毎年恒例、勝手に選ぶ「イワサダ賞2023」大賞は王道の一台!そして「エキパイとの決別」【岩貞るみこの人道車医】

毎年恒例、勝手に選ぶ「イワサダ賞2023」大賞は王道の一台!そして「エキパイとの決別」
毎年恒例、勝手に選ぶ「イワサダ賞2023」大賞は王道の一台!そして「エキパイとの決別」全 12 枚

長い長いトンネルを抜けて、2023年は日常生活がもどってきた。非常事態宣言が出て、世の中の動きが凍結してから3年。冬眠するように過ごすなか、それでも技術は進化し概念はアップデートされ、4年ぶりに行われた東京モーターショーは、「ジャパンモビリティショー」として生まれ変わった。

もうクルマは、一台一台がどうこうという時代ではないのか。タイムパフォーマンスという言葉がもてはやされ、いかに要領よくふるまうかが人の価値を決めている風潮のなかで、A地点からB地点へ効率よく動くことが求められている。これから、クルマ単体の価値は、どう評価され受け入れられていくのだろう。

なーんてことを、後頭部のはじっこでちらっと思いながらも、やっぱりクルマはクルマ。物の価値は不変なのである。

そして今年も勝手に恒例の、「イワサダ賞2023」だ。

◆今年のイワサダ賞は、王道「プリウス」

トヨタ プリウス(写真はPHEV)トヨタ プリウス(写真はPHEV)

今年のイワサダ賞“Car of The Year”は、トヨタ『プリウス』である。

王道すぎて、面白味もなんもないといわれようが仕方ない。1997年12月。初代プリウスが「21世紀に間に合いました」と登場してから、私はこれまで一度もプリウスが欲しいと思ったことがない。しかし、今回、私が歳をとったせいか、プリウスが時代の流れを読み切ったせいか、初めて、次のクルマ、これにしよっかなと思っちゃったのである。

デザインもね、かっこいいし。重箱のスミつつきが好きな私も、つついてもなにも出てこないし。

◆テクノロジー、コンセプトのダブル受賞は「ロータリーEV」

マツダ MX-30 ロータリーEVマツダ MX-30 ロータリーEV

“Technology of The Year”、および、“Concept of The Year”のダブル受賞は、まぎれもなくこの一台であろう。

マツダの『MX-30 ロータリーEV』だ。

あのロータリーエンジンが復活!と書くと、懐古趣味と言われそうだが、クルマ自体はまったく懐古していない。ロータリーエンジンの性能と魅力を新たな価値として作り上げた技術に、新しい風が吹いて日本の特別な日の出を見る思いだ。

マツダ MX-30 ロータリーEVマツダ MX-30 ロータリーEV

加速感、音や振動、なめらかさ。どれをとっても「このシステム、広がってほしい!」と思わされる魅力にあふれていて、電気自動車に躊躇する私でも、迷わず、これなら!と思ってしまう。

魅力的なクルマとは、これ!という衝動的な思いを沸き立たせてくれるものだ。この技術とコンセプトには、十分に私を舞い上がらせるだけの底力を感じるのである。

◆特別賞は「エキパイとの決別」

カワサキ Ninja e-1カワサキ Ninja e-1

そして、特別賞。これは、二輪車。

カワサキの電動スポーツバイク、『Ninja e-1』。

Ninja(ニンジャ)といえば、ホンダ『CB750F』、スズキ『カタナ』と並び、萌え萌えビッグバイク3兄弟である(そのころのヤマハは2ストの「RZ」だったのでパス)。そのNinjaが、Ninjaが、電動に! という衝撃はハンパない。

乗っていないので、インプレができなくて恐縮だが(大型二輪免許は持っています!ただし、ペーパーライダーに成り下がり状態)、それよりもなによりも、このデザイン。なにがないって、エキパイがない! エキゾーストパイプがない! ないのよ! ジャパン・モビリティショーで見たときは、腰が抜けるかと思いましたよ。(※エキパイ=排気管ね)

カワサキ Ninja e-1カワサキ Ninja e-1

ビッグバイクのデザインでなにに惹かれるかって、エキパイではなかったか。エキパイだけ替えちゃって(KER KERとかね)、うっとりした世界観はもうない。衝撃的である。おそらく、ダミーでなにかつけるという選択肢もあっただろうに(ないのかな)、きっぱりエキパイとの決別をしたあたり、本当にもう、2023年は「ビッグバイクのエキパイなし元年」になったことだろう。

これから、ビッグバイクはどうなるんだろう。電気やハイブリッドは、スクータータイプにまかせておいて、私の目の黒いうちはぜひ、ビッグバイクにはエキパイのあるタイプ(つまりガソリンエンジン)を残し、街の景色を華やかにし続けていただきたいと切に願っている。

◆100年に一度の転換期と言われて数年

ジャパンモビリティショー2023でのトヨタのステージジャパンモビリティショー2023でのトヨタのステージ

クルマ業界は、100年に一度の転換期と言われて数年がたった。21世紀も5分の1はとうにすぎている。大谷翔平のすごさと、それを作り上げたストイックさを見せつけられた今年は、自分の時間の使い方のへたさにうんざりした年でもある。

来年こそは、がんばろう。いや、今日からがんばれ、自分。そう肝に銘じつつ、来る年が、みなさんにとってもよい年になりますように。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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