【ジープ アベンジャー 新型試乗】BEVの概念にとらわれることなく走れる…島崎七生人

ジープ アベンジャー アティテュード(JEEP Avenger Altitude)
ジープ アベンジャー アティテュード(JEEP Avenger Altitude)全 14 枚

フロントガラスを縁取る黒セラ部分に、今回は“天体望遠鏡で空を眺める少年”の小さなシルエットが。ジープお得意の隠れキャラのひとつで、いわば小技ながら、発見した瞬間、何ともホッコリとした気分になった。

◆フィアット、プジョーと共通のBEVプラットフォーム

ジープ初のBEVとして登場した『アベンジャー』は旧グループPSA開発のプラットフォームのBEV版“eCMP”由来のモデルで、現状ではほかにフィアット『600e』、プジョー『e-2008GT』が同じ出自。アベンジャーはモーターが定格出力=62.0kW、最高出力=115kW、最大トルク270Nm、駆動用バッテリー容量54.06kWhとなっており、これは600eと共通だ。

一充電走行距離は486kmとなっており、600e(493km)が僅かに上回る。一方でざっくりとサイズ関係をあたると、600eに対してホイールベースは2560mmで両車共通、ボディはアベンジャーのほうが全長が95m短い4105mm、全幅は5mm小さい1775mm、全高は共通で1595mm。車重はアベンジャーが10kgだけ軽い1570kgだ。

◆想像のレベルをかなり超えていた走りっぷり

ジープ アベンジャー アティテュード(JEEP Avenger Altitude)ジープ アベンジャー アティテュード(JEEP Avenger Altitude)

……とスペックはさておき、試乗してみると、これが実によかった。とりわけ走りっぷりのよさは筆者としては想像のレベルをかなり超えていた次第。何よりいいのはステアリング操作に対するクルマの挙動が実に素直で意のままに走れる(扱える)点。それに伴う手応えもコンパクトなクルマながらシットリ、ドッシリとしているところもいい。

乗り味については、季節柄、今回の試乗車にはスタッドレスタイヤ(ミシュランX-ICE SNOW、サイズは標準タイヤど同じ215/60R17 100T)を履いていたのだが、このタイヤの仕事ぶりとクルマとのマッチングのよさは貴重な発見だった。出足でほんの僅かだけパターンノイズが立つ以外はハンドリング、乗り味などまったく問題なし。むしろ夏タイヤ以上に本来のジープらしい懐の深いまろやかな乗り味が味わる……とさえ思った。

もちろん走行中の揺れがやさしく耳につくノイズも気にならないところから、乗り心地・NVH評価担当の我が家のシュン(柴犬・オス・間もなく3歳)も、撮影場所まで後席で居眠りをしていたほどだった。

ジープ アベンジャー アティテュード(JEEP Avenger Altitude)ジープ アベンジャー アティテュード(JEEP Avenger Altitude)

◆BEVの概念にとらわれることなく走れる

なおアベンジャーでは、走行モードとしてノーマル/エコ/スポーツのほか、スノー/マッド/サンドの計6モードが選べるセレクテレインシステムを搭載する。この機能を活用すれば、FWDのBEVの概念にとらわれることなく走れる。もちろんスポーツモードであれば、きわめて俊足な加速も味わえる。

充電は90kW/200Aの急速充電スポットにて30分で65%→90%を確認。冬季でフロントシートヒーターなど使いながらの試乗で、スタート時の表示は“充電量100%、走行可能距離400km”とあったが、ストレスなく心地いいドライブを実現してくれる印象。

それと筆者としては、目にも心地いいコンパクトながら十分に練られた感のある外観スタイルにもおおいに惹かれた。

ジープ アベンジャー アティテュード(JEEP Avenger Altitude)ジープ アベンジャー アティテュード(JEEP Avenger Altitude)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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