷(前席乗車)、「本人車外放出」、これらだ。

実際JAFでは、「後席シートベルト非着用時の危険性」という実験を行いその結果も公表している。それは以下のように行われたとのことだ。実施された場所は「日本自動車研究所 衝突実験場(茨城県つくば市)」。テスト車両(ミニバン)の前席と後席(2列目)にダミー人形を各2体乗せ(後席運転席側のダミー人形のみシートベルト非着用)、55km/hでフルラップ前面衝させて、そのときのダミー人形の挙動とHIC(頭部傷害基準値)が計測されている。

その結果は次のとおりだ。シートベルトを着用していない後席のダミー人形は前方に投げ出され、運転席のヘッドレストに頭を打ち付け、さらにシートごと運転席ダミー人形を押しつぶしている。さらに、ヘッドレストを介して運転席ダミー人形の後頭部に衝突し、HICは2192まで上昇。運転席のダミー人形のHICも1171となっている。一方、シートベルトを着用していたダミー人形は、シートベルトで上体をしっかりと拘束され、投げ出されることはなかった。

この結果を見ても、後席シートベルトをするかしないかで被る危険性の違いが相当に大きいことが良く分かる。そしてさらにいえば、同テストでは車外に放出されなかったが、それが起こると危険度は一層高まる。一般道であっても命に関わる可能性はかなり高い。

さて次回の記事では、後席シートベルトの使用率が低い理由の巧拙と、使用においてのコツを解説していく。乞うご期待。

《太田祥三》

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