ベントレー『ブロワー』、90年ぶり復刻生産に向けた試験車「カーゼロ」…グッドウッド2023出展へ

収集したデータをもとに1846個のパーツを新設計

ベントレーが所有する車両を分解してCADでデジタルモデル化

各界のスペシャリストが当時のパーツを再現

ベントレー・ブロワー のプロトタイプ「カーゼロ」
ベントレー・ブロワー のプロトタイプ「カーゼロ」全 10 枚

ベントレーは7月5日、『ブロワー・コンティニュエーション・シリーズ』の12台の復刻生産に先駆けて製作された『ブロワー』のプロトタイプ「カーゼロ」を7月13日、英国で開幕する「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023」に出展すると発表した。

写真:ベントレー・ブロワー の「カーゼロ」

ブロワーのプロトタイプは、販売されない車両であることから、カーゼロと名付けられた。エンジニアリングの検証目的で、性能と耐久性を試すのが狙いだ。カーゼロに続いて製作される12台の復刻モデルは、完売している。

◆収集したデータをもとに1846個のパーツを新設計

オリジナルのブロワーは、ヘンリー・ティム・バーキン卿のレースチームのために、4台が製造された。4台のチームカーの中で、ベントレーが所有する2号車(シャシー番号「HB3403」、エンジン番号「SM3902」、ナンバー「UU5872」)を、コンティニュエーション・シリーズのために分解。一つ一つの部品を残らずレーザースキャンするところから、プロトタイプの製作は始まった。

収集したデータをもとに、新たなブロワー用のパーツ1846個が設計され、手作業で製作された。ただし、そのうち230個はアッセンブリーであり、その中にはエンジンも含まれるため、ねじやインテリアトリムなどの個々のパーツを含めると、実際には数千のパーツが製作された。

こうしたパーツやアッセンブリーは、ベントレーマリナープロジェクトチームのエンジニア、職人が、英国内のスペシャリストやサプライヤーらと協力して作り上げた。カーゼロのエクステリアはグロスブラック仕上げとした。

◆ベントレーが所有する車両を分解してCADでデジタルモデル化

カーゼロの製作は、オリジナルブロワー4台の製造時に使用された設計図や下書き、当時撮影された写真を徹底的に分析することから始まった。次に取りかかったのは、ベントレーが所有するブロワーの2号車の分解。フレームとパーツをレーザースキャンし、その精密なデータを基に、CADによるデジタルモデルが完成した。続いて、各パーツを製作する職人たちが集められた。そうして製作されたパーツを使い、ベントレーマリナーが形にしたのがカーゼロになる。

カーゼロのエンジンは、W.O.ベントレーが設計した4「2分の1」リッター。ワトフォードにあるNDR社などの協力を得て、新たに製作された。このエンジンにはアルミ製ピストン、オーバーヘッドカムシャフト、4バルブ、ツインスパークイグニッションなど、最新技術が数多く採用されている。

ルーツ式スーパーチャージャーも新たに機械加工され、このエンジンに搭載された。今回製作されたエンジンは、1920年代後半にバーキン卿のレースチームのために製作された4台のブロワーのエンジンを忠実に再現しており、クランクケースにマグネシウムが使用されている。

◆各界のスペシャリストが当時のパーツを再現

ベントレーマリナーはブロワー・コンティニュエーション・シリーズの製作当初から、パーツを外部に依頼することを計画していた。今回のプロジェクトでは、何世代にもわたって伝統的技術を継承している英国を代表するスペシャリストに協力を仰いだ。

シャシーは、イスラエルのニュートン&サンズ社が極厚鋼板を手作業で成形し、熱間によるリベット留めによって完成させた。同社は、蒸気機関車のボイラーやトラクションエンジンの製作を手がけてきた創業200年の歴史ある会社で、伝統的工法による金属の鍛造・成形加工を得意としている。

ブロワーの主要パーツのいくつかを忠実に再現したのはビスターヘリテージに拠点を置くビンテージ・カー・ラジエター・カンパニーだ。鏡面仕上げが施されたニッケルシルバー地金製ラジエターシェルや、スチールと銅板を打ち出し成形したフューエルタンクなどを手がけた。この会社はビンテージカーのラジエターやコンポーネントの製作・復元におけるトップメーカーであり、今回のような複雑かつ重要なパーツの製作に欠かせない存在という。

リーフスプリングとシャックルは、ウェストミッドランズにあるジョーンズ・スプリングのオリジナル仕様。鍛冶屋をルーツとし、75年近い歴史を持つ会社だ。ブロワーのシンボルであるヘッドライトは、シェフィールドにあるビンテージ・ヘッドランプ・レストレーション・インターナショナル社によって再現された。親子経営のこの会社は銀細工で知られ、オリジナルの仕様に従って、ビンテージデザインのヘッドランプを製作する技術は、世界的に高い評価を得ているという。

アッシュフレームは、ラドローにあるロマックス・コーチビルダーズ社が製作し、クルーのマリナートリムショップにて、職人らが最終仕上げを施した。ブロワーのボディは、25mに及ぶ人工皮革の「レキシン(Rexine)」で覆われている。ボディの内装はマリナーの職人の手によって仕上げられた。オリジナルのブロワーと同じく、シートの中身には計10kgの天然馬毛が使用されている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ タンドラ で走行160万km…顧客にサプライズプレゼント
  2. ピックアップトラックの荷台に、積載型キャンピングキャビン「INFINITY 01」発表…Moon Star Export
  3. スズキ、『ジムニー シエラ GOZEL』初公開へ…6月14日「ジムニーサンライト2026」
  4. 日産『プリメーラ』、EVで約20年ぶりに復活…フィリピンモーターショー2026
  5. 8月から車検が変わる…ヘッドライトの「黄ばみ」に注意! DIYよりプロに相談
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. ホンダ「2026ビジネスアップデート」…次世代HV15車種投入、2029年度営業利益1兆4000億円
  2. インモールドコーティングコンソーシアム設立、型内塗装の国内普及めざす…武蔵塗料と岐阜多田精機
  3. ダイフク、520億円の成長投資でマザー工場再開発とドイツ企業買収…2030年に売上高1兆円へ
  4. ボルボカーズ、2028年以降の車両にアプティブのGen 8レーダー採用へ…悪天候や複雑な市街地でも高精度センシング
  5. 中国勢にも対抗する競争力のあるSDV開発に必要なものとは…アステモサイプレモス 木村篤仁氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る