横行する偽造部品、メルセデスベンツだけで年間160万点以上に

メルセデスベンツのホイール。左が正規品、右が偽造品。強度確認テストでは偽造品にクラックが発生
メルセデスベンツのホイール。左が正規品、右が偽造品。強度確認テストでは偽造品にクラックが発生全 2 枚

メルセデスベンツは8月7日、偽造品対策を強化するため、商取引監督機関や法執行機関と緊密に協力していることを公表した。

特に、安全性に関わる偽造品に焦点を当てており、これらの偽造品は品質が本物の部品と同等でない場合、全ての道路利用者に危険をもたらす可能性がある。例えば、2023年5月と6月には、取り付け後に重大な事故を引き起こす可能性のある紙製エアフィルターが押収された。偽造ブレーキ部品、ホイール、車体およびステアリング部品も押収されている。押収された偽造部品は破壊される。

メルセデスベンツのグローバル知的財産執行チームは、偽造部品を迅速に確認するために、当局に頻繁に出向いている。2023年だけで、当局は世界中で740回以上の摘発を行い、160万点以上のメルセデスベンツの偽造品を押収した。摘発件数は前年と比べて約20%増加している。

摘発はしばしば数か月にわたる調査と準備を経て行われる。メルセデスベンツのブランド保護チームは、ウェブサイトをチェックし、偽造の兆候を調査し、偽造工場を特定するための徹底的な調査を行う。チームはその結果を、摘発を行う責任当局に提供する。製品の偽造を確実に検出するためには、訓練された目と長年の経験が必要であり、偽造品は本物の部品とほとんど見分けがつかないことが多い。

偽造品ネットワークは、オンラインプラットフォームやソーシャルメディアを利用して偽造品を大規模に流通させる傾向が強まっている。偽造業者は、オンラインマーケットプレイスや技術の匿名性と分散性を利用して取引を行う。メルセデスベンツは、オンライン小売における戦略的および運用的な偽造品対策を継続的に拡大している。2023年には、商標権を侵害するメルセデスベンツ製品の偽造品やコンテンツのオファーを14万2000件以上削除した。ブランド保護戦略は、追跡、攻撃、防止の三本柱に基づいている。

ユーザーが偽造品に騙されないためには、いくつかの簡単な基準が役立つ。日常生活(オンライン含む)で目立つオファーを注意深く調べることが重要という。典型的なケースは、著しく低い価格、製品品質の異常、または疑わしい(オンライン)ソースからの販売。場合によっては、製品画像や名称からすぐに偽造品であることが明らかになることもある。例えば、メルセデスベンツがその製品を自ら製造していない場合だ。しかし、多くのオファーは本物の製品とほとんど見分けがつかないため、一般消費者が視覚的に区別するのは難しい。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  2. 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
  3. シボレー『コルベット』がニュルブルクリンクで「米国メーカー最速ラップ」樹立
  4. 「強烈な需要がありそう」スバルの3列シートSUV『アセント』が今、SNSで話題に
  5. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る