先行販売が始まったタタメルバイクの自動充電システム『ハコベルコンテナ』の展示が新宿住友ビル三角広場(東京都新宿区)で開催中のイベントで行われている。
トランスフォーマーのように箱形に変形するタタメルバイクを自動で格納・出庫し、太陽電池パネルやEVからのV2Hで充電する。タタメルバイクに負けずに見ているだけでギミックが楽しいシステムだが、同時に新しいモビリティのあり方も提案している。
◆ギミックが面白いだけではない社会提案
ハコベルコンテナは、軽トラックで運搬できるサイズのボックスで、今回の展示では3台のタタメルバイクを収納し、充電するというコンセプトを提示している。リモート操作で前面のパネルが開き、そこにタタメルバイクを置くと電動で内部にバイクを引き込んで充電。充電が終わったら電動で取り出すことができる(今回はコンセプト展示なので、実際のバイクの出し入れまではデモしていない)。
内部にはバッテリとタタメルバイクへの充電システムがあり、天面には太陽電池パネルがあって蓄電池への充電を行う。太陽電池パネルは電動で立ち上がり、なるべく最適な角度で太陽光を受けられるようにできる。
天面には太陽電池パネルを搭載さらに、オリジン社のEV充放電器『POEC』も搭載し、EVからハコベルコンテナに充電できる。今回使用しているバッテリは2.5kWh程度で、一般的なBEVに搭載されているバッテリが数十kWhであるのに対してかなり小さい。なので、太陽電池では電力が足りないときは、一般的なBEVをハコベルコンテナへの給電車として使用することも可能になる。
今回のハコベルコンテナに搭載されているPOECはEVと据え置きバッテリの間で充放電できるコンパクトなV2xシステムだ。今回はコンセプト展示だが、ハコベルコンテナのビジネスとしては、駅のようなインフラのターミナルに置いたり、行政や企業へモビリティシステムとして納品するBtoBのモデルを考えているという。
展示されたパネルでは、企業が事業所に設置して近距離の足としてタタメルバイクとハコベルコンテナを運用すれば、再生エネルギーを使用したサスティナビリティのある移動手段を利用できるとしている。
ハコベルコンテナのコンセプト説明また、災害時のBCP(事業継続計画)の観点でも、太陽電池とV2xによるシステムの採用は一種の保険になり得るかもしれない。
近年は、企業もカーボンニュートラルやサスティナビリティへの対応が社会的な義務であると考えられるようになってきている。わかりやすい社会的メッセージあり同時に移動のランニングコストを節約できるソリューションとして興味深い提案と言えるだろう。
◆技術とプロデュース力のデモンストレーション
ハコベルコンテナの展示を行っているのは、自動車やEV関連の製品を多く扱うサプライヤーであるオリジン社。変形する原付バイクであるICOMA社のタタメルバイクのオーダーメイド販売でオリジン社の塗料が使われるなど、もともと関係が深い。今回もタタメルバイクの展示を同時に行っている。
ハコベルコンテナは、ICOMA社と共同で提案する新しいモビリティソリューションの提案だが、同時にオリジン社の技術デモも兼ねている。
前出のEV充放電器『POEC』はV2H(Vehicle to Home)向けの製品であるし、その他にも電動パネルの可動部分に同社のトルクリミッタなどの部品が使われている。
太陽電池パネルやバッテリは他社製品を採用しており、ユーザーニーズに合わせてカスタマイズしていく。こうした自社製品と他社製品を組み合わせて新しいソリューションをパッケージにしてプロデュースできる点もアピールしている。
納品先のニーズによって、ハコベルバイクの格納台数を変えたり、太陽電池パネルやバッテリの仕様をカスタマイズしていくことになると考えている。今回はエネルギー密度が高いリウチムイオンバッテリを使用しているが、設置面積が広いなどの条件があれば鉛蓄電池の採用も考えられるという。
ハコベルコンテナとタタメルバイクの展示は、新宿住友ビルの三角広場で開催中の「Bicycle-E・Mobility City-Expo 2023(自転車- 電動モビリティまちづくり博)」のオリジン社ブースで行われている。開催は5月12日(金)から5月13日(土)まで。