ホンダのCIマイクロモビリティ、ポイントは「地図レス協調運転技術」と「意図理解・コミュニケーション技術」

協調人工知能「Honda CI」を搭載したCIマイクロモビリティ『CiKoMA(サイコマ)』(右)と、『WaPOCHI(ワポチ)』(左)
協調人工知能「Honda CI」を搭載したCIマイクロモビリティ『CiKoMA(サイコマ)』(右)と、『WaPOCHI(ワポチ)』(左)全 17 枚

本田技術研究所は2月1日、開発を進めてきた協調人工知能「ホンダCI(Cooperative Intelligence)」を搭載した「ホンダCIマイクロモビリティ」の一般向け実証実験を、2月より茨城県常総市の「アグリサイエンスバレー常総」で開始すると発表した。


◆実証実験の舞台は「アグリサイエンスバレー常総」

この実証実験で用意されたモビリティは、自動走行する搭乗型マイクロモビリティ『CiKoMa(サイコマ)』と、一緒に歩く人を先導したり追従するマイクロモビリティロボット『WaPOCHI(ワポチ)』の2つ。ここで共通するのは、人とわかり合える独自のAIである協調人工知能「Honda CI(Cooperative Intelligence)」を搭載していることにあり、その技術実験の一環として実施されているものになる。

この2台の名前の由来を訊ねたところ、サイコマは「小さい仔馬」の意味を持ち、人を乗せる馬という意味だけでなく、当該エリアがもともと板東武者が馬を訓練する場所であったことも関係しているという。一方のワポチは、“ウォーキングサポート”に犬の名前でよく使われる“ポチ”を組み合わせた造語である。

実験の舞台となった「アグリサイエンスバレー常総」は、2023年5月にオープンした複合施設で、常総市や戸田建設が官民連携で新たな街作りを目指したモデル事業となっている。施設内には「道の駅常総」をはじめ、BOOK&CAFEスタイルの「TSUTAYA BOOKSTORE 常総インターチェンジ」があり、その他にも最先端の技術を取り入れた農業施設なども運営されている。

また、この施設内には本田技術研究所が運営する技術実証実験用のテスト基地・技術情報発信ベース「HONDA ASV-Lav.」も入っており、そこではサイコマとワポチを展示するほか、会場を訪れた体験希望者の受付も行う。特に体験者からはフィードバックを得ることも重要な目的となっており、それをもとにCIを進化させてモビリティの進化につなげ、本田技術研究所としては2030年ごろの実用化を目指す。

実証実験の舞台が常総市となった理由について、本田技術研究所 先進技術研究所 知能化領域でエグゼクティブチーフエンジニアを務める安井裕司氏は、「2022年7月に“AIまちづくりへ向けた技術実証実験に関する協定”を常総市と結んだことがきっかっけだった」と話す。同年11月には技術実証実験を開始し、歩車共存エリアでの自動走行をはじめ、一般車両との譲り合いによる交差点の自動通過などの様々な技術検証を実施。その様子は実際に報道陣にも公開されている。

さらにアグリサイエンスバレー常総は、全国的に見ても来場者が多い道の駅の一つであり、駐車場の入口ではひっきりなしにクルマの出入りがある。その意味でも「ここをちゃんと走れるようになれば、他のいろいろな場所へ展開できる。一般道を走る乗用車の運転支援技術や自動運転技術は、世界で初めてレベル3の認証を取得したように別途進めているので、低速域から自動運転技術を積み上げていけば挟み撃ちで、ホンダとして自動運転の高度化が進められる」(安井氏)というわけだ。

◆ポイントは「地図レス協調運転技術」と「意図理解・コミュニケーション技術」

この実証実験で使われる技術のポイントは、「地図レス協調運転技術」と「意図理解・コミュニケーション技術」の2つのコア技術を確立していることにある。

自動運転では高精度地図データを使うことが多いが、この実験ではあえてそれを使わず、リアルタイムのセンシングによって車両自らが周辺環境を認識しながら自動走行を実現することを基本としている。中でもポイントとなるのが、意図理解・コミュニケーション技術で、人と対話やジェスチャーによってHonda CIがその動きを認知判断して適切なコミュニケーションを図ることで、それによって幅広いエリアでの運用が展開できるわけだ。

◆『サイコマ』は発話やジェスチャーによりどこでも乗降可能

ではサイコマは具体的にどんな動きを見せるのだろうか。


《会田肇》

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