【スバル レヴォーグレイバック 新型試乗】グランドワゴンの現代版? 悠々、洗練、「大人のレヴォーグ」…島崎七生人

スバル レヴォーグレイバック
スバル レヴォーグレイバック全 31 枚

Laid back(=悠々とした、寛いだ)から考案された車名という『レヴォーグ レイバック』。その名の由来どおり、母体の『レヴォーグ』のスポーツ性に対して、派生車ながら、どうやらゆったりとした“別キャラ”に仕立てられたクルマということらしい。

「最近の市場は6、7割がSUV。その中でSUBARUはアウトドア系のイメージは定着できていたものの、都会的なイメージにはチャレンジできていなかった。そこで新たなスタイルに上質感を加えたのがレイバックです」(商品企画本部・PGM・小林正明さん)の説明どおり、実車はアウトドアのイメージから離すためにルーフレールはあえて非装着。ただし最低地上高は200mmとってあり、これは初代『レガシィ グランドワゴン』以来のSUBARUの知見でもあり、街中でも段差などで下回りを擦らないようにしたためだそうだ。

◆洗練された「大人のレヴォーグ」

スバル レヴォーグ レイバックスバル レヴォーグ レイバック

一方でデザインは、フロントとリヤ回り、ホイールアーチ部のクラッディングが専用デザイン(ボンネット、ランプはレヴォーグと共用とのこと)。とはいえ、写真でもおわかりのとおり、とくにフロントのデザインはこれまでのスバル車のエッジを立たせたデザインからは一転、ここだけ見てもグッと洗練された大人びたクルマのイメージが伝わってくる……というのが実車から受けた筆者の印象だ。

「顔まわりは、グリル、バンパーと要素ごとにデザインするのではなく、ひとつの大きな面が繋がっているような考え方。リヤもボディ色と黒の部分の比率を微調整して安定感を持たせ、SUVらしく縦方向の厚みももたせた。アルミホイールもシャープなスポークと面が変化するスポークを組み合わせ、これもレイバックのテーマだった“凛と包”の考え方」(デザイン開発主査・源田哲朗さん)とのこと。

ちなみに市場で人気の高いトヨタ『ハリアー』に何となく雰囲気が近いとも感じたので、「寄せてません?」と前出の源田さんに向けると、「デザイン的にそれはしていない」(源田さん)という。

◆走りの印象は「穏やかさ、心地よさ」

スバル レヴォーグ レイバックスバル レヴォーグ レイバック

走りについては「『アウトバック』がラグジュアリーでゆったりしているのに対して、クルマとの一体感があり、取り回しもいいところを楽しんでほしい」(前出・小林さん)という。今回の取材は発売前のプロトタイプとされる試乗車に、佐渡島のワインディング路(大佐渡スカイライン)の一部を占有する形で乗った。距離も時間もシーンも限定的ではあったが、走らせて印象的だったのは穏やかさ、心地よさなど。

乗り味は基本的に路面からの不快な突き上げや煽られ感のないものでフラットライド。だが曲率の小さいコーナーでもロールはよく抑えられており、不安感はなかった。装着タイヤはオールシーズン(FALKEN ZIEX ZE001 A/S M+S)で、平地や高速道路を流すような場面ならもっと良さが実感できたはずだが、ロードノイズが低めで発生する音もカドの取れたものだったことも確認。

1.8リットル直噴ターボ+CVT(走行モードの選択も可能)も、少なくとも試乗コースの範囲のアップダウンでも、場面を問わずドライバーの意志に対して齟齬のない性能を発揮してくれた。

◆『レガシィ グランドワゴン』の現代版か

ワゴン系SUVの元祖、スバル レガシィ グランドワゴンワゴン系SUVの元祖、スバル レガシィ グランドワゴン

「ここが売りというより、いいとこ取りをバランスよくやっているクルマ。1番いい先進装備がつき、走り、乗り心地、操縦安定性もSUVながらしっかりしている。レガシィのグランドワゴン、ランカスターの頃をイメージしていただくとわかりやすい」(商品企画本部・主査・夘埜敏雄さん)の説明も納得がいく。

確かにBG型『レガシィ』の時代の1995年に登場した最初のグランドワゴン(1997年から「ランカスター」に改名)の、手頃感のあるボディサイズとスムースで心地いい走りを現代に甦らせた……そんな風にも思った。晴れてナンバー付きの試乗車が用意されたら、標準のハーマンカードンのオーディオなど楽しみながら、然るべきシーンでもじっくりと走らせてみたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ…注目ニュースベスト5 2025年上期
  2. マッスルカー『チャージャー』、内燃エンジン仕様が登場…直6ツインターボで550馬力
  3. エアレスタイヤ搭載でペダルもなし、免許不要の特定小型原付「Future smart」発売
  4. ホンダ『レブル250 Eクラッチ』が爆売れ!? ペダルだけでシフトチェンジできる「Eクラッチ」の魅力をおさらい
  5. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ...ワイド&ローのフォルムに注目だ!
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る