巷で話題のロードノイズ対策『調音施工』を愛車に施工して本気レビューしてみた

マツダ CX-60 ロードノイズ対策『調音施工』
マツダ CX-60 ロードノイズ対策『調音施工』全 18 枚

いま「調音施工」なるものが流行っているらしく、どうやら評判がいいようなので、自動車ライターとして流行には乗っておかないと……、と愛車で試してみることにした。筆者の車はマツダ『CX-60』だ。

◆調音施工の意味と効果を知ることで愛車のクオリティがアップする

マツダ CX-60 ロードノイズ対策『調音施工』マツダ CX-60 ロードノイズ対策『調音施工』

この調音施工がどんなものかといえば、ホイールハウスの裏側に「調音シート」を貼ってロードノイズを軽減させるもの。調音シートはニトリルゴム発泡体による「吸音層」、アルミシートの「遮音層」そしてブチルゴム製で振動を抑えるシート「制振層」の3層構造。つまり吸音材と遮音材、そして制振材の3層が音と物理的振動を制御することで静粛性向上につながっている。

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調音シートはホイールハウスの裏に貼るのが基本だが、加えてバルクヘッド(エンジンルームとキャビンを隔てる壁)のエンジン側やラゲッジルームの床への施工もオプションとして設定。基本メニューでタイヤ周辺の音を和らげるのに加え、エンジン音や、荷室の床下から伝わってくるロードノイズを抑えることも可能だ。

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なかには「それはデッドニングでは?」と思う人もいることだろう。しかし、方向性は同じだが考え方が大きく異なる。デッドニングはとことん音を無くしていくのに対し、調音施工は音を徹底して消そうとするのではなく、人間が気になったり目立つ周波数帯を中心に音を調整することで不快なノイズを感じさせにくくする施工。だから「調音」であり、最小限の出費で最大限の効果を得られるように考えられているのだ。

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調音施工をすることで快適性アップを果たしつつ、一般的にデッドニングだと車両や状況により“時価”となる価格を車種ごとに明確にしているのもポイント。また作業時間も実際にやってみないとわからないデッドニングと違って、施工をメニュー化した車種では作業時間が定まっているのも特徴だ。ウェブサイトを見るとあらかじめ施工できる車種が決められているが、それは実際に施工したうえで、効果がある車種に限ってリスト化しているからだという。

価格は最も安い車種で基本メニュー9万円(税込)ほどからだが、今回のCX-60の場合は基本メニューが11万2200円(税込)で、オプションとなるバルクヘッドの処理が47,300円(税込)、フロントフェンダーの処理が4万4000円(税込)で、合計20万3500円から同時施工割引5500円してもらい19万8000円(税込)だった(フォーカル プラグ&プレイ本店で施工の場合)。CX-60の設定価格は高めで、最高ランクといえる金額だという。

その理由はシートを張る面積が広いから。今回の施工で使ったシートの重さが約15kgと聞けば確かにそれも納得で、もちろん貼る面積が広ければ広いほど部材代もかさむし、作業の手間もかかる。ちなみにこれまで施工した車種のなかには「試してみたけれど効果があまりないのでメニュー化していない」という車種もある。具体的に言えばもともとの車体が静かすぎて効果がほぼ感じられなかったトヨタ『MIRAI』(10系)などだ。逆に言えば、メニューに設定されている車種はすでに施工が試されて、効果も確認しているということ。だから「やっても効かなかったらどうしよう」という心配がなく安心できる。これも「調音施工」がヒットしている理由のひとつだろう。

同時オーダーが多いバルクヘッドへの施工は、エンジンの音を和らげる効果がある。今回のようにディーゼル車だとディーゼルエンジン特有のガラガラ音の低減。ハイブリッドだとエンジンがかかったときの突然入るエンジン音の違和感軽減に役立つというわけだ。

