震度6! 都営地下鉄で「異常時総合訓練」---脱線、避難、復旧

都営地下鉄異常時総合訓練
都営地下鉄異常時総合訓練全 35 枚

東京都交通局は10月17日、都営地下鉄大江戸線の木場車両検修場(東京都江東区)において、地震が発生した場合を想定した「異常時総合訓練」を実施した。


東京都交通局では、災害等の異常事態における即応力の維持・向上を図るため、毎年、都営地下鉄「異常時総合訓練」を実施している。2024年度は木場車両検修場において、地震が発生した場合を想定し、東京消防庁深川消防署と連携した旅客の避難誘導訓練や、地下鉄設備の復旧訓練を実施した。

●各部門が集まって訓練する理由がある

東京都交通局の木場車両検修場は、江東区の木場公園の地下に広がる大江戸線の車庫だ。地下鉄でも車両基地は地上にある例がほとんどだが、木場車両検修場は珍しい地下の車庫だ。ここに東京都交通局(総合指令所、駅務管区、乗務管理所、車両検修場、電気管理所、保線管理所)の職員、乗客役職員、都営交通モニターら約200名が訓練のために集まった。

開会式で交通局の横山正彦次長は訓示として「何が起こるかわからない災害の対応では、個々人が判断することが求められる。そのためには普段の備えが必要。震度6の地震が発生したときに、はたして部門ごとに集まれるか。部門間の協力が必要になるかもしれないので、他部門の作業を知っておくことが大事だ。また、災害時には利用者への情報発信を心掛ける。専門的になりがち、視野が狭くなりがちなので気をつけたい。訓練では失敗したほうが覚えられることもある。訓練はうまくやることが目標ではない。覚えることが目標だ」と語った。

●最大震度6弱の地震で脱線

訓練シナリオは、電車が大江戸線・清澄白河駅を出発し、ポイントを走行中に最大震度6弱の地震が発生し、列車が停止したというもの。光が丘発都庁前行きの電車が駅を出て35km/hまで加速したときに、地震警報を受信した。「全列車停止せよ」の指令に応じて直ちにブレーキをかけたところ、ポイントを通過時に異常な振動、衝撃、異音を感知した。停車後ただちに調べると、電車が脱線したことが判明、転轍機やリアクションプレートも損傷した。……という想定だ。

訓練では、(1)乗務員、駅係員らによる乗客の避難誘導、けが人の搬出、(2)損傷したリアクションプレート(レールの間にある、推進力を作り出すための金属板)の交換、(3)損傷したポイントのロッドの交換、(4)損傷した架線の碍子(がいし。絶縁材)交換、(5)脱線した車両の復旧を実施した。

●想定外の災害には普段の訓練、基本確認が大事

閉会式では各部門の責任者が講評した。安全統括管理者兼車両電気部長の生越啓史氏は「実戦に近い形で訓練できた。想定外のハプニングもあった。実際の災害は一か所で起きるわけではないから、対応するために大勢は来られない。また実際の現場は環境が訓練より悪い。作業を訓練で確認しておくことが大事になる。それを実戦で生かして欲しい」と述べ、役に立つ訓練だったと総括した。

電車部の神永貴志部長は「臨場感を持って訓練を実施できた。今日参加した人は体験を各人の職場で共有していただきたい。災害には誰が遭遇するかわからない」、建設工務部の坂口淳一部長は「経験したことのないトラブルの可能性はある。基本動作・作業の確認が大事。そのためには定期的に訓練することが必要」、大江戸線小委員の細貝正明小委員長は「訓練によって他人の作業を想像できるようになり、協力できるようになる。安全・安心に加えて安定につながる」とそれぞれ述べた。いずれも予想できないアクシデントに備え、訓練で基本動作を確認することを重要視している。

総務部安全技術担当課の清水信吾課長は「最近、大きな地震のリスクが懸念されている。異常事態に対応するため、職員は訓練、講習を通じて研鑽している」と述べ、有事の際は職員の指示に従うよう、利用者に求めた。

《高木啓》

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