『Vストローム250SX』は『Vストローム250』とはここまで違う!道を選ばない確かな走りに、スズキの真面目さを見た

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スズキ Vストローム250SX
スズキ Vストローム250SX全 59 枚

ついに乗ってきたスズキ話題の新型マシン「Vストローム250SX」。Vストローム250と言えばツーリングライダーから絶大な支持を得ているマシンで、並列2気筒のモデル。車名に「SX」が付くこちらは油冷単気筒エンジンを採用し、車体もまったく別物となる新規追加モデルだ。これでVストロームシリーズは1050&1050DEから始まり、800DE、650&650XT、250、250SXと、ざっと並べただけで国内7機種となる大ファミリーとなった。

◆いかにもダートを走ってくれそうなゴツい雰囲気がカッコいい!

スズキ Vストローム250SXスズキ Vストローム250SX

さて、Vストローム250SXの実車を前にした第一印象は「思っていたよりもデカい」。大昔にハスラー50を見たときも排気量を超えたサイズ感に感動したけれど、あの時と同じくらいVストローム250SXもなかなかだ。750ccくらいに見えるような迫力を持っている。ブロックタイヤも、いかにもダートを走ってくれそうなゴツい雰囲気でカッコイイ。ライディングポジション全体から見ても、幅の広いハンドルバーが250ccクラスとしては大柄なアドベンチャーらしい風格を生み出していた。

しかもスタンディングスタイルで上から押さえるような乗り方も、実にやりやすい絶妙な高さとなっており、ダートの走破性をより高めていたのが個人的には好評価。このあたりは無印(Vストローム250)に無かった部分で、無印はハンドルの絞りが強めでライダーに近く、クルーザータイプのように街乗りや高速道路など、アスファルト上で有利な方に重きを置いた感じとなっている。

手前がVストローム250SXの19インチホイール、奥がVストローム250の17インチホイール手前がVストローム250SXの19インチホイール、奥がVストローム250の17インチホイール

比べてSXはフロントタイヤサイズを19インチ及び、最低地上高205mmへ拡大させ、全体的に大柄になっているためにシート高は835mmと少々高めな設定に。身長168cmの僕だと両足つま先立ちになってしまった。このあたりはベタベタの足着きだった無印とは対照的だ。もっとも車体が164kgと無印より27kgも軽いからつま先立ちでも結構いけてしまう。シート高が25mm下がるローシートがオプションで用意されているので、街乗りでしょっちゅう足を着くような使い方の人は、そちらを試してみるといいだろう。

◆スポーティーなエンジン特性でダート走行を楽しむことが出来るポテンシャル

スズキ Vストローム250SXスズキ Vストローム250SX

エンジン特性も同じ250ccながら、印象は大きく違っていた。SXの油冷単気筒は、やっぱりレスポンスの良さが光る。4000rpm以上がパンパンと鋭く吹け上がって元気がいい。並列2気筒の無印はどちらかというと「ドルルルルゥ」と、ツーリングに優しい印象だったのに対し、SXのエンジンはスポーツ向き。1万rpmリミットまでパーンと回っちゃうので、この特性がまたダートでちょっと車体を振りたいなといった時も簡単にリヤを滑らせて向きを変えることができる。

このエンジン特性やライポジ含めた車体が功を奏して、実際にダートを走ってみるとやはりSXのダート走破性はかなり高いものに仕上がっていた。特に気に入ったのは、フロント19インチタイヤと幅広ハンドルのおかげでステアリングが取られにくく、フロントが少々滑ってもハンドルの押し引きだけで修正することができる。また、パンチのあるエンジン特性がフロントタイヤを前に押し出すことでサポート。SXはアクセルを開けることにより、直進性、走破性を引き出すことができる。

スズキ Vストローム250SXスズキ Vストローム250SX

結果としてダートでの走行ペースは本格オフロードモデルには及ばないものの、しっかりとスポーツバイクとして楽しめるものになっていた。無印も足着きの良さでダートを走り切ることが出来るのだが、ハンドル修正はSXのようにいかず、走行ペースとしてはゆっくりトコトコと走破する感じになるので、SXとは楽しみ方が異なってくる。

◆オンロードでも気持ちよく走れるセミブロックタイヤ

スズキ Vストローム250SXスズキ Vストローム250SX

ではダートが得意になった分、SXはオンロード性能を犠牲にしたかと思うと、そうではない。元気の良いエンジンは高回転まで元気がよいので、高速道路でも意外とハイペースで走っていける。ワインディングも本格オフローダーのフロント21インチほど大きくない19インチと車体の軽さで軽快だ。ブロックパターンがゴツイ印象だったタイヤも実際にはオンロード性能も意識したセミブロックタイヤで、高速道路でも安定感やグリップ力に不満は無い。

スズキ Vストローム250SXスズキ Vストローム250SX

そして前後ブレーキのタッチがオンオフ問わず極めて秀逸。特にダートでの走りやすさに、このブレーキの影響も大きかった。サスペンションストロークが長いモデルで無印のようにブレーキがしっかりと効きすぎると、ノーズダイブなど何かと気になるもの。それをSXはディスク径を大きくしたり、バイブレ製のキャリパーを使ったりなど、前後ブレーキのバランスも最適化し、ABSも含めて滑らかなブレーキングを実現してダートでもグリップを失いにくいようにしている。

スズキ Vストローム250SXスズキ Vストローム250SX

フロントブレーキだけでなくリヤブレーキのコントロール性も高いので、オフでは積極的に前後ブレーキを活用できる。ひとつ残念なのは大型アドベンチャーのようにリヤABSをOFFにできる機能がないこと。これがあるともっと走りの幅が広がったところだろう。

◆オンもオフも楽しめる"スポーツアドベンチャー"がVストローム250SXだ

積載性やタンデム性能については無印には負けてしまうが、SXもなかなかだった。そもそもメイン市場となるインドではタンデムライダーが横を向いて座る「サリー乗り」が一般的のようで、それに十分対応できるよう大きなタンデムシートを装備している。そして車体を軽くもしたいが、アンダーガードやナックルガードを純正装備してオイルクーラーガードなど壊れて困る部分を鉄でしっかり造りこむところも、これまたスズキの真面目さが感じ取れた。

スズキ Vストローム250SXスズキ Vストローム250SX

今回2台の乗り比べ試乗を通して感じたこと。3点ボックスを後ろに積むことを前提に安定感と長距離であるほど疲れにくい優しいエンジン特性から、無印のVストローム250を簡単に表現するなら「ツーリングアドベンチャー」。一方Vストローム250SXはオンオフ含めて単純に元気に楽しめる「スポーツアドベンチャー」だと感じた。もしVストローム250SXを選ぶなら、なるべく荷物を最小限に、その元気な走りを純粋にスポーツバイクとして楽しんでいきたい。

スズキ Vストローム250SXの公式ページはこちら

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

《丸山浩》

丸山浩

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー 1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

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