ノイズの原因となる場所へ徹底的にアプローチ

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それにしても、作業の様子を見ていると驚く。それはシートの貼り方に関してだ。基本メニューの場合、インナーフェンダーの外側(タイヤとは反対側の面)に「これでもか」というくらい貼るし、加えてフェンダーの内側にもびっしり。「CX-60は特に貼れる範囲が広い」とはいうものの、所狭しと貼られた様子は壮観だし、その作業を行うスタッフの手間もなかなかである。とにかく徹底的に、ギッチギチに貼るのだ。オプションメニューで選んだバルクヘッドの処理も同様である。

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作業にかかる時間は、基本プラン+フロントフェンダー施工2人で3時間ほど、加えてバルクヘッドの処理は2人で1時間ほどだった。シートは2種類の厚みのタイプ(7mmと9mm)を使い分けていて、スペース的に可能な限りは厚いもの(9mm)、スペース的に難しい場合は薄いタイプ(7mm)を貼っていく。

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さて、もっとも気になる「効果」はどうなったか? まずは、発進する前に感じられたのがエンジン音の変化だ。筆者の愛車であるCX-60の場合は、エンジンを掛けると同時にディーゼル車に付きまとう耳障りなガラガラ音がかなり緩和されていることが手に取るようにわかった。施工前との違いは明確で、音が全くなくなるというわけではないが、施工後はエンジンの搭載位置が遠くへ離れたかのような印象だ。

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加えて走り出すと、アクセルを踏み込んだ時に発生するディーゼル特有の強いガラガラ音が大きく変わった事を実感。尖っていたガラガラ音のカドが取れ、丸みを帯びたマイルドな音に変化した。

エンジン音関係はオプションメニューとなるバルクヘッド周辺への施工による効果だが、走りだすともちろん基本メニューによるロードノイズの低減もしっかりと感じられた。

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人間の耳にとって耳障りとなる周波数の音を軽減しているということで、具体的にはタイヤが発生する「シャー」や「ゴー」という音が低減されてマイルドに。プレミアムタイヤに履き替えたような感触といえばいいだろうか。そのおかげで、車内での会話がしやすくなったことを実感できる。

加えて、オーディオの音もクリアになったようだ。オーディオ再生する際のタイヤノイズの影響は今まで気にしていなかったけれど、施工後のオーディオはやっぱり良さが増した。やはり雑音は少ないほうが音は透き通るということなのだろう。

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またスポーツカーやスポーティモデルであれば、ロードノイズを抑えることで対照的にエンジン音が聞こえるようになる。つまり、エンジン音自体は変わらなくても、調音処理することでよりピュア&クリアなエンジン音を楽しめるようになるというわけだ。それも調音施工のひとつのメリットである。

ただしこの処理はあくまで「調音」であり、すべての音が聞こえなくなるわけではない。人の耳で目立つ音域を中心に和らげるのだ。だから効果は確実にあるのだが、感じ方には個人差があるし、これでもまだ費用対効果に納得できないという人もなかにはいるかもしれない。でも、静かになるのは確実だから試してみる価値はある。自分自身のクルマで試した筆者の場合は、やってよかったと素直に感じている。

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調音施工をおこなっているBEWITHは高級カーオーディオの専門ブランド。音を知り尽くしているからこそ、ロードノイズとエンジン音の2つに的を絞って効果的に静粛化を実現できるというわけだ。

ユーザーとしてはまず調音施工を施し、さらにそこから先へ進みたいとなればデッドニングにステップアップしていくのもいいだろう。

ちなみに施工時間は「作業に手間がかかる」というCX-60でオプションのバルクヘッドとフロントフェンダー施工も含めて合計5時間ほど。つまり持ち込んだ当日に施工してもらい、日をまたいで預けることなくそのまま乗って帰れるのだ。今回施工してもらったフォーカルプラグ&プレイ本店は木更津アウトレットのすぐ脇なので、ショッピングを楽しんでいる間に仕上げてもらうことも可能。時間の有効活用である。

いずれにせよ、調音施工は試す価値はあるプログラム。こうして自分の愛車で試し、確実な効果を実感してみれば人気が人気を呼んでいる理由も、納得だ。

〈取材協力 FOCAL〉

《工藤貴宏》

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