EVはタイヤへの負担が意外と高い? ガソリンスタンドに行かなくなって気づくこと【日産 サクラ のメンテナンス】

EVのタイヤメンテナンスはガソリン車とどう違う? 写真は筆者の日産サクラ。
EVのタイヤメンテナンスはガソリン車とどう違う? 写真は筆者の日産サクラ。全 11 枚

EVのメンテナンスは難しいのか? ガソリン車とどう違うのか? 短期連載の1回目『EVの維持は簡単?「点検項目」ガソリン車との違いは?』では、一般的な日常点検の項目からそれぞれの違いをチェックした。2回目はタイヤに関する点検事項をとりあげる。

トルクレンチの目盛りの読み方

本稿では、筆者所有の日産『サクラ』を例にするが、一般的なEVについても重複する部分も多い。メンテナンスの詳細は、各車の取り扱説明書を必ず読んで、必要ならディーラー整備士などに相談しながら各自の責任で行ってほしい。

◆タイヤの空気圧からみてみよう

タイヤのスリップサイン:タイヤの溝が、△印の先に見える段差の高さに達する前に交換タイヤのスリップサイン:タイヤの溝が、△印の先に見える段差の高さに達する前に交換

日常のメンテナンスや整備は、EVも一義的にはディーラーや専門家、メーカー・ディーラー系のモバイルサービスにまかせるべきだが、自分できることは自分でやったほうがいい。法律でも車両の運行管理責任は所有者にある。

EVは、先ほど述べたようにタイヤへの負担が意外と高い。また、ランニングコストの安さと快適な動力性能から、EVオーナーはガソリン車を所有していたときより、走行距離が延びるという報告もある。EV移行期だから(相対的に楽しいと感じる)という側面もあるが、EVこそメンテナンスが重要ともいえる。そして、ガソリンスタンドを使わなくなるので、ちょっとした整備も自分でやらなければならない、自分でやったほうが楽、というシチュエーションもでてくる。

たとえば、タイヤの空気圧チェックは、ガソリン車なら給油のときにやってもらうことができる。だが、EVの場合、ディーラーに持ち込むか自分でやることになる。ガソリンスタンドもEVのエアチェックを拒否することはないはずだが、利用する側としては心理的なハードルではある。同様にスタッドレスタイヤの交換作業、ローテーション作業(タイヤの減りが早いEVにおいて、高価なタイヤを長持ちさせるために重要)も、ガソリンスタンドはお願いする対象からはずれる。

なお、サクラの規定空気圧は4輪とも240kPa。サクラはスペアタイヤは搭載されていないが、電動の空気入れがついている。本体が樹脂製で安っぽく感じるが付属エアゲージは意外と正確だ。このメーター読みで空気圧調整したあと、別のゲージで測ってもそれほど誤差なない。パンク時は応急修理キットで対応する。

◆EVタイヤ交換の注意点

電動のインパクトレンチがあればさらに効率化電動のインパクトレンチがあればさらに効率化

EVオーナーなら、タイヤ交換を覚えておいて損はない。交換手順や注意点は他の車との違いはない。車両の取り扱い説明書などを参考に行えばよい。

自分で行う場合、ジャッキ、ホイールレンチ、トルクレンチは最低限用意しておくこと。ガレージジャッキなどで2輪以上を同時に持ち上げるなら、「当て馬」を使って安定させる。ホイールレンチはL字タイプより十字タイプのものがおすすめだが、電動のインパクトレンチがあると作業がかなり楽になる。車両取り扱い説明書に記載されたホイールの締め付けトルク(サクラは98Nm)を参考に100Nmから200Nmあたりのインパクトレンチを利用する。

最終的な締め付けトルクの確認はトルクレンチで行うこと。自分の持っているトルクレンチは古いタイプでマクロメーターのような目盛りでトルクを設定する。いまはデジタル表示のものがでているのでそちらがおすすめだ。レンチでの締め付けは「仮」とし、最後はすべてのナットをトルクレンチで締め付けること。「カチッ」と音がしたら規定トルクに達したので、そこで締め付けをやめる。何度もカチカチさせてはいけない(締めすぎになり、トルクレンチにもダメージを与える)。

サクラのジャッキアップポイント。EVの場合、フロアのバッテリー部分には細心の注意をサクラのジャッキアップポイント。EVの場合、フロアのバッテリー部分には細心の注意を

タイヤ交換でジャッキアップするとき、EVは細心の注意が必要だ。説明書で必ずジャッキアップポイントを確認し、その場所以外にジャッキをあてない。ジャッキも車両に付属のものを使う。フロア下部にはEVの心臓ともいえるバッテリーが設置されている。ジャッキを当てるポイントに注意してフレームやバッテリーケースに傷をつけないようにする。

サクラはエンジン車のデイズとシャシーフレームを共用(デイズ開発時にEVを想定していた)しているので、ジャッキアップポイントは従来からの車と違いはない。サイドシルの下をのぞくと、鋼板を貼り合わせたリブに目印の切込みがある。必ずこの場所にジャッキをあてること。

この説明でわからない人、不安がある人は迷わずディーラーにお願いすること。今の車は自分で整備できなくてもなんら恥じることはない。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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