フォロフライ、チャデモに対応した商用EVを発表…丸紅は「EVフリート管理サービス」を提案

フォロフライF1 VAN
フォロフライF1 VAN全 20 枚

回路基板の絶縁膜インキで世界トップシェアの実績を持つ太陽インキ製造は5月30日、商用EVの企画・設計・開発・販売事業を行うフォロフライ、総合商社の丸紅とともに「急拡大するEV市場と、需要高まる注目セクション」と題したプレスセミナーを開催した。

回路基板の絶縁膜インキとは「ソルダーレジスト(SR)」とも呼ばれ、プリント配線板の表面を覆って回路パターンを保護する役割を持つ。プリント基板は表面が緑色となっていることが多いが、この塗装がまさにSRなのだ。伸長著しい電動車に伴い、同社が扱う基板面積が急速に増えている現状を説明した。

そして、このセミナーでの目玉となったのが、フォロフライが展開する商用EV「F1シリーズ」の最新モデルとして、『F1VS』『F1TS』『F1VS4』3車種を発売することの発表だ。その注目点は既発表のVANとTRUCKに横滑り機能やパーキングロックシステムなどの安全機能に加え、チャデモ対応を標準装備としたことにある。合わせて丸紅はパナソニックとフォロフライによる「EVフリート管理サービス」の提案を行い、今後のEV普及に関わる重要な要素として取り組む姿勢を示した。

急速に高まる電子部品の搭載率、自動車業界の最新事情

セミナーの冒頭で登壇したのはフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの柏尾南壮氏。同氏はiPhoneの内部構造をチェックすることから始まり、最近では電動車の解体なども手掛ける、いわば“ぶっ壊し屋”の異名を持つ。その柏尾氏による「2023年自動車業界概要」と題した自動車業界の現状からセミナーはスタートした。

そこで説明されたのは、自動車の電動化が進むにつれて電子部品の搭載が急速に高まっていることだ。普通乗用車の世界生産台数は年間1億台に達するが、50兆円規模の半導体市場の中で約1割が自動車用として使われており、その規模は年々増加傾向にあるという。クルマの電動化は電子部品の搭載率を着実に高めており、今や1台のクルマには約1万5000点の電子部品が搭載されるまでになっているそうだ。背景には単に電動化だけにとどまらず、ADASの高度化も大きく反映されているのは間違いないという。

一方で、電動化の普及については世界的にも充電インフラで課題を抱えているとする。しかし、ラストワンマイルで使うことが多い商用車では航続距離をそれほど気にする必要がなく、その意味でもフォロフライが手掛ける商用EVは選択する上で最適解ではないかと説明した。

フォロフライは京大ベンチャーのGLMが起源

次にフォロフライの代表取締役である小間裕康氏が、この日発表した商用EV F1シリーズの新しい3車種について説明を行った。ちなみに小間氏は京都大学の学内ベンチャーとして活動したGLMの創設者で、かつてEVスポーツカー『トミーカイラZZ』を世に送り出した経験の持ち主。その知見を生かし、2021年8月にフォロフライを立ち上げた。

F1シリーズは中国で販売されているEVをベースに、ラストワンマイルに適した国内初の1トンクラスEV商用車として2021年8月の開発を完了。日本市場向けに車体の強化や航続距離300kmを実現し、5年あるいは12万km補償を備えて2021年12月よりサンプル出荷を開始している。

そして、今回発表した『F1VS』『F1TS』については、外観こそ既発表の『F1 VAN』と『F1 TRUCK』とそれぞれ変わらないものの、日本の法規に合わせて助手席エアバッグや横滑り防止機構、後方確認用レーダーなどより高いレベルの安全装備の追加したことがポイントになる。急速充電についても新たに日本のチャデモ方式を採用した。もちろんこれまで同様、5年あるいは12万km補償にも対応している。また、もう一つの『F1VS4』はリアシートを新設して4人乗りとした。


《会田肇》

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