ギガキャストや自走式組み立てライン…トヨタのコストダウンと生産効率アップ戦略

戦略アップデートで出遅れ感を払拭

製造プロセスを刷新する自走式組み立てライン

無駄を極力排除し既存リソースをフル活用する

価格競争力でどう勝負するか

ギガキャスト
ギガキャスト全 6 枚

トヨタが6月に開催した技術説明会「テクニカル・ワークショップ2023(Toyota Technical Workshop)」で発表された内容は、佐藤恒治CEO新体制の元、ZEV化NEV化する国際市場に向けた新技術と新戦略として注目を浴びている。7月頭にはさらに技術詳細をメディアに解説するプレスカンファレンスを開く力の入れようだ。

戦略アップデートで出遅れ感を払拭

一連の発表では、マルチパスウェイ、もしくは全方位の戦略を踏襲したEV戦略のアップデート、水素戦略、新しい生産技術が大きな目玉となった。これらを支える各論技術では、全固体電池、ギガキャストが目を引く。静岡県裾野市の研究所で開催されたワークショップでは報道陣向けに『e-Palette』(eパレット)やMT操作をシミュレートしたEVの試乗も行われた。ソフトウェアやSDVに関するものでは、音声認識、輸送オペレーション支援システムデモ展示も実施。水素関連ではFCの逆反応を利用した水電解装置の説明もあった。

発表を受けての報道は、「ギガキャストはテスラのマネではない」(テスラはメガキャスティングと呼んでいる)、「トヨタのEVは遅れていない」という論調が目立つ。全方位を謳うだけあり、トヨタの懐の広さ、広角なR&D投資はライバルや他の製造業にはマネできない戦略だ。確かにEV関連の製品投入や新型の発表は、海外勢と比較すると「遅れている」と言えるが、テスラや中国勢とは開発やビジネスのサイクルが違うだけで、トヨタの時間軸では普通に技術革新とキャッチアップを続けているのも事実だ。それを改めて周知できたという点で、ワークショップ開催は大成功だったと言えるだろう。

製造プロセスを刷新する自走式組み立てライン

注目すべきは、ギガキャスト採用と自走式組み立てラインの稼働の発表だろう。トヨタによれば、ギガキャストは、ボディや構造材が鉄からアルミへという変革がある中、2018年に検討を始めたものだとする。エンジンブロックやミッションケース以外の用途、とくにもっと大きな構造材としての可能性を検討するためだ。

ギガキャストをプラットフォームに適用する理由については、コストダウンと工程短縮による生産効率のアップ、スピードアップにあるという。テスラがメガキャスティングを採用したときに指摘されたリペア性の課題は、鋼板部品との組み合わせでクラッシャブルゾーンを設けることで対応する。バッテリーケースと分離することで設計の柔軟性が期待できる。テスラもメガキャスティングについてクラッシャブルゾーンの特許をとっているが、それとは違ったアプローチで衝撃吸収を考えているようだ。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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