客席は6タイプ、東武の新型特急N100系『スペーシアX』…日光まで試乗

東武鉄道N100系スペーシアX。浅草駅はスペーシアXデビューに備えて5番ホームを改装中
東武鉄道N100系スペーシアX。浅草駅はスペーシアXデビューに備えて5番ホームを改装中全 46 枚

東武鉄道は7月15日より、新たなフラッグシップ特急車両として、N100系スペーシアX」の運行を開始する。営業開始に先駆けて6月6日、メディア向けの試乗会が浅草~東武日光間で開催された。座席バリエーションは全6種類が設定されている。

新型特急スペーシアXの車両コンセプトは「Connect & Updatable~その人、その時と、つながり続けるスペーシア~」。鉄路がつなぐ地理的なつながりだけでなく、旅客が車両に乗り込んだ瞬間から、旅客それぞれにとって「自分だけの最適な日光・鬼怒川エリア」へとつながる、という意味を込めた。

東武鉄道では、スペーシアXは、特急スペーシアが築いてきた伝統やブランド・イメージを維持・継承した、より上質なフラッグシップ特急であり、日光・鬼怒川エリアの観光需要喚起を図る、とする。6両固定編成×4編成が日立製作所で製作された。

◆エクステリアデザイン、六角形の窓の意味

エクステリアデザインは現行スペーシアのフォルムを現代に進化させた。特徴的なのは先頭・最後尾車両側面の、六角形の客室窓だ。沿線の工芸品「鹿沼組子」をモチーフにしており、同時にピラーが「X」を連想させる。竹編み細工のような江戸の手仕事を思わせ、丁寧につくられた工芸品が大切なものを包み込んでいるかのような演出でもある。六角形のモチーフは、インテリアの各所にもあしらわれている。

ボディのカラーリングは、日光東照宮陽明門・唐門・御本社に塗られた「胡粉(ごふん)」の白を彷彿とさせる高貴な白をイメージしたという。

東武鉄道N100系スペーシアX(東武日光駅)東武鉄道N100系スペーシアX(東武日光駅)

◆インテリアは6種類の座席を設定

客室は、個室をはじめ、全6種類のシートの中から旅客それぞれの旅行スタイルに合うものを選べるようにした。個室は現行スペーシアに続いての採用、新しいのはカフェカウンター併設の「コックピットラウンジ」だ。座席総数は212席。現行スペーシアの定員が編成は同じ6両で288席なので、単純計算で旅客1人あたりの面積は36%増しだ。

●コックピットスイート(6号車)

浅草寄り先頭車の6号車はコンパートメントルームだ。運転席直後に位置するのが本列車の中で最上級の「コックピットスイート」。運転席越しの前方展望および側面の窓からの展望を広く見渡せる、「走るスイートルーム」を謳う。デザインはプライベートジェットをイメージした。この個室の面積は11平方メートルと私鉄特急最大で、7名まで利用できる。

●コンパートメント(6号車)

6号車には現行スペーシアから継承したコンパートメントが4部屋用意された。4名がゆとりをもって様々な座り方ができるコの字型ソファーと可変テーブルを採用した。

●コックピットラウンジ(1号車)

日光・鬼怒川温泉寄り先頭車の1号車はコックピットラウンジだ。現存する日本最古のリゾートホテルとして2024年に開業150周年を迎える日光金谷ホテルや、かつて各国の外交官たちが避暑を楽しんだ日光に残る大使館別荘をモチーフに、気品高く落ち着きのある空間を意図した。コックピットスイートと同様に展望が楽しめる。4人、2人、1人掛けの各種ソファを用意、座席定員は20席。カフェカウンターも併設される。

東武鉄道N100系スペーシアX:コックピットラウンジ東武鉄道N100系スペーシアX:コックピットラウンジ

●プレミアムシート(2号車)

2号車はプレミアムシート。従来の特急より広い横2+1列配置、シートピッチも現行のスペーシアより広い120cmとし、東武鉄道初の電動リクライニングやバックシェル構造を採用した。また、大型インアームテーブルや読書灯を装備する。35席。

●スタンダードシート(3~5号車)

いわゆる普通車に当たるのがスタンダードシートで、3両の合計で130席が用意されている。シートピッチは現行スペーシアと同じ110cmだ。

●ボックスシート(5号車)

パーティションで囲まれた、向かい合わせ2座席の半個室が2区画、5号車に設けられた。シートの横幅は約80cmと、ゆとりがある。

東武鉄道N100系スペーシアX:カフェ東武鉄道N100系スペーシアX:カフェ

◆オリジナルのクラフトビールとクラフト珈琲を提供するカフェ

1号車のコックピットラウンジにはカフェカウンターが併設される。カフェの名称を「GOEN CAFÉ SPACIA X(ゴエンカフェ・スペーシアエックス)」という。GOENは「ご縁」。コックピットラウンジの乗客に対して優先販売する。2~6号車の乗客はオンラインで整理券を取得し、指定の時間に注文・購入することになる。

カフェの看板商品として、オリジナルのクラフトビールとクラフト珈琲(コーヒー)を開発した。日光は、古くから西洋文化を取り入れ、地域の歴史、文化を発展させてきた。また、ビールとコーヒーは観光ブームの1960年に登場した東武特急車両1720系「デラックスロマンスカー」の時代から車内で提供してきた、東武にとって馴染み深い飲み物でもあるという。飲み物に合うアペタイザーやスナックも提供する。

カフェの販売員(アテンダント)はスペーシアX専属のスタッフで、浅草側を拠点に総勢14名が交代で乗務する。商品の魅力とともに日光に根差した観光情報を提供できる旅のコンシェルジュとされ、カフェ業務の合間に旅客向けの案内も行なう。また、スタッフはオリジナルのスカーフか蝶ネクタイを着用する。蝶ネクタイのデザインは、1956年に就役した1700系「ロマンスカー」に乗務したカフェスタッフの装いを参考にしたそうだ。

東武鉄道N100系スペーシアX(向かって左)と100系スペーシア(東武日光駅)東武鉄道N100系スペーシアX(向かって左)と100系スペーシア(東武日光駅)

◆運行計画と料金

スペーシアXは7月15日から東武スカイツリーライン・日光線・鬼怒川線を運行する。浅草~東武日光間を毎日運行1往復、木・金・土休日は3往復、浅草~鬼怒川温泉間を毎日1往復の設定だ。

料金・運賃は、浅草~東武日光間と浅草~鬼怒川温泉で同額で、スタンダードシート利用が合計3340円、プレミアムシート利用が合計3920円。

コックピットスイート、コンパートメント、ボックスシート、コックピットラウンジには、利用人数分のスタンダードシート特急料金に加えて特別座席料金が必要になる。特別座席料金はコックピットスイートが1万2180円、コンパートメントが6040円、ボックスシートが400円、コックピットラウンジが1人用200円、2人用400円、4人用800円。4人用コックピットラウンジは2名から利用できる。

《高木啓》

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