【ヤマハ YZF-R125/R15 試乗】原2クラスに贅沢すぎるフルカウルSS、ありがとうヤマハ!…青木タカオ

ヤマハ YZF-R125
ヤマハ YZF-R125全 32 枚

◆コーナーが待ち遠しい!

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茂原ツインサーキット(千葉県茂原市)のバイク用コースは、ツーリング先によくあるワインディングのようでもあり、くねくね道を元気よく走ったときをイメージしやすい。

タイトコーナーは、もちろん反対車線に飛び出してはいけないからコンパクトに回りたいし、足まわりがガチガチにキマって、荒れた路面では神経質に感じて怖いなんてことがあるのも困ってしまう。

そんなシーンでヤマハ『YZF-R125』は扱いやすく軽快。前後サスがソフトに動いて路面追従性に優れるし、乗り心地も良い。

自在に操れるイージーな感覚のハンドリングで、連続するカーブが楽しくて仕方がないのだ。

◆可変バルブの恩恵感じるトップエンドの伸び

ヤマハ YZF-R125ヤマハ YZF-R125

水冷SOHC4バルブエンジンも125ccにしては全域で力強い。クラストップの15psを発揮するのはさるところながら、落ち込むところがないのは「VVA(可変バルブ)」の採用によるところが大きい。

中低速向けカムを7400rpmを境に高速向けカムに切り替え、トップエンドまでシームレスに伸びていくから爽快としか言いようがない。

下から上までスムーズに、しっかりとパワーを伴って回るエンジンは病み付きになる中毒性があり、コーナーを立ち上がる度に右手のスロットルグリップは全開! そして、カーブにさしかかるとまた、ブレーキレバーを引きずりながら車体を寝かし込んでいくの繰り返しだ。

◆クラスを超えた本格的な装備

ヤマハ YZF-R125ヤマハ YZF-R125

シフトダウンも過激になっていくが、スリッパークラッチを装備するからエンブレも効きすぎないよう制御してくれる。

アクセルのアケっぷりが大胆になるのはトラクションコントロールシステムの搭載が安心感をもたらすからで、気がつけばスポーツライディングに夢中となり、ヤマハがクローズドコースでメディア向け試乗会を開いてくれたことに感謝したくなる。

もし、公道のくねくね道ならついつい熱くなりすぎてしまうだろうから、もっとしっかりと心にブレーキをかけなければならない。

つまり原2クラスでありながら、一般道を使ったツーリングなら充分過ぎるスポーツ性能を『YZF-R125』は持っているというわけだ。

◆病みつきの楽しさあるR15

ヤマハ YZF-R15ヤマハ YZF-R15

これが『YZF-R15』になると、同じ車体のまま排気量が31ccも上乗せされる。相対的に見れば、31ccは僅かではない。

かつてヤマハには『RZ250』にナナハンキラーと呼ばれた『RZ350』があったように、これはもう“ウラ技”的に楽しい!

軽快なステアリングフィールをそのままに、全域でモアパワーを感じられ、中毒性がより強い。さすがはヤマハ、原2クラスでもスポーティさに関しては手加減がなく譲らないのだ。

◆原2クラスに贅沢すぎるフルカウルSS

ヤマハ YZF-R125ヤマハ YZF-R125

そもそも、長兄『YZF-R1』譲りの水平基調のデザインであったり、LEDポジションライトを備えるフロントマスク、先進的で機能性に富むマルチファンクションLCDメーターや肉抜きされたトップブリッジ、軽量アルミ製リアアームなど、車体全体から「125ccだから」という言い訳や妥協は一切感じられない。

よくぞ、こんなにも立派なフルカウル・スーパースポーツを発売してくれたとお礼を言いたくなる。

可変バルブ搭載のエンジン、スリッパークラッチにトラクションコントロール、スーパースポーツの上級モデルの話ではない。原2クラスにこの贅沢すぎる装備なのだから、ヤマハすごいぞ、ありがとう!

◆若者たちよ、125クラスから初めてみないか!?

ヤマハの新型125ccシリーズと青木タカオ氏ヤマハの新型125ccシリーズと青木タカオ氏

メーカーらバイク業界はライダーの高齢化を懸念し、若年層にバイクの魅力をもっと伝えていきたいとしてきたが、新車価格は高いし、ビギナーが入ってくるのが難しくなっているのが現状だ。

エントリー層が乗り越える壁を少しでも低くしようと、原2クラスに『YZF-R125』(51万7000円)をはじめ『XSR125』(50万5000円)、『MT-125』(49万5000円)とラインナップを充実させて魅力的にし、「手軽な125ccからバイクライフを初めてみては!?」と、いうヤマハの提案には大いに賛同できる。

かつて、バイクの免許を取って最初に買うバイクは「中古のニーハン」が最適・無難で、性能・価格的にも買いやすかったが、市場に低価格なものは、今やなかなか見当たらない。まっさらな新車で、こうした立派なモデルが出てきたのは嬉しい限りだ。

もちろん、既存ユーザーの乗り換えやセカンドバイクにもちょうどいい。さらに、高速道路も走行できる軽二輪枠の『YZF-R15』(55万円)は、いろいろと使えて発展性があり用途が広がる。どちらもオススメだ!

ヤマハ YZF-R125ヤマハ YZF-R125

■5つ星評価(YZF-R125)
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★
オススメ度:★★★★★

■5つ星評価(YZF-R15)
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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