BMWとトヨタ、FCEVでの協業は『Z4』と『スープラ』の関係なのか

BMWが2028年にトヨタと共同開発するシステムを搭載した量産FCEVを発売。
BMWが2028年にトヨタと共同開発するシステムを搭載した量産FCEVを発売。全 14 枚

BMWとトヨタがFCEV分野における協業を深化させ、2028年にはBMWとして最初の量産FCEVを市場に投入することを9月5日に発表した。記者発表はオンラインで中国、オーストラリア、日本をつないだラウンドテーブル方式で行われた。

BMW(に限ったことではないが)は、1990年代から燃料電池車(FCV)の開発・実験を行っている。その中でトヨタとのこの分野での協力関係も10年来のものとなる。23年のIAA Mobility(ミュンヘン)で、BMWが展示した『iX5』ベースのFCEVには、トヨタ『MIRAI(ミライ)』の燃料電池セル(Fuel Cell)が利用されていた。

今回この技術を生かす形で2028年に量産FCEVを発売する。どの車種のどのモデルになるのかはまだ未定とのことだが、記者会見でも具体的な協業の内容や車両コストに質問が相次いだ。現時点で公開できる情報はリリース内容がすべてということだが、全体像が見えにくい。リリースのトピックについて、情報を整理する。

第3世代FCとは?

リリースによれば、BMWは「第3世代FC技術を搭載したFCEVを2028年に量産販売する」としている。同時に「次世代FCシステム」という表現もしている。どういうことだろうか。結論からいうと、「トヨタが計画している第3世代FCシステムは、BMWとの共同開発になる。BMWはそのFCシステムを使って市販FCEVを2028年に出す」ということになる。

トヨタはBMWの発表の同日に「BMWと第3世代燃料電池システムを共同開発する」発表している。ここでの第3世代の意味は、トヨタが2023年6月に公表した次世代技術ロードマップの中で触れている新しい燃料電池のことを指す。BMWは会見で「設計にも携わる」としている。つまり、トヨタが進める第3世代燃料電池(システム)に、BMWが加わることになる。だが、両者の基準や設計が盛り込まれ双方の車両に搭載できるFCシステムになるはずだ。ただし、BMWにとっては「第3世代」ではなく「次世代」という表現になる。

FC、FCスタック、FCシステムの違い

前述したように、BMWはトヨタと水素燃料電池について以前から協業関係にある。28年販売をイメージしたプロトタイプ(『iX5 Hydrogen』)には、現行MIRAIで利用されているFC(燃料電池セル)が使われている。ただし、利用しているのはセル部分のみだ。セルを積み重ねたFCスタック(燃料電池スタック)、水素や水の循環ライン、熱交換システム、エアフィルター、制御ユニットなどで構成されるFCシステムはBMWが独自開発したものだ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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