日野がEVトラック用標準電池の提案…人とくるまのテクノロジー展 2024

日野が提案する商用車向け標準バッテリー
日野が提案する商用車向け標準バッテリー全 3 枚

人とくるまのテクノロジー展 2024における日野自動車の展示は、『デュトロEV』と商用車向けバッテリー技術が目立っていた。

標準バッテリーの基本スペック

山積する物流課題において電動化やSDVは避けられないトレンドだ。注目は業界への提案となる商用車向け標準電池のコンセプトだ。展示はモックによるものだが、見る人が見ればその意義や価値は十分に伝わるだろう。

商用車でのコンソーシアムではCJPTがあるが、複数の認証不正でメンバー企業の出入りがあったりと、表向きの成果に時間がかかっている。日野自動車はいったんは袂を分かったものの、現在はCJPTに復帰している。設立当初、大型のトラックバスについては三菱ふそう(ダイムラーグループ)が参画していなかったが、現在はダイムラートラック、三菱ふそうもCJPTの枠組みに合意している。ボルボトラックスおよびUDトラックスはいすゞを介しての関係となるが、国内大型商用車のコンソーシアムは完成した形になる。

日野自動車が提案する、標準電池は、長辺1.5メートル、奥行き0.7メートル、高さ0.3メートルの立方体。想定する電圧は350Vと若干低くなっている。電流容量は200Ah。電力量は70kWhとなっている。バッテリーは一般的なリチウムイオン電池を想定している。標準化にあたって、バッテリーの充放電制御や温度管理などBSMの機能をどこで切り分けるかという問題がある。基本的なコンセプトを提案するが、詳細は賛同するメーカーや事業者との協議によってつめていくことになる。

現状、小型のEVトラックは20kWhのパックを用途やサイズに応じて複数個搭載する形が基本なので、70kWhのバッテリーパックは中型以上のトラックバスを想定したものとなる。ただし70kWhあれば現状の4トン前後の小型トラックなら1個でほとんどのニーズに対応できそうである。

EVの設計において、標準バッテリーの存在は数々のメリットを生む。設計および調達コストが下がることはいうまでもない。充放電の制御や熱マネジメントは各社の競争領域(差別化)として重要だが、競争を促進するためにも、バッテリー部分の基本性能や安全性が標準によって確保される必要がある。

ホンダが小型モビリティや二輪車向けに「Mobile Power Pack e:」として交換式の標準バッテリーの提案を行っている。日野自動車の提案は、交換式に限定するものではないが、標準化されれば交換式への応用はむしろしやすい。

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. レクサスの新型「6輪ミニバン」の全貌が明らかに!「LS」はラグジュアリーセダンから「ラグジュアリースペース」へ…ジャパンモビリティショー2025
  2. ミズノ、カーボン技術活用の新フットギア「MOBILARIA β」発表…ジャパンモビリティショー2025
  3. 三菱『デリカミニ』新型を発売、受注は1万台超え…「DELIMARU Package」を7割が選択
  4. 三菱自動車、『eKスペース』新型を発売…受注は標準グレードに集中で93%
  5. コンセプトカーはいっさいナシ!前回とは180度違う、日産の展示から見えた「リアルへの追求」とは…ジャパンモビリティショー2025
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る