日本初の月面ロボット『SORA-Q』が写真撮影に成功!!---家庭で擬似体験も?

LEV-2 SORA-Qが撮影・送信した月面画像 (c) JAXA/タカラトミー/ソニーグループ/同志社大学
LEV-2 SORA-Qが撮影・送信した月面画像 (c) JAXA/タカラトミー/ソニーグループ/同志社大学全 13 枚

宇宙航空研究開発機構(JAXA)、タカラトミー、ソニーグループ、同志社大学の4者が共同開発した変形型月面ロボット(Lunar Excursion Vehicle 2、LEV-2)、愛称『SORA-Q』が1月25日、小型月着陸実証機(SLIM)の撮影に成功した。

◆世界初の完全自律ロボットによる月面探査

LEV-2 SORA-Q(レブツー・ソラキュー)は日本初の月面探査ロボットとして、また世界初の完全自律ロボットによる月面探査を達成し、さらに世界最小・最軽量の月面探査ロボットとなった。

SLIMに搭載されていたLEV-2 SORA-Qは、1月20日に月面へ放出された後、SLIMおよび周辺環境を撮影し、その画像を地上に送信した。この成功は、LEV-2が球体から変形し、月面で正常に展開・駆動したこと、そしてLEV-1との通信機能が正常に動作したことを示す。LEV-2 SORA-Qは、オンボードの光学カメラで撮影した画像から、画像処理アルゴリズムにより良質なものを選定し、送信した。

JAXA宇宙探査イノベーションハブの船木一幸ハブ長は、「玩具の技術と最新のセンサー・ロボティックス技術、そしてJAXAの宇宙技術との融合により開発されたLEV-2 SORA-Qが大きな成果を収めた。宇宙探査イノベーションハブが日本中の企業と連携し、月をめざした研究開発を始めて今年で10年目になる。日本ならではの新しい月面探査技術が数多く育ちつつあり、月の時代の新たな幕開けだ」とコメント。

また、タカラトミーの富山幹太郎代表取締役会長は「SORA-Qプロジェクトの成功が、世界中の子どもたちが自然科学に対する興味や関心を持つきっかけになることを願うと同時に、難しい事や新しい事に挑戦していく事の大切さと、夢と希望を与え自分自身の未来を創り出す力を信じるきっかけとなることを期待している。創業100周年を迎えるこの記念の年に、生業である“おもちゃ”の技術が偉業の一翼を担えたことを誇りとし、私たちはこれからも“アソビ発”の新たな挑戦を続けていく」と述べている。

今後の走行ログを含むデータの解析結果も公表される予定で、日本の月面探査技術のさらなる進展が期待される。

SORA-Q のミッション (c) JAXA、TOMYSORA-Q のミッション (c) JAXA、TOMY

◆タカラトミーが研究開発に参画したロボット

「SORA-Q」は月面低重力環境下における超小型ロボットの探査技術の実証を目的とし、JAXAの宇宙探査イノベーションハブとして初めて月面での実証を行なう。SORA-Qは、超小型の変形型月面ロボット(LEV-2)の愛称だ。直径約80mm、質量約250g。

SORA-QはJAXA の「宇宙探査イノベーションハブ」共同研究提案公募の枠組みの下、2016年からJAXAおよびタカラトミーが筐体の共同研究を開始し、その後2019年にソニーが、2021年に同志社大学が加わり、4者で共同開発した。

LEV-2 SORA-Qは、JAXAのSLIMに搭載され、H-IIAロケット47号機(H-IIA・F47)により、種子島宇宙センターから2023年9月7日8時42分11秒(日本標準時)に打上げられた。

LEV-2 SORA-QはSLIMの月着陸直前に、もう一台のロボット「LEV-1」とともに月面へ放出される。月面に着陸後、瞬時に球体が左右に拡張変形し、月面を走行する。そして搭載された前後2つのカメラを利用して写真を撮影するとともに、月面走行時のデータを取得する。その後、「LEV-1」を経由して、写真や走行データを地球へと送信する。

タカラトミー、SORA-Q Flagship Model(日本おもちゃ大賞2023イノベイティブ特別賞、東京おもちゃショー2023)タカラトミー、SORA-Q Flagship Model(日本おもちゃ大賞2023イノベイティブ特別賞、東京おもちゃショー2023)

◆月面擬似体験モデルは2万7500円

タカラトミーは、SORA-Q(ソラキュー)の1/1スケールモデル「SORA-Q Flagship Model(ソラキューフラッグシップモデル)」を消費税込み希望小売価格:2万7500円で販売している。

月面体験を家庭でも疑似体験できるよう、月に行く機体と同じ大きさ、同じ変形、同じ動き(バタフライ、クロール走行)を再現した1/1 スケールモデルだ。専用のアプリ(無料)を使用して操作し、月面で動く SORA-Q と同じ動き(変形や前後左右の操縦)が楽しめる。

また本体カメラを通しての写真撮影や、月面探査の疑似体験(ARを活用して指令をクリアするアプリ内ミッション)など、月での体験を自宅で楽しめる。アプリ内ミッションの結果や撮影した画像は“探査記録”としてアプリに蓄積されるほか、JAXAなどが所有する月の画像を使用した月面探査の疑似体験を通じて、月や宇宙飛行士に関する知識を得ることができる。

《高木啓》

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