ZF、アジアでの売上を2030年までに全体の30%へ…電動化と日本および中国メーカーに注力

シュテファン・フォン・シュックマン取締役は、アジアパシフィック地域での売上を2030年までに全体の30 %まで増やすという。
シュテファン・フォン・シュックマン取締役は、アジアパシフィック地域での売上を2030年までに全体の30 %まで増やすという。全 6 枚

ドイツの自動車システムサプライヤーZFの日本法人であるZFジャパンが、2023年上半期の決算と、今後のアジア地域における事業の方向性を発表した。

◆下期の鍵は収益力の強化か

売上高は、2022年上半期の212億ユーロから約10%増えて233億ユーロに達した。今回、通期予測については言及されなかったが、ZFは今年3月に年間450億ユーロの売上を見込んでいることを発表している。

売上増の一方で、EBITマージンは前年同期と同じ4.0%だった。通期見込みは4.7~5.2%とされており、今後は収益力の強化が鍵となるだろう。取締役会メンバーでアジアパシフィック担当のシュテファン・フォン・シュックマン(Stephan von Schuckmann)氏は、世界的なインフレと欧州の一部でみられる市場の減速を課題として挙げた。

今年上半期の売上は、前年同期比10%アップの233億ユーロに達した。

◆アジアでの売上を30%に引き上げ

地域別では、100億ユーロを売り上げた欧州がおよそ半分の45%を占め、北米の約66億ユーロが28%で続いた。アジアパシフィックは前年同期比16%の成長を遂げ、売上高は約53億ユーロに達し欧州と北米に次ぐ23%のシェアを獲得した。ZFジャパンは、中国および日本の顧客への増販を図り、2030年までにこれを30%にまで増やす計画だという。

現在、アジアパシフィック地域での売上は全体の23%を占める。

◆JOEMには電動化を中心にアプローチ

アジアパシフィック地域におけるZFの売上は、過去10年で3倍に増加している。また、日本の自動車メーカー(JOEM)とのビジネスは、グローバルでおよそ200億ユーロに上るという。ZFは、システムやソリューションといった包括的な提案をすることで、これをさらに増やす計画だという。

特にBEV関連の研究開発にはこれまで年間10億ユーロを超える投資を行っており、電動化を中心にJOEMへのアプローチを強化する計画だ。フォン・シュックマン氏が紹介したのは、小型軽量でトルク密度の高い次世代の電動ドライブシステム「EVSys800」。現行の電動ドライブユニットと比較した場合、幅を50mmコンパクトにし35%の軽量化を図ったという。パワーエレクトロニクスにシリコンカーバイドを使用し、ピークパワー275kW(5200Nm)/定格出力206kW(2850Nm)を発揮する。

次世代の電動ドライブシステム「EVSys800」は、高いトルク密度を実現しながら小型軽量化に成功した。

◆グローバルな戦略的市場であるアジア

中国メーカーについては、コスト、効率、ユーザーフレンドリーといった面で非常に競争力が高いとフォン・シュックマン氏は評価する。中国OEMはASEAN地域や欧州などにも着実に進出しており、ZFにとっては大きなチャンスだという。「本社は(ドイツの)フリードリヒスハーフェンにありますが、ダイナミックに発展しているアジアパシフィックはZFにとって重要な地域です」とのことで、同氏は今年から日本に駐在しアジア全体を統括する。


《石川徹》

アクセスランキング

  1. 航続262kmの新型電動バイクが約10万円から、ビンファストが2モデル発表
  2. ホンダ『N-ONE e:』の価格を予想、280万円台からか…実質ガソリンモデル並み?
  3. スバル『フォレスター』に早くも「理想の姿」と話題の特別仕様、「最初から出してよ!」の声も
  4. 約10万円で200km以上走るEVバイク登場に「現実的な選択肢」、ベトナムから日本上陸に期待の声
  5. 【フィアット 600ハイブリッド 新型試乗】意外にもBEV版よりスムースで快適! 価格にも「親近感」…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
  5. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
ランキングをもっと見る