BYDとテスラどちらが勝つのか?特許情報から分析…知財ランドスケープ 山内代表取締役社長CEO[インタビュー]

BYDとテスラどちらが勝つのか?特許情報から分析…知財ランドスケープ 山内代表取締役社長CEO[インタビュー]
BYDとテスラどちらが勝つのか?特許情報から分析…知財ランドスケープ 山内代表取締役社長CEO[インタビュー]全 1 枚

5月28日に開催するオンラインセミナー「ソニー・ホンダモビリティ、BYD、テスラの真の実力と将来予測」では、知財ランドスケープ 代表取締役社長CEO 山内明氏が、新興自動車メーカーの開発力や技術力を詳細に分析する。

山内氏率いる知財ランドスケープは、特許情報をベースに製品、サービス、さらに企業戦略を分析し、業界動向の予測することで事業コンサルティングを行っている。山内氏はこの手法で、ソニー・ホンダモビリティ、BYD、テスラの3社について独自の分析を行った。セミナーでは、自動車媒体や経済紙ではなかなか表にでてこない埋もれた事実やデータが紹介される。どんな内容になるのか、山内氏に聞いた。

■特許など知財データでわかることわからないこと

――経済紙や業界紙では、各社の特許出願数・登録数を比較することでその実力や強みを分析する記事を見かけます。特許情報を分析に利用するとどんなことがわかるのでしょうか。

山内氏(以下同):特許情報を利用する目的は2つあります。まずひとつは、特許情報そのものには恣意性がない客観的なデータが手に入るという点です。もうひとつは、企業の戦略や本音など見えない情報がわかる、つまり企業が何を考えているかがわかるからです。

ただし、特許情報あるいは公開される知財情報での分析にも限界があります。例えば、特許件数だけみても企業の実力はわかりません。企業によってはダミーで出願する特許も少なからずあります。また、特許件数の多さが市場での強さに直結するわけではありません。例えば太陽光発電やPVの特許件数は中国より日本のほうが遥かに多かったのですが、この分野の世界的覇者は中国となったことはご承知の通りです。テスラは特許取得件数は大手OEMやティア1サプライヤーに比して桁違いに少ないものの、肝心の技術をきっちり押さえており、例えばAI関連に傾注し、それが自動運転技術で先駆的な立場を下支えしています。

――なるほど。件数はひとつの指標にはなりますが、実力すべてを表しているわけではないということですね。

最終的な分析はアナリストの洞察力、更には検証力によってなされます。特許情報をフックに、関連する論文、企業のプレスリリースなどの公開情報をいかに読み取って仮説、検証するか、更にはこれを繰り返せるかが重要です。

■ソニー・ホンダモビリティが見ている世界

――今回のセミナーではソニー・ホンダモビリティ、BYD、テスラの3社について分析結果を解説していただくわけですが、実際、どんな内容がわかったのでしょうか。

ソニー・ホンダモビリティについては、2023年時点ではホームページやメディアの記事をみてもコンセプトくらいしか書かれていません。24年に入ってようやく情報がすこしずつ出ている状況です。したがって、新聞記事などをみてもホンダとソニーのシナジーが期待できると書かれていても、実際どんなサービスや車両がでてくるのかが憶測や希望的観測になりがちです。

今回の分析では自動運転、AR、アフィリティ(社会との共生)という3つテーマに絞って、関連情報をまとめています。自動運転については、ソニーのセンサー技術とホンダの車両制御技術という組み合わせが浮かびます。しかしこれだけでは既存車両との差別化にはなりません。ソニーグループ全体のサービス、つまり金融、保険、ソフトウェア、コンテンツ、ゲーム、映像・音響技術を考える必要があります。


《中尾真二》

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