ブランド戦略・EV導入・アフターセールス、“成熟度の高い日本市場”で新社長はどう舵とりするか?…メルセデス・ベンツ日本 ゲルティンガー剛氏[インタビュー]

メルセデス・ベンツ日本 新社長に就任したゲルティンガー剛氏
メルセデス・ベンツ日本 新社長に就任したゲルティンガー剛氏全 6 枚

2024年のラストクォーター、つまり第4四半期目を迎えるひと月前の9月より、メルセデス・ベンツ日本のトップがじつに12年ぶりに交代した。これまで前身であるメルセデス・ベンツ日本の社長を務めてきた上野金太郎氏は会長に、そして新たな社長にはメルセデス・ベンツAGカスタマーサービス部門から来たゲルティンガー剛氏が就任した。


国内外の経験を活かし持続可能な成長を目指す

上野前社長が長きにわたって務め、在任中に国内の輸入車ブランド販売台数1位をも達成し、今も114か月連続(2024年9月時点)で続いているだけに、新任のゲルティンガー氏がどのようにメルセデス・ベンツ日本の舵取りをしていくか、その方向性と手腕には注目が集まる。とはいえゲルティンガー氏は元々、メルセデス・ベンツ日本でキャリアをスタートさせ、顧客管理や商品企画、とりわけ販売後のCRM(カスタマー・リレーション・マネージメント)のスペシャリストとして2018年から執行役員を務めていたところを、2020年にドイツ本国のエグゼクティブ・アシスタントに抜擢された。シュトゥットガルトでは海外部門に配属され、ここでもアフターセールスのCRMを担当したそうだが、異なるのはその範囲。西欧と中国以外の120か国もの市場をカバーするCRMを手がけ、再び日本に戻って来たというのだ。

「日本でアフターセールスといえば、通常は車をご購入された方とお話しするのですが、例えばインドやエジプトですとショーファードリヴンが多くて、基本はショーファーと行うものなんですね。東欧、ラテンアメリカ、東南アジア、中東やアフリカ、韓国や日本といった各国の色々な市場で、もちろん文化も違いますし、ビジネス上の風習も違いますし、メルセデスベンツがどのような成熟度をもって受け止められているかも異なります。とてもいい勉強になりました」

メルセデス・ベンツ日本は2024年4月より株式会社から合同会社に組織改編されたが、本国AGから新たな責任者を送るにあたり、社内公募で候補者を募った後、選ばれたのがゲルティンガー氏だった。

「もちろん候補者の中から誰がベストか、本社には色々な考えがあったと思います。でもやはり、日本は簡単な市場ではないんですね。メルセデスベンツもすでに100年以上も存在しているほど歴史のある、本社にとっても重要な市場。やはり日本をそれなりに経験している人物を投入した方がいいんじゃないかということで、私が選ばれました。本社で4年間働いたことプラス、日本のことを知っているのが理由の第一で、第二の理由は、過渡期にある市場でラグジュアリー戦略を練り、EVをどう進めるかマネージメントする必要性。それらを進めながら持続可能な成長を遂げるのが、自分のミッションと考えています」

日本は「相対的に安定度の高い市場」

ここでメディアの側が予想するのは、日本市場は成熟度の高い市場として、世界的なラグジュアリー市場の動向を予測するために使われる面があるのか? ということだが、ゲルティンガー社長の見立ては少し異なる。


《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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