ターボやスーパーチャージャーは追加装着可能!? 後付け過給器チューンの世界~カスタムHOW TO~

ターボやスーパーチャージャーは追加装着可能!? 後付け過給器チューンの世界
ターボやスーパーチャージャーは追加装着可能!? 後付け過給器チューンの世界全 1 枚

ターボ無しのクルマに後からターボは付けられるのか。結論から言えば可能!しかし、そこには結構な手間と障害もある。だが過給器だけが手に入れられる悪魔のような加速もあるのだ。

ターボは排気ガスの圧力でタービンを回し、その力でエンジンに空気を押し込む。燃焼室にたくさんの空気を送り込むことで酸素がたくさん入り、それに見合ったガソリンを噴射して爆発させることで排気量以上のパワーを手に入れる仕組み。対してスーパーチャージャーはエンジンの回転力で燃焼室に空気を送り込むことで大きな出力を得る仕組み。一般的には自動車メーカーで装着されているもの。しかし、あとから装着できるのかと言えば可能だ。

◆過給機を後付けするには…

ターボの場合、まずはエンジンから排気ガスが出たところのエキゾーストマニホールドを交換。そこにターボを取り付ける。できるだけエンジンに近い位置で排気ガスの勢いが強いうちにタービンにぶつけたいので、エキゾーストごと交換することになる。

ターボチャージャーにはインテークパイプを繋げる。そこでこれからエンジンに入る空気に圧力を掛け、エンジンに空気を押し込む。ここでタービンによって空気が圧縮されると熱を持つ。おおまかにいうと200度くらいまで温度が上がり、膨張してしまうのでせっかくエンジンに押し込もうとしても効率が落ちてしまう。そこでインタークーラーを通して、そこで圧縮した空気を冷やしてからエンジンに押し込む。

スーパーチャージャーの場合はエキゾーストマニホールドを変える必要がない。エンジンの回転力によって空気を押し込むために、クランクプーリーにスーパーチャージャー用のベルトを装着して、そこからの回転によって圧力を掛ける。インテークパイプを繋げて圧縮して、インタークーラーで冷やしてエンジンに入れる基本的なレイアウトは同じだ。そうなるとスーパーチャージャーのほうが幾分シンプルに構成できる。

では、どちらが良いのかという話になるが、どちらが良いとも言い切れない。

◆パワーの出方が違う!ターボとスーパーチャージャー

ターボは構成パーツが多くなりやや面倒になる。とくに後付けをしようとするとエキマニを作って、適切な位置にタービンを置かなければならない。スーパーチャージャーはいくらか付けやすいが、クランクプーリー周りとスーパーチャージャー本体を固定するためのステーなどを作ることになる。

パワーとしてはどちらが大きなパワーを出せるかというと大きな差はない。強いて言えばそのパワーの出方が異なる。スーパーチャージャーはエンジン回転数が上がると、エンジンに空気を押し込む圧力(ブースト圧)が上がるので、基本的に高回転のパワーアップに効果的。低回転ではあまり効果を発揮しない。

対するターボは低回転だとタービンが回ってくれず過給ができない。または過給するまでに時間が掛かる。いわゆるターボラグが起きやすい。しかし、スーパーチャージャーと違って低回転から過給することができる。小さめのタービンならごく低い回転から過給してトルクを補うことができる。

◆後付け過給機の抑えておくべきポイント

これがどちらも後付け過給器となると問題になるのが過給圧力だ。通常自動車メーカーで作られるターボやスーパーチャージャー付きのクルマはエンジンの圧縮比がやや低い。その分、過給して空気を押し込める。ところがノーマルでは自然吸気のエンジンの場合、そこに高い過給圧力をかけると異常燃焼が発生して壊れてしまう。一般的にもともと過給器付きのクルマの半分くらいのブースト圧しか掛けられないのだ。つまり、後付け過給器でも大幅なパワーアップは難しいのだ。

とはいえ、例えば86/BRZではターボでもスーパーチャージャーでもノーマルに対してポンと50~60psの上乗せは可能。それでいてコストはスーパーチャージャーで50~60万円。ターボで70~80万円とそこなりの金額ではあるが、NAチューンでは100万円掛けても到底手に入れられないパワーが手に入るのだ。チューニング次第では120psくらいの上乗せもできるのも魅力だ。さらにエンジン本体に手を加えて圧縮比を下げればもっとブースト圧を上げられる。やや低中回転のトルクなどはスポイルされるが、ブースト圧を上げることができればパワーは炸裂してパンチ感が大幅にアップするのだ。

現実的には過給器の後付けは車種専用キットが販売されていないと難しい。すべてがワンオフで製作になると非常に効果になる。HKSやTRUSTなどから発売されている過給器のキットがあってこそ可能な価格なのだ。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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