「ケンメリの木」から森を守り育てる“ブルースイッチ”の取り組み…NISSAN ZERO EMISSION FORUM 2024

アリアとリーフで一般家庭の通常の生活電力の7日分はまかなえる
アリアとリーフで一般家庭の通常の生活電力の7日分はまかなえる全 18 枚

2月2日、日産自動車が3回目となる「NISSAN ZERO EMISSION FORUM 2024」を開催した。フォーラムでは日産のエネルギーマネジメントサービスと北海道美瑛町、広島大学との連携プロジェクトについてが発表された。


能登半島地震で得られた新たな知見

フォーラムは、日産自動車 執行役員副社長 星野朝子氏によるブルースイッチ活動の報告や新しい取り組みの発表から始まった。ブルースイッチ活動とは、EV普及によって環境問題や地域課題の解決を目指す取り組みだ。日産と自治体などが連携して、災害時にEVの電力を避難所や対策拠点に提供する活動などがある。

1月の能登半島地震について被害者の追悼、被災地への哀悼の意を述べたあと、ここでのブルースイッチ活動では「改めて多くのことを学べた」(星野氏)とも語る。

通信障害、余震の影響、自治体や対策本部の混乱、道路の分断で思うように支援、EVなどの救援車の派遣ができない問題に直面した。道路開通情報はコネクティッドカーから得ることができる。開通情報をHPで公開する一方、支援車両を緊急車両指定にする手続きなどもしなければならなかった。支援車の拠点となるディーラーも被災していたところもあった。自らも復旧活動をしながらブルースイッチ活動も両立させる。

課題もあったが、この学びは他の自治体との災害連携協定でも共有していくとした。

日産自動車 執行役員副社長 星野朝子氏

ブルースイッチ活動の今後の方向性については次のように述べた。

「日本のEV普及率は2.2%程度。10年以上EVを販売している日産でも11%を超えたところ。まだまだ足りないと思っている。4Rエナジーのサーキュラーエコノミー(自動車バッテリーの再利用、再生他)の活動も広がっている。今後は240箇所のブルースイッチの連携拠点という点を面に広げていく」

日産が始める本格的エネルギーマネジメント事業

点を面に広げるための取り組みのひとつとして発表されたのが「日産エナジーシェア」というサービス。日産エナジーシェアは、交通事業者、運輸運送事業者、社用車・公用車を扱う企業や自治体向けのEVを利用したエネルギーマネジメントソリューションだ。

日産エナジーシェア

EV活用は一般的にメンテナンスやランニングコストの低減といった効果がある。だが、タクシーや多数の営業車を持つ事業者は、充電の最適制御やピークシフト、ピークカットという課題も抱える。車両ごとの利用形態、スケジュール、バッテリー状態に応じた最適な充電制御を行わないと、ピーク電力が文字通りのスパイク状になり、ピーク電力をもとに決められる料金が割高になるのだ。

EVのトラック、タクシー、営業車を導入している事業者は、フリート管理に充電制御を組み込むことが必須となっている。日産では、10年以上の市販EVの知見、データをもとにこのフリート・エネルギーマネジメント事業に乗り出す。制御はクラウド接続された充電器をベースに行われる(車両のDCMではない)。グリット電力の節約、最適化のほか、PV(太陽光発電パネル)との連携・協調制御にも対応する。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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