プロショップの「チューニング能力」の凄さ…キーワードから読み解くカーオーディオ

「カーオーディオ・プロショップ」にて製作・チューニングされたオーディオカーの一例(製作ショップ:アンティフォン<石川県>)。
「カーオーディオ・プロショップ」にて製作・チューニングされたオーディオカーの一例(製作ショップ:アンティフォン<石川県>)。全 4 枚

愛車のサウンドシステムを発展させることに興味を抱いて調べてみると、専門用語が多々目に入る。そしてそれらが入門者を困惑させることとなる。当連載では、その解消を目指して展開している。現在は「カーオーディオ・プロショップ」という用語に焦点を当てている。

◆車内には音響的な不利要因がいくつかある。しかし「チューニング機能」を活用すると…

今回は「カーオーディオ・プロショップ」の「インストーラー」たちが、「サウンドチューニング能力」に長けていることについて説明していく。

ところで、「カーオーディオ・プロショップ」にて機器の取り付けや「サウンドチューニング」を行う人のことは、伝統的に「インストーラー」と呼ばれている。1980年代の終盤あたりにカーオーディオがブームなり始めた頃から、この呼び名が定着している。

では、その「インストーラー」たちの「サウンドチューニング能力」について説明していこうと思うのだが、その前に、カーオーディオにて「サウンドチューニング機能」が用いられるその理由から簡単に説明しておきたい。

その理由をひと言でいうなら以下のとおりだ。「車内は音響的なコンディションがあまり良くないから」だ。良くないポイントは主に3つある。「スピーカーの取り付け条件が都度変わること」、「狭いがゆえに周波数特性が乱れやすいこと」、「リスニングポジションが左右のどちらかに片寄ること」、これらだ。しかし「サウンドチューニング機能」を駆使すれば、これらへの対処が可能となるのだ。

「カーオーディオ・プロショップ」にて製作・チューニングされたオーディオカーの一例(製作ショップ:アンティフォン<石川県>)。「カーオーディオ・プロショップ」にて製作・チューニングされたオーディオカーの一例(製作ショップ:アンティフォン<石川県>)。

◆「マルチウェイスピーカー」では、音楽信号を分割する必要性が生じるが…

では、それぞれがどういうことなのかを説明していこう。まずは「スピーカーの取り付け条件が都度変わること」について。

それを説明するのにまず、スピーカーの成り立ちについて触れておきたい。カー用もホーム用もスピーカーは、「マルチウェイスピーカー」である場合がほとんどだ。「マルチウェイ」とは、高音から低音までの再生を複数のスピーカーにて行う方式のことを指す。例えば、高音は「ツイーター」にて再生し中低音は「ミッドウーファー」にて再生するとき、このようなスピーカーが「マルチウェイスピーカー」であり、このように2種類のスピーカーユニットにて構成されるものは「2ウェイスピーカー」と呼ばれることとなる。

なおホーム用の「2ウェイスピーカー」は普通、「スピーカーボックス」内に音楽信号を高音と中低音とに分割するための装置である「パッシブクロスオーバーネットワーク」が仕込まれている。これにて、そのスピーカーにとって最適なやり方で、音楽信号が2分割されることとなる。

カー用のスピーカーも基本的に「パッシブクロスオーバーネットワーク」が付属されていて、その製品にとって最適な帯域分割を行えるようになっている。

しかし……。

「カーオーディオ・プロショップ」にて製作・チューニングされたオーディオカーの一例(製作ショップ:アンティフォン<石川県>)。「カーオーディオ・プロショップ」にて製作・チューニングされたオーディオカーの一例(製作ショップ:アンティフォン<石川県>)。

◆スピーカーの性能を引き出すためには、ベストな「帯域分割」のさせ方を探るべき!

実はクルマの中では、メーカーが設定した「帯域分割」のさせ方がベストな設定ではないことが多くなる。なぜならば取り付けのコンディションが装着するクルマに応じて、さらにはオーナーの好みや都合に応じて変化するからだ。なのでそのスピーカーの性能を十分に引き出そうと思ったら、「帯域分割」のさせ方を取り付け条件に応じて見直したくなる。

その見直しを行えるように、「サウンドチューニング機能」が搭載されているメカである「プロセッサー」には「クロスオーバー」という機能が搭載されている。これを用いれば、使用するスピーカーにとってベストな「帯域分割」のさせ方を模索できる。

しかし、この操作は簡単ではない。設定において目指されるのは「スピーカーの性能を引き出すこと」だが、何をどのように設定すればもっとも性能を引き出せるのか、その見極めが難しいのだ。

でもプロはそれを経験則に当てはめながら各設定項目を検討し実際に音を出して確認しながら、最適なセッティング値を見つけ出す。

今回はここまでとさせていただく。次回はこの続きを説明していく。次回の当コーナーの記事も、お読み逃しなきように。

《太田祥三》

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