ビッグモーター不正疑惑のとばっちり、過去最高の中古車販売に“冷や水”[新聞ウォッチ]

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例年、うだるような暑さが続くこの時期の紙面は、“夏枯れ”とも呼ばれて目を引くようなニュースが少ないが、自動車保険を水増し請求していたビッグモーターの不正疑惑については連日、湧き水のように勢いよく溢れ出ている。

◆店舗前の街路樹が枯れる

きょうの各紙の社会面には「ビッグモーター店舗前の道路沿いで、街路樹の枯死などが各地で確認され、国土交通省も各地方整備局に国道沿いの樹木の状況調査を指示した」と報じている。

また、産経の1面トップ記事では「創業者の長男で副社長を引責辞任した兼重宏一氏が、損害保険ジャパンの前身企業の一つである日本興亜損害保険に一時在籍していた」ことが分かったという。その長男が、「工場長らへの降格処分を乱発して現場を萎縮させ、不正を引き起こす土壌をつくった」という不正の張本人とも匂わす報道もみられる。

◆損保ジャパンが虚偽報告?

その損保ジャパンは、ビッグモーターに大量の社員を出向させていたが、「工場長による不正の指示があった」との情報を把握していたにもかかわらず、金融庁には「不正の指示はなかった」と報告していたことが判明。毎日は1面の準トップで「金融庁は、損保ジャパンが虚偽報告した疑いもあるとみて調査する」とも伝えている。

きょうの毎日は社説のテーマに「ビッグモーター不正拡大」について取り上げており、「一連の問題で中古車販売ビジネスや自動車整備業界の信用にも傷が付いた。不安の広がりを防ぐためにも厳正な対処が求められる」とも指摘する。

◆中古車販売の市場規模は過去最大に

さらに、関連記事としては、2022年度の国内中古車販売業界の市場規模は3兆9000億円(売上高ベース)で過去最高を更新したという。信用調査会社の帝国データバンクが発表したもので、きょうの読売や産経が取り上げている。中古車販売が好調だったのは、半導体不足などで新車の生産が滞り、中古車に人気が流れているためだそうだ。

ちなみに、自動車保険の保険金の不正請求問題が発覚したビッグモーターの売上高は、業界トップの推定5800億円で、市場占有率は約15%だったそうだ。

ただ、中古車市場の成長が今後も続くかどうかは不透明とも。半導体不足の解消で、国内の新車販売台数は回復傾向にあり、徐々に中古車相場が下落すれば、高値で中古車を仕入れていた中古車販売店の収益が悪化する可能性もあるという。

加えて、影を落としているのが、最大手のビッグモーターの不正問題。産経は「中古車市場に逆風」とのタイトルで、「(ビッグモーターの不正を受けた)消費者の不信感などから、中古車需要の減少など、風評悪化による影響が懸念される」との帝国データの担当者のコメントも取り上げているが、そのとばっちりは、虚偽報告などが指摘される損保ジャパンに飛び火するのも時間の問題かもしれない。

2023年7月28日付

●東京五輪、電通、談合一部認める。初公判、テスト大会立案(読売・1面)

EV充電 車7社新会社、北米ホンダ・GMなど参加(読売・8面)

●2車種共同開発、VW中国EVに1000億円出資(読売・8面)

●全トヨタ労連会長に西野氏(読売・8面)

●中古車売上高最高3.9兆円、半導体不足新車が停滞、昨年度トップはビッグモーター 5800億円(読売・8面)

●タイの空港、日立製作所の動く歩道「点検不十分」で足切断(朝日・7面)

●ビッグモーター消えた街路樹、勝手に伐採? 除草剤も検出(朝日・27面)

●社説、ビッグモーター不正拡大、国は実態と責任の解明を(毎日・5面)

●ビッグモーター不正、損保ジャパン前身に在籍、前副社長、関係性深く(産経・1面)

●トヨタ、高級ミニバン受注10万台規模(産経・10面)

三菱ふそうとベンツがリコール(産経・22面)

●EV半導体材料 新工場、住友電工、富山で27年稼働(日経・1面)

●日産・ルノー再出発、日産、EV出遅れ挽回、息つく間なく米中てこ入れ(日経・13面)

●スバルにEV電池供給、パナソニック、中韓勢追う(日経・13面)

●日野自、最終赤字165億円、4~6月、出荷停止で販売低迷(日経・13面)

●UDのインドネシア事業、トラック生産、いすゞに移管(日経・13面)

自動車株、好決算でも売り、上振れ織り込みか、円高進行も重荷に(日経・19面)

《福田俊之》

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