アンシス、超高速AIベースのシミュレーションツール「Ansys simAI」を投入…業務効率化、物理作業削減に貢献

「Ansys simAI」の記者説明会
「Ansys simAI」の記者説明会全 13 枚

シミュレーションソフトウェアの開発・販売に携わるAnsys(アンシス)は3月5日、AIを活用して設計プロセスを高速化するシミュレーションツール「Ansys SimAI」および自動車開発におけるAI(人工知能)/ML(機械学習)適用に関する記者説明会を開催した。


◆最重要課題はエンジニアの業務効率化

Ansys SimAI(以下:SimAI)は2024年1月に発表されたSaaS(Software as a Service)ソリューション。同社が提供するシミュレーションの予測精度と生成AIの速度を組み合わせることで、計算負荷の高いプロジェクトであっても設計プロセスを10~100倍にまで高速化できる。オープンなエコシステムをサポートし、直感的なインターフェースとプロセスによって特別な経験がなくても数分以内に対象のパフォーマンスを予測できるようになる点を最大の特徴としている。

アンシスでは中長期のテクノロジー戦略として、「数値計算」「ハイパフォーマンスコンピューティング」「人工知能(AI)/機械学習(ML)」「クラウドとユーザーエクスペリエンス」「デジタルエンジニアリング」の5つを注力分野として挙げている。こうした中で発表されたSimAIはAI/MLのポートフォリオに含まれ、その拡充の一環として提供されるシミュレーション技術となる。

アンシスが掲げる中長期のテクノロジー戦略として掲げた5つのテーマ

このシミュレーションが開発された背景には、製品の高度化が急速に進み、同時に市場投入までの時間短縮やコスト削減が求められていることがある。しかも、これを予測精度を落とすことなく生産性を向上させることが極めて重要となっており、それらは開発に携わるエンジニアにとって大きなプレッシャーとなっている現状がある。

アンシスとしては、こうしたエンジニアの業務においていかに効率化が図れるかが重要と位置付けている。ここにAI技術の整備を適用しているのはそういった観点での取り組みがあるからなのだ。

この課題解決に役立つのがシミュレーション技術であり、その活用によってエンジニアが設計したものをコンピュータ上で予測することが可能になる。しかも高度な生成AI/MLを設計プロセスに導入することで、たとえ計算負荷の高いプロジェクトでも高い能力で結果を出すことができるのだ。これにより、コストがかかりがちな物理テストの量や回数を減らすことにつなげられるというわけである。

シミュレーション技術を駆使することで自動車開発におけるエンジニアの負担は大幅に減らすことができる

◆専門知識がなくても使いこなせるインターフェース

特に見逃せないのが、このシミュレーションを活用するにあたり、コーディングの経験やディープラーニングの専門知識がないユーザーであっても使いこなせるということだ。

この日の説明会に登壇したアンシスのDistinguished EngineerであるSrinivasa Mohan(スリニヴァサ・モハン)氏は、「あくまでアンシスのシミュレーションを使ったことがあることが前提」としながらも、「直感的で使いやすいインターフェースを採用したことで、特に専門知識がなくても使いこなせるのがSimAIの特長だ」と説明した。

では、SimAIを使うことで、具体的にどんなことが可能になるのか。


《会田肇》

アクセスランキング

  1. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  4. セリカに次ぐ「リフトバック」採用のカローラは、50年経ってもスタイリッシュ【懐かしのカーカタログ】
  5. シートに座ると自動で送風開始、取り付け簡単「クールカーシート」2モデルが発売
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る