サブウーファーにマニアックな「ボックス」を使うのもアリ!?…キーワードから読み解くカーオーディ

「ユニットサブウーファー」の一例(フォーカル・E 30 KX)。
「ユニットサブウーファー」の一例(フォーカル・E 30 KX)。全 3 枚

カーオーディオ製品のカタログ等々を見ていると、専門用語を多々目にする。当連載ではそれらの意味を1つ1つ解説し、カーオーディオビギナーの「?」の解消を目指している。現在は、「サブウーファー」に関連した用語にフォーカスを当てている。

◆「ボックス」の主流は「シールド」か「バスレフ」。しかしそれ以外にもいくつか存在!

今回は、特殊な「ボックス」について説明していく。

さて、「サブウーファー」にはタイプ違いがあり、その中で愛好家に使われることがもっとも多いのは「ユニットサブウーファー」だと説明してきた。これはつまり、「サブウーファーユニット」が裸の状態で売られているもので、これを使う場合には「ボックス」と「パワーアンプ」とを別途用意しなければならない。ゆえに、導入のハードルがもっとも高い。

しかし、低音の鳴り方はどんな「ボックス」と「パワーアンプ」とを組み合わせるかで変化する。なので「ユニットサブウーファー」を使う場合には、低音の鳴り方をプロデュースできる幅が広がる。そこが重んじられて、愛好家の多くは敢えてこれを選んでいる。

で、「ボックス」にもタイプ違いがあり、タイプによって得られるサウンドの傾向が変化する。ただしカーオーディオで用いられることが多いのは、「シールド(密閉)ボックス」と「バスレフ(位相反転)ボックス」、このいずれかだ。

でもそれ以外の「ボックス」が使われることもまれにある。なので今回はそれらについて解説していく。

「ユニットサブウーファー」の一例(フォーカル・E 25 KX)。「ユニットサブウーファー」の一例(フォーカル・E 25 KX)。

◆「バンドパスボックス」なら、低音の鳴り方を一層緻密にコントロール可能に!?

まずは、「バンドパスボックス」について説明していこう。ちなみにこれは、1990年代に「低音ブーム」が起こったときには今以上に用いられることが多かった。90年代には大音量で重低音を鳴らすことを楽しむ愛好家が多くいて、さらには重低音の音圧の大きさを競う競技会も盛んに行われていた。ゆえに今以上に「ボックス」製作にこだわりが注がれることもままあり、マニアックな「サブウーファーボックス」が作られることも少なくなかった。その1つが「バンドパスボックス」だったというわけだ。

なお「バンドパスボックス」にもいくつかタイプ違いがあるのだが、もっともシンプルなものは、以下のような構造をしている。「シールドボックス」の「サブウーファー」の取付面に外側からもう1つ箱を被せる。そしてその箱に「ポート」を設けてそこから低音を車内にデリバリーする。なので、外観からは「サブウーファーユニット」は見えない。見た目的には箱に1つの「ポート」が設けられているだけだ。

このような形状とすることで、ローカットとハイカットの両方を机上の計算にて行えるようになる。つまり「バンドパスボックス」では、低音しか鳴らせない。しかし、どんな低音を鳴らすのかをよりコントロール下に置きやすくなる。

「パッシブラジエーター」タイプの「ボックスサブウーファー」の一例(ヴァイブオーディオ・BLACKAIRB8-V6)。側面に見えるスピーカーユニットが「パッシブラジエーター」だ。「パッシブラジエーター」タイプの「ボックスサブウーファー」の一例(ヴァイブオーディオ・BLACKAIRB8-V6)。側面に見えるスピーカーユニットが「パッシブラジエーター」だ。

◆「バンドパスボックス」は、ボックスを隠したいときにも向く!?

しかし、設計は簡単ではない。ゆえに失敗も有り得る。そして構造も複雑化するので製作の難易度も上がる。なので近年は「バンドパスボックス」が用いられることはかなり少ない。

ただし、インストール上の都合によってはこれが向く場合もある。例えば「サブウーファーボックス」をトランクフロアの奥に埋め込んでしまいたいとき、「ボックス」を「バンドパス」タイプにすれば「ポート」のみを外側に出すだけでよくなる。「サブウーファーユニットを見えるようにしなくても良いのだ。そして、設計が上手くいけばより理想的な低音を鳴らせるようになる。なのでハイレベルなオーディオカーで、敢えて用いられることもまれにある。

もう1つ、「パッシブラジエーター」についても解説したい。これは「バスレフボックス」の「ポート」部分に、スピーカーユニットを装着したようなもののことを指す。ただしそのスピーカーユニットには磁気回路が備わっていない。振動板とフレームだけのスピーカーが取り付けられている。

このようにすると「ボックス」内の「背圧」にて振動板だけのスピーカーを鳴らせるようになる。つまり、スピーカーユニットの「背圧」をより積極的に利用して低音増強を図ろうとするのだ。

なおこれは、ワンオフされることはほとんどない。メーカーによって作られる「ボックスサブウーファー」の一部にて採用されている。

今回は以上だ。次回以降も難解な用語の解説を継続する。乞うご期待。

《太田祥三》

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