【KTM 890SMT 試乗】“KTMだけど”ニュートラルさが特徴!? 操る楽しみ溢れ出る…鈴木大五郎

KTM 890SMT
KTM 890SMT全 42 枚

オーストリアの名門KTMから2023年モデルとして『890SMT』が登場。イタリア・サルディーニャ島で行われた国際試乗会にてその走りを検証した。

KTM 890SMT 詳細画像

SMTとは「スーパーモタード」と「ツーリング」を意味し、KTMは過去にも『990SMT』というモデルをリリースしていた。10年ぶりに復活したSMTは『890アドベンチャー』をベースに前後ホイールを17インチに換装。それに合わせてサスペンションを適正化し、デザインもよりスリムでスタイリッシュなものとされている。

ツーリングという名がついているものの、鈍重なツアラーにはなっていないところがさすがKTMである。軽快かつパワフルで、意のままに操れるキャラクターはやはりスーパーモタード的であり、かといってスパルタン過ぎないツアラーとしての顔も持つ。

KTM 890SMTKTM 890SMT

◆大幅に増えた889cc並列ツインの扱いやすいトルク

エンジンは890アドベンチャーに搭載されている889ccの並列ツインエンジン。同社初となる並列ツインエンジンを搭載した790シリーズから排気量を増やしたと同時に様々な改良を施している。最高出力は当然ながら、ここで注目したいのは扱いやすいトルクが大幅に増えていることである。

かつてのKTMモデルでは、数値的にはトルクフルであっても、中途半端なアクセル開度では快適とは言えないエンジンキャラクターのものも少なくなかった。しかしこちらは市街地でのほぼパーシャル状態であるとか、渋滞路等で多用する低回転でのオンオフ領域においてもスムーズなパワーデリバリーを持っており、身構えることなく日常で使えるキャラクターとなっている。

KTM 890SMTKTM 890SMT

とはいえ、軽量な車体に105馬力のパワーは侮れないもので、公道においては不満に思うことはないであろう。トラコンをカットしてアクセルを全開にすれば2速でも高々とフロントホイールがリフトするほどのパワフルさ。パワーバンドが異様に広くシフト操作=回転数維持に気を使うことなく走れるのも頼もしい。

そのうえで振動の少ない快適性やアクセル一定での巡航性能等、遠くまで快適に移動する性能をしっかりと備えているのは、やはりアドベンチャーがベースという由来によるものといえる。

◆不安定な路面も不安なく駆け抜ける

KTM 890SMTKTM 890SMT

足回りは同社とグループ企業でもあるWP製を採用。

しなやかな動きの良さに加え、荷重が高まった際にはしっかりと踏ん張ってくれる懐の深さをもっている。オフロード的自由度の高さを持ちつつ、同時に確かなる接地感を提供してくれることにより、ギャップが多く、時には砂利が浮いているような不安定な路面でさえも不安なく駆け抜けていくことが出来る。もちろん不意のスリップに対しては細かいトラクションコントロールやABSの制御が入るので安心感も高い。

フレームはオフロード走行を多分に考えているとされる890アドベンチャーのものをそのまま使用。同系列のエンジンを搭載する『890DUKE』とは全く異なるフレームワークを持っているのであるが、剛性バランス等これが一般道における予測不可能な状況に適しているのだとも考えられる。

◆KTMらしさが溢れ出ているマシン

KTM 890SMTKTM 890SMT

もともとオフロードブランドとして活躍していたKTMは、オンロードモデルにもそのエッセンスをどこかに感じさせるものが少なくなかった。ちょっと異質のハンドリングや走りを持っており、それが個性や魅力にもつながっていたようにも感じられたのであるが、SMTのそれは違和感のないニュートラルさが特徴でもある。

そのうえで時代のニーズに合わせたツアラーとしてのパフォーマンスをしっかり備えてきている。一方「でもそれだけではつまらないだろう?」というメッセージがこのマシンからは感じられる。

操る楽しみをしっかりと備えているといったKTMらしさが溢れ出ているマシンとなっていた。

KTM 890SMTKTM 890SMT

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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