「AFEELA 1はよりスマホに近い楽しみができるエンタメ満載のモビリティ」ソニー・ホンダモビリティ 水野会長 …CES 2025

ソニーホンダモビリティ 会長 兼 CEO 水野泰秀氏
ソニーホンダモビリティ 会長 兼 CEO 水野泰秀氏全 15 枚

ソニー・ホンダモビリティ(SHM)は、米国ラスベガスで1月7から10日に開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」において、「AFEELA(アフィーラ)」の第1弾『AFEELA 1』を発表した。その特長や米国における販売戦略などを代表取締役 会長 兼 CEOの水野泰秀氏に聞いた。


発表されたAFEELA 1は、多数のセンサーや高性能な半導体を活用したAI(人工知能)による先進運転支援システム(ADAS)を備え、SHMが競争が激化するEV市場に初投入するクルマとなる。1月6日(現地時間)、CES 2025の開幕に先立って開催されたソニーグループのプレスカンファレンス内において、同日より米国カリフォルニア州在住者を対象にオンラインで予約受付を開始したことも発表された。

価格はベース車の「Origin」が8万9900ドル(1ドル=156円換算で1402万円)で、上級グレードの「Sinnature」が10万2900ドル(同1605万円)。

AFEELA 1は車両全体で40個ものセンサーを搭載し、ルーフの中央にはLiDARを備え、その左右には単眼カメラを1つずつ配置した。このセンサーによって収集されたたデータをAIが分析し、画像認識に特化した深層学習モデル「Vision Transformer(ViT)」としてADASに役立てる。この結果、市街地の一般道においても自動運転「レベル2+」に相当する機能を可能にした。

価格は「Origin」が8万9900ドル(1ドル=156円換算で1402万円)で、上級グレードの「Sinnature」が10万2900ドル(同1605万円)

◆アフィーラブランドの浸透に不安、対策は?

このAFEELA1の販売戦略についてSHMはどう取り組んでいくのだろうか。まずは予約をスタートした現在の心境から聞いた。

「(予約がスタートしたことで)さずがに不安の方が大きくなってきましたね。クルマ自体は自信を持っていますし、価格帯もアメリカの中で言えばそんなに悪くないと思っています。でも、“アフィーラ”ってブランドがアメリカで全然浸透していないんですよ。ここに不安をおぼえるんです。とはいえ、こういった話は時間がかかるものなので、地道にお客様に触れていただく機会を増やしていこうと思っているところです」(水野泰秀会長、以下同)

具体的にはどんな方法を考えているのか? と尋ねると、「まずはWebに誘導する仕掛けを行い、もう一つはクルマに触れる機会を増やしていこうと思っています。そして今年の夏以降ぐらいにはロサンゼルス郊外のトーランスとサンフランシスコに拠点となるショールームを開設することにしています。それまではテスラが実施しているように、ショッピングモールなどに出店する形でスタートします」という。

今回の発表で販売するエリアをカリフォルニア州からスタートすることを明らかにしたが、それはなぜなのか?

「アメリカではディーラーライセンスがないと展開が難しいからです。市場としてはテキサス州やフロリダ州だったりするわけですが、まずはライセンスを持っているカリフォルニア州からスタートすることにしました。次の(エリア)展開をどうするかは我々にとって大きなチャレンジになると考えています」

今年の夏以降ぐらいにはロサンゼルス郊外のトーランスとサンフランシスコに拠点となるショールームを開設

◆「パーソナルエンタテインメント」が大きなポイント

一方、SHMのプレスカンファレンスではアニメ系に特化したストリーミングサービス「クランチロール」との提携を発表した。これはAFEELAのユーザーとして、SHMはアニメといったコンテンツ経由のコアなクラスターをターゲットにしていくという意味なのだろうか。

「必ずしもそうではありません。アニメだけではなく、コンテンツ系ではたとえばSpotifyとも契約していますし、Netflixのようなストリーミング系の映画コンテンツも楽しめます。また、ビジネス用途としてテレビ会議ができるようZoomも使えるようにしていますので、とにかくクルマの中で楽しんでいくためのツールはどんどん導入していこうかなと思っているところです」

とはいえ、車内でコンテンツを楽しむには、走行中であれば相応の制限がかかるはず。仮に停止中だけで楽しむとなれば利用範囲はかなり限られてしまうのではないか。

「コンテンツはパノラミックスクリーンで楽しむようになっていますが、ここには走行中だとプライバシースクリーンフィルターがかかる仕組みとなっていて、同乗者には見えてもドライバーからは見えなくなります。なおかつ4席独立でそれぞれが別々のコンテンツを楽しめるようにもなっています」

しかしながら、ヘッドホンを使って別々のコンテンツを楽しめるものはこれまでにも存在していたはずだ。

「我々のポイントはそれをスピーカーで楽しめるようにしたことです。それぞれが着座した位置で別々のソースがヘッドホンなしで独立して楽しめるんです。たとえば後席右側の男の子がゲームを楽しみ、後席の右側の女の子はアニメを楽しむといった状況下でも、それぞれが互いに影響を受けずに楽しめます。加えて、“360 Reality Audio”や、“Dolby Atomos”とも連携しているのも大きなポイントになっています。今まではドライバーが楽しむものを同乗者も半ば強制的に聞かされていたわけですが、他の3人が自由に好きなコンテンツを楽しめるようにしたのは我々の大きな売りと言っていいと思います」

つまり、「パーソナルエンタテインメント」というのがAFEELA 1における他社にはない大きなポイントになっているわけだ。

車内で展開される多彩なエンタテインメントはダッシュボード左右いっぱいに広がる「パノラミックスクリーン」上で展開される

◆技術が成り立った上での静けさを実現したい

そんな中で見逃せないのが静粛性へのこだわりだ。AFEELA 1はEVだけに静粛性に優れているのは言うまでもないが、とはいえ走り出せば路面からのノイズは発生するし、風切り音だってゼロではない。エンタテインメントを売りにする以上、それらのノイズは必要に応じてなくしていくと水野氏は語る。


《会田肇》

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