乗りやすさを瞬時に向上させるチューニング“スロコン”がオススメな理由~カスタムHOW TO~

スロットルコントローラーはどう効く!?
スロットルコントローラーはどう効く!?全 1 枚

手軽なチューニングパーツとして人気のあるスロットルコントローラー。これで速くなるわけではないが、乗りやすさを得ることは可能。どんな場合に有効なチューニングパーツなのか。

2000年前後までクルマはアクセルペダルを踏むとワイヤーがスロットルバルブを直接引っ張っていた。それによってエンジンに空気が入り、その空気の量に合わせてガソリンが噴射されて加速する仕組みだった。いわゆるワイヤースロットル式と呼ばれる方式。

それが近年は電子スロットルと呼ばれるものに変わった。アクセルペダルを踏むとその量をセンサーが感知。どれくらい踏み込んだかをクルマ側のコンピューター(ECU)が感知して、ドライバーが欲していると思われる加速が得られるようにスロットルを電気モーターで開き、入った空気に合わせてガソリンを噴射している。

◆現代のクルマの味付けに欠かせないモノ

ドライバーはスイッチの操作をしているに過ぎず、スロットルバルブはモーターで制御しているので、アクセルを踏んだ量とバルブが開いている量が必ずリンクしているとは限らない。

それはECU内にあるマップで管理されている。わざとアクセルを踏んだ量よりも大きくバルブが開くようにすれば、ドライバーのイメージよりもクルマは強く加速する。それをドライバー側では「パワーがある」と感じる。低回転ではわざとアクセルに過敏に反応することで、ハイパワーな印象を受けるように味付けたりもできる。

逆に高速巡航をするような状況では、アクセルに対してスロットルがダルく反応するようにして、ゆったりとしたドライブ感を演出できたりする。そういった現代のクルマの味付けに欠かせないのが、アクセルペダルに応じたスロットルバルブの反応するマップなのだ。

その領域はECUチューン時に書き換えることも多い。各チューナーがどうしたら乗りやすくなるかをテストして、純正のマップからよりリニアに味付けたりする。

サーキット走行では思った以上にスロットルが開いてしまうと、タイヤが滑り出してしまう危険がある。そこでわざと演出的な部分をカットしてリニアに反応するように調整することが多い。

エンジンの点火時期や可変バルブタイミング機構などのマップも書き換え、それらがパワーを発揮した上で扱いやすくなるようにスロットルのマップも最適化しているのだ。

◆手軽にワンタッチで安全なチューニング

だが、それにはECUチューンが必要でコストも10~15万円は必要になる。そこでスロットルコントローラーの出番である。

スロットルコントローラーは手軽にワンタッチで取り付けられるパーツで、それによってスロットルマップを書き換えられるもの。正確にはその信号を変えたりするもので、手元でその反応具合を変えることもできる。

普段乗りではややスロットルが強めに反応するようにしておいて素早くイージーに加速できるようにしつつ、スポーツ走行時はリニアな反応をするように調整したりができる。

実際にエンジンパワーが高まっているわけではないが、体感上はそう感じることができる。エンジンチューンではないので、実際に発生しているパワーはノーマルと同じ。ある意味安全なチューニングとも言える。

しかし、気をつけたいのはエンジンチェックランプが点灯したりすることがあること。車種によってはアクセルを踏む量と加速などを異常と判断して、エンジンチェックランプが点灯したり、フェイルセーフモードに入ってしまうこともある。

フェイルセーフモードになると速度が20~30km/hなどしか出なくなってしまう。エンジン自体が故障してしまうわけではないが、ディーラーでコンサル機にかけてコンピューターのエラーチェックなどをしなければ直らないこともある。

なので、DIYで簡単に取り付けられるパーツではあるが、車種ごとに相性などもあるのでプロショップなどに相談の上で使うようにしてもらいたい。

そういった注意点さえクリアすれば、驚くほど乗りやすくなることもある。とくにアクセルに対する反応を高めるだけでなく、過敏に反応する車種ではややスロットルの反応をダルめにすることで乗りやすくなることもある。自分でリニアな反応の領域を見つけることで、自分だけのチューニングを完成させることも可能なのだ。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  2. メルセデスベンツの主力SUV『GLC』、新型を9月に世界初公開へ
  3. カワサキ『Ninja ZX-25RR』を日本初導入、価格は105万2700円 スタンダード版「25R」は廃止
  4. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  5. その名の通り1000馬力! 新型スーパーカー『ブラバス1000』発表、AMG GTのPHEVをさらに強化
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る