ホンダ三部社長が進める電動化に向けた乾坤一擲の作戦

ホンダの三部敏宏社長
ホンダの三部敏宏社長全 6 枚

ホンダ(本田技研工業)が清水の舞台から飛び降りたようだ。5月16日のビジネスアップデートで、2030年までに電気自動車やソフトウェア領域に対して10兆円を投じると発表。従来の計画から倍に引き上げる。この金額はトヨタ自動車より多く、電動化戦略で文字通り大勝負に出た。


◆2年前の数字では足りない

「5兆円という数字を言ったのは2年前になるが、その当時からいろいろな検討をした結果、例えば電気自動車をベースとしたソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)を目指すには、まずコストの3~4割を占めるバッテリーを手の内化しないといけない。それからソフトウェアの開発強化も必要で、2年前に判断した金額では到底足りないということで、これらの部分を大きく増やした」と三部敏宏社長は説明する。

10兆円投資の内訳は車載電池に2兆円、車載ソフトウェアの開発に2兆円、次世代工場などに6兆円となっている。その資金については、ホンダ自身で十分確保できるという。

具体的には2021~25年度の間に二輪事業、ICEとハイブリッド事業の体質強化により、12兆円の営業キャッシュ・フローを創出する。26~30年度は電気自動車の営業利益率5%へ向けた収益性の向上と台数拡大による営業キャッシュ・フローを上乗せし、21~25年度を超えるキャッシュを創出するという目論見だ。

◆ハイブリッドは20年代後半にもう一段進化

特にハイブリッド車については、「20年代後半にもう一段進化させる。効率がアップするうえ、コストも下がり、なおかつ小型化するハイブリッドが入る予定だ」と三部社長は話し、現在85万台のハイブリッド車の販売を180万台くらいまで伸ばしたいようだ。三部社長は販売のピークが29~30年度に訪れると見ており、ハイブリッド車の今後に期待を寄せる。

◆バッテリーを中心としたEVの垂直統合型バリューチェーン

バッテリーについては、高い競争力を確保するために段階的なバリューチェーンの構築を図る。20年代前半は、地域ごとにリチウムイオン電池の外部パートナーシップを強化し、必要なバッテリー量を、コストを抑えながら安定的に調達する。20年代中盤はパートナー企業との合弁によるバッテリーの生産を開始する。そして20年代後半以降で、原材料の調達から完成者の生産、バッテリーの二次利用、リサイクルまでを含む、バッテリーを中心としたEVの垂直統合型バリューチェーンの構築を目指す計画だ。


《山田清志》

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