いすゞのピックアップトラック『D-MAX』がEV化、まずはノルウェーから投入!…バンコクモーターショー2024

いすゞ『D-MAX EV』コンセプト
いすゞ『D-MAX EV』コンセプト全 17 枚

いすゞ自動車は3月26日、タイで開催されたバンコクモーターショー2024(第45回バンコク国際モーターショー)のプレスカンファレンスにおいて、ピックアップトラック『D-MAX』のバッテリーEV(参考出品)を世界初公開した。会場では4月7日までの一般公開日まで展示される。

◆電動モーターによる強大なトルクを支える堅牢なフレーム設計

D-MAXのBEVは、ピックアップトラックならではのタフ性能はそのままに、新開発されたeアクスルをフロントとリアに搭載したフルタイム4WDシステムを搭載。これまでの高い悪路走破性に加えて、BEV特有のリニアな加速感と、低騒音・低振動を両立させ、商用・乗用の幅広いニーズに対応できるよう開発されたという。

特にこれまでのD-MAXは、既存のディーゼルエンジンが発揮する強大な低速トルクが評価されていただけに、全域で太いトルクを発生する電気モーターの採用は従来よりも使い勝手が一層向上することが期待される。その上で、このパワーに耐えうる堅牢なフレームとボディ設計により高い牽引能力を合わせ持つことも見逃せないポイントとなる。

『D-MAX EV』のリアビュー『D-MAX EV』のリアビュー

この発表の背景にあるのが、昨年12月、タイのパッチャラワート・ウォンスワン副首相兼天然資源・環境相が、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で演説した公約。その内容は、2050年までにカーボンニュートラル(CN)、2065年までに温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロを目指すというものだ。

いすゞはこの実現に向けて全面協力する意思を示し、その具体的な策として電動化に限らず、使用済み食用植物油からの新世代バイオディーゼルやアイドル処理植物油、水素化植物油(HVO)、e-Fuelなどの採用に向けてトライを重ね、顧客の利益を最大化すると宣言した。

いすゞはタイのピックアップトラック市場において、シェア5割という圧倒的な存在感を発揮してきた実績がある。近年は中国企業がBEV需要を開拓し始めているが、この分野においても取りこぼしがないよう、取り扱う車種の幅を広げて対抗することが今回の発表につながったのだろう。

とはいえ、いすゞはタイ国内において、充電設備などEV向けインフラが整うまでには、まだ時間を要すると予想しているのも確かだ。そのため、BEV化されたD-MAXはまず2025年に排ガス規制が強まるノルウェーなど欧州の一部から投入。その後で英国や豪州・タイなど他のエリアに順次広げていく計画としている。

出展された車両のウィンドウには濃いスモークが貼られ、内部を窺うことはできなかったが、よく見るとうっすらと左ハンドルであることを発見。近くにいたスタッフに確認すると「欧州仕様車を出展した」との返事をもらうことができた。欧州へ輸出する準備は着々と進んでいると見ていいだろう。

◆日本で発売された小型トラック『エルフEV』も参考出品

一方、ステージ横には日本で2023年春に発売が開始された小型トラック『エルフEV』の日本仕様が参考出品されていた。このモデルは、日本ではGVW(車両総重量)5.0未満までに該当する車両で、注目すべきは刷新されたプラットフォーム「I-MACS」だ。

参考出品された『エルフEV』参考出品された『エルフEV』

これは主要コンポーネントをモジュール化し、それらを組み合わせることでフレキシブルな対応を可能したもので、エルフEVでは新開発のバッテリーパック(20kWh/個)を必最大5個まで増やせるモジュール方式を採用。これにより、積載用途に応じたマルチパーパスなシステム設計が行えるものとした。

いすゞはこの取り組みは2050年までにCNを目指す制作にも叶うものと考えており、BEVに限らず、大型車へのFCEVの積極的展開も含めた様々なアプローチでタイ国内においても積極的に展開していく方針だ。


【いすゞ D-MAX BEV(参考出品車)主要諸元】
駆動方式:フルタイム4×4
バッテリー種類:リチウムイオン電池
バッテリー容量:66.9kWh
モーター最高出力:システム総出力130kW(前40kW、後90kW)
モーター最大トルク:システム合計325Nm(前108Nm、後217Nm)
最高速:130km/h以上
最大積載量:1000kg
最大牽引能力:3.5トン

《会田肇》

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