G7環境相会合が閉幕---化石燃料段階的に廃止、EV導入目標は見送り[新聞ウォッチ]

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主要7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相会合が、4月15、16日の2日間、札幌市で開かれ、共同声明には「2050年に温暖化ガスの排出実質ゼロの目標を再確認し、排出削減対策を講じていない化石燃料の段階的廃止を盛り込んだ」という。

きょうの各紙も、そのG7環境相会合について詳しく取り上げているが、このうち、読売は自動車のCO2排出量の削減目標に焦点をあてて報じている。それによると、「欧米が求めたEVの導入目標は見送り。新車以外にも目を向けることで、低燃費技術に強みを持つ日本が議論を主導した形だ」として、会合後の記者会見で西村経済産業相が「既存の車も含めて全体で排出量を減らす方向性を認識できたことは非常に大きな意義がある」と述べ.るなど、「成果を強調した」としている。

一方で、朝日は「化石燃料『廃止を加速』抜け穴なお」というタイトルで、「石炭火力の廃止年限や自動車部門での目標では、日本の消極的な姿勢もあり、大きな進展はなかった」と強調。

毎日も「日本は踏み込み不足」として、「交渉過程では脱炭素に向けた議長国・日本の提案が不十分だとの指摘も相次ぎ、対策強化に後ろ向きの印象を残した」。さらに「日本は今後、気候危機解決の道筋を示すことができるのか」などと指摘する。

その毎日の記事では、米国は「今後10年でZEVの小型車市場シェア50%」を提案。英国は「世界の主要市場で35年までに新車の全販売台数をZEVにする」とするなど、期限付きの数値目標を盛り込むよう圧力を強めたという。

これに対して、日本は、日系メーカーが強みを持つハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)といった内燃機関(エンジン)車を含めて、「G7が保有する車から出るCO2排出量を35年までに少なくとも00年比で50%減らす」という目標を提案。その上で、結局、ZEVに関する共通の数値目標の設定には至らず、日本が提案した削減目標は、共同声明にG7全体で目指すとは明記されず、「50%減という可能性に留意する」という弱い表現にとどまったとも伝えている。

こうしたなか、日経は、「守り」に終始した議長国から、世界の脱炭素をけん引する「攻め」へと転換していく必要があるなどと伝えており、脱炭素に向けて欧米からの圧力は続くとも指摘している。

2023年4月18日付

●内閣支持上昇47%、本社世論調査、不支持を上回る(読売・1面)

●車のCO2排出50%減、G7エネ相声明、35年まで、エンジン車含め目標(読売・7面)

軽自動車「ルークス」日産が一部改良、6月下旬発売(読売・7面)

●化石燃料「廃止を加速」抜け穴なお、G7環境相声明(朝日・3面)

●次世代太陽電池ホンダも、軽量・低コスト、EV時代に備え開発再び(朝日・7面)

●EV普及のブレーキ、米政権肝煎り、税優遇措置条件(毎日・6面)

●EV協定ルール整備の手本に、米経済・科学担当公使(産経・2面)

●物流迫る「2024年問題」荷主効率化を模索、共同輸送、配送頻度減も(東京・2面)

●Opinion、トヨタと「革新のジレンマ」(日経・7面)

●中国で電動車拡大、マツダ、長安汽車と開発(日経・15面)

●タイヤ粉じん「重要課題に」ミシュランCEO EU新規制巡り(日経・15面)

●パナ、EV向け投資で攻勢、米オクラホマに電池新工場検討(日経・15面)

《福田俊之》

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