篠塚建次郎さん死去、三菱『パジェロ』とともに“盛者必衰”を体感[新聞ウォッチ]

1992年パリ-モスクワ-北京ラリーでの篠塚氏(向かって左)とナビのアンリ・マーニュ
1992年パリ-モスクワ-北京ラリーでの篠塚氏(向かって左)とナビのアンリ・マーニュ全 2 枚

自動車業界にも様々な“有名人”ドライバーが存在するが、ハンドルを握りながらも企業の「盛者必衰」を目の当たりに体感した人はそれほどないだろう。

自動車レースの中で、世界一過酷といわれる「パリダカ」(現・ダカールラリー)で、日本人ドライバーとして初の総合優勝を達成した篠塚建次郎さんが3月18日午前、長野県諏訪市内の病院で亡くなった。

きょうの各紙も「ラリードライバーWRC連覇」(朝日)や「ダカール・ラリー優勝」(日経)、さらに「ラリーに情熱衰えず、母校でソーラーカー」「パジェロ鍛え名車に」(読売)のタイトルで篠塚さんを偲ぶ「評伝」などを取り上げている。膵臓がんという病魔を勝ち抜くことができず、75歳で帰らぬ人となってしまったのは残念だが、“生涯現役”のラリードライバーとして、日本の自動車レースの歴史に残る数えきれないほどの偉業は、永遠に消えるものではないだろう。

篠塚さんは1971年、三菱自動車に入社後、販売店のセールスマンやメカニックとして働きながら、週末にはワークスドライバーとしてラリーに参戦。74年から海外のレースにも参戦して、76年のサファリラリーでは6位に入賞したものの、78年から排ガス規制により三菱自動車がワークス活動を休止。再びサラリーマン生活を送っていたが、5年後には当時の舘豊夫社長が、再び三菱パジェロで参戦を決断し、篠塚さんもレースに復帰。87年には俳優の夏木陽介さんが率いるチームで総合3位。88年にも総合2位に入り、日本にラリーブームを巻き起こすとともに、オフロードにめっぽう強い三菱『パジェロ』の名を世界に轟かせた。

ただ、トップ交代で中村裕一社長時代に入ると、弟分の軽モデル『パジェロミニ』まで投入して「(当時2位の)日産の背中が見えてきた」などと胸を張り、拡大路線を突っ走ったものの、パジェロブームの陰で、米国でのセクハラ集団訴訟や「海の家事件」と呼ばれた総会屋への利益供与、さらにリコール隠し問題が発覚し、会社経営は苦境に立たされた。そんな中で、篠塚さんも三菱自を退社し、翌03年に日産自動車と契約したが、レースでは大クラッシュして顔面を強打するなどアクシデントに見舞われた。合掌。

2024年3月18日付

●日産勧告対象外も返金、下請法違反検討、取引先の信頼回復急ぐ(読売・2面)

●株1032円上昇、日銀の不透明感和らぐ(読売・2面)

●マツダ、元社員の再雇用制度化(読売・9面)

●岸田内閣不支持67%、本社世論調査、政権復帰後最高に(朝日・1面)

●「歩行者いても止まらず」なお半数超、信号機ない横断歩道 全国調査(毎日・7面)

●日銀、大規模緩和解除へ、マイナス金利、長短金利操作、ETF購入、きょう決定(日経・1面)

日産と三菱商事、EVで共同事業検討、電力供給や自動運転(日経・17面)

●ダイハツ、滋賀で生産再開、ロッキーなど3車種(日経・17面)

●横浜ゴム、メキシコにタイヤ工場(日経・17面)

篠塚建次郎さん死去、ダカールラリー優勝(日経・46面)

《福田俊之》

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