【日産 スカイラインNISMO】エンジンチューンもソフトウェアシフト? 開発責任者に聞く

スカイライン NISMO開発者に聞く
スカイライン NISMO開発者に聞く全 19 枚

8日に発表された、日産『スカイライン400R』ベースのNISMOコンプリートカスタムカーである「スカイラインNISMO」と「スカイラインNISMO Limited」は、最高出力309kW(420ps)、最大トルク550Nm(56.1kgf・m)とベースモデルから大幅にパワーアップしている。

主な改良点と54スカイラインの画像


◆ソフトウェアの変更だけでスペックを上げられる?

だが、これらのチューニングに際し、エンジンやトランスミッションに大きなハードウェアの変更は加えていないという。ほとんどがECM(ECU)のチューニングということだ。しいていえば、2WDのまま出力を上げたので、リアタイヤを余裕のあるサイズに変更したくらいだ。ソフトウェアの変更だけでスペックを上げることに無理はないのか。そもそもそんなに出力を上げて大丈夫なのかという疑問がないわけでもない。

もちろんどんな車だろうと、馬力アップだけ追求してもシャシーダイナモ上で数値を確認するだけで、ロードカーとして速い、運転しやすいということにはならない。スカイラインNISMOも、当然ただマップをいじって馬力を上げただけではない。ドライブモードの制御、変速タイミング、VDCやABS含むブレーキ制御もトータルでチューニングしている。

◆レーシングカーのチューニング技術

NISMOモデルとはいえ、ベースはあくまでスカイラインだ。つまり一般道も走れば、峠道も走る。高速道路のツーリングもする。ときにはサーキットも走るかもしれない。エンジン性能を上げた分だけ、どのような走行でもバランスのとれたチューニングが必要となる。ソフトウェアでの制御は簡単ではないが、NISMOはレーシングカーでの知見も豊富だ。レースカーの開発はシャーシやボディ、サスなど機構部品から設計するかもしれないが、シーズン中はレギュレーションもありそう簡単にハードウェアの変更はできない。いまどきのレースエンジニアはラップトップ片手にECUのチューニングやプログラミングを行うのが当たり前だ。

スカイラインNISMOは、レーシングカーのエンジンチューニング技術が注ぎ込まれたといっていいだろう。ただ、素材がよくなければこのようなソフトウェアチューンで性能は出せない。この点は、テストドライブを行った星野一義氏(SUPER GT500 TEAM IMPUL監督)が車を降りたとき「いいねぇ」とひとこと呟いたという。しかも走行中はVDCをオフにしていたという。VDCオフでもサーキットでしっかり走ってくれるというのは、リアタイヤのサイズアップと空力パーツの進化もあるが、車両ハードウェアとしての完成度、設計のマージンがあってのことだ。

◆ベース車両が同じならソフトウェアのチューニングに不利はない

開発を担当した長谷川聡氏(日産モータースポーツ&カスタマイズ 理事)は、「車両(ハードウェア)が変わるとセッティングやプログラムは全部やり直しになるが、ベース車両という基準が同じなので、ソフトウェアのチューニングがやりにくい、不利になるということはない。今回リアタイヤを太くしたことで、じつはソフトウェアの制御に余裕ができた」ともいう。

現在は、シミュレーションにより設計段階で試作や試走することは減っている。だが開発の最終段階ではプロトタイプでの試走やテストドライバーの感応テストは欠かせない。シミュレーションを多用するからこそ、その重要度は増しているといってよい。スカイラインNISMOは陸別のテストコースで入念なテストを行いドライバーの声、感覚を生かした作り込みをしたという(長谷川氏)。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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