[音響機材・チョイスの勘どころ]スピーカーの音色傾向は「振動板」の材質で決まる?

市販スピーカーの装着例(製作ショップ:M.E.I.<広島県>)。
市販スピーカーの装着例(製作ショップ:M.E.I.<広島県>)。全 1 枚

カーオーディオシステムを成長させたいと考えているドライバー諸氏に向けて、それを実行に移す際に役立つ製品情報を多角的に提供している当コーナー。まずは「スピーカー」について説明している。現在は、その構造に関する解説を行っている。

「スピーカー」選びをしようとする際には、その仕組みも知っておくとチェックポイントが見えやすくなる。というわけで前回は、磁気回路の成り立ちを説明した。それに引き続いて当回では、「振動板」について説明していく。

さて、「振動板」は「スピーカー」を構成するパーツの中でも、性能の良し悪しや音色傾向に大きな影響をおよぼす重要パーツだ。で、構造的にもさまざまなタイプがあるのだが、素材にもいろいろなものが使われている。

ちなみに、「振動板素材」には以下のような性質が求められる。「軽さ」、「硬さ」そして「響きにくさ」だ。なお「響きにくさ」とは「適度な内部損失」という言い方がされることもある。

で、この「内部損失」とは、大体以下のようなことを意味する。普通個体は、例えば手でこつこつと衝撃を与えるとコンコンとかカンカンと音がするのだが、音が良く響く素材は「スピーカー」の「振動板」素材としては不向きだ。音楽を再生するとき、その素材特有の音色が再生音に乗りやすいからだ。逆に、手で叩いても音がしにくいもの(適度な内部損失がある素材)が「振動板」として向いている。

なお先に挙げた3つの要素は実は、相反する。軽いものほど強度は落ちがちで、逆に硬いものほど重くなる傾向があり叩いたときに音がしやすい。このように欲しい性能がトレードオフの関係にあることが、「振動板」設計を難しくさせるポイントの1つとなっている。

では、具体的にはどのような素材が使われているのかを説明しよう。まずオーソドックスなものとして「紙」がある。「紙」は軽く、そして音がしにくい。しかしそれほど硬くない。また金属系の素材が使われることも多い。金属素材の中にはある程度軽くそして硬いものがあり、そうであると「振動板」素材として向いている。しかし案外響きやすい場合も多く加工が難しい傾向もあり高価になりがちで、これらは不利点と言って良い。その他では、樹脂系素材や繊維系素材がある。

ところで、「振動板」素材に何を使うかで製品の音質性能が変わってくると説明したが、どのような素材がどういう音かというあたりはあまり決めつけない方が良いだろう。それがすべてではないからだ。ただし、さまざまな製品の音を聴いて経験則が上がってくると、素材ごとの傾向が掴めてきて、好みに合いやすいものがどんなものかが見えてくることもある。なので試聴の際に素材が何なのかをチェックするのは無駄ではない。参考にしてほしい。

今回は以上だ。次回以降も「スピーカー」選びにおける勘どころの解説を続行する。お楽しみに。

《太田祥三》

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