日産、ホンダとの経営統合協議打ち切りへ、台湾・鴻海の出方も焦点に[新聞ウォッチ]

日産自動車の内田誠社長(左)とホンダの三部敏宏社長(右)
日産自動車の内田誠社長(左)とホンダの三部敏宏社長(右)全 2 枚

「大山鳴動してネズミ一匹」というよく知られる故事もあるが、その一匹のネズミも捕まえられずに逃してしまった心境ではないだろうか。日産自動車が、昨年12月から始めたホンダとの経営統合の協議を打ち切り、白紙撤回する方針を固めたという。

日産が2月5日に開いた取締役会では、ホンダが打診した日産を子会社化する案への反発が強く、協議を継続できないと判断。経営統合に向けた基本合意書を破棄する方針で、来週13日にも正式に決議するとみられており、国内自動車大手2社による歴史的な統合協議はわずか1か月余りで打ち切りとなる可能性が高まっているようだ。

きょうの各紙をみると、読売、毎日,産経、日経の4紙が1面トップで「日産、ホンダと統合白紙」や「統合撤回」あるいは「協議打ち切り」などのタイトルで報じているほか、総合面や経済面に関連記事を取り上げている。

このうち、読売は「日産『対等』譲れず、リストラ策定深い溝」として「『100年に1度』の激変期にある中で、ホンダにとっても痛手となる」などと報じている。ただ、「協議は白紙とするが、日産は引き続き、ホンダと必要な分野ごとでの協業を進めたい考えで、電気自動車(EV)のバッテリーや主要部品の共通化、ソフトウェアの更新で機能を向上できる次世代車「SDV」などの分野で連携を模索する」とも伝えている。

毎日は「日産 進まぬ再生計画」「ホンダ『スピード感違う』」を見出しに「どのように相乗効果を生んでいくのかや『水と油ほど違う』社風の壁をどう乗り越えるかなどの課題が指摘されていた」としながらも、日産が「対等な関係」を譲らなかったなど、協議打ち切りとなった要因を分析している。

また、日経は「世界3位連合になる構想は振り出しに戻ったが、変革期にある自動車業界で単独で生き残るのは簡単ではない」としつつ、さらに「今後は、台湾電機大手の鴻海の出方も焦点の一つとなる」とも指摘している。

きのうはトヨタ自動車も2024年4~12月期の連結決算を発表したが、認証不正問題などの影響で本業のもうけを示す営業利益は前年同期に比べて減少したものの、営業収益は35兆6735億円、最終利益も4兆円超とこの期間としては過去最高を計上。国内の自動車大手でも生き残りを賭けて始めた統合協議にも暗雲が立ち込めるホンダ・日産とは比較にならないほど世界が違うようにも見受けられる。

2025年2月6日付

●日産、ホンダと統合白紙、子会社化案拒否へ、取締役会 自社再建で一致(読売・1面)

●トヨタ、最終益4.5兆円予想、トランプ関税反映せず、3月期上方修正 (読売・8面)

●トヨタ、上海にEV工場建設へ、単独出資(朝日・7面)

●KDDI、新社長に松田常務、技術者出身 (毎日・6面)

●日産株の売買一時ストップ (産経・1面)

●国内自動車先行き混沌(産経・1面)

●三菱自、岡山で新型SUV生産 (日経・13面)

●日産労組、月1.8万円賃上げ要求 (日経・13面)

●GM、子会社の全株取得、自動運転、ホンダ出資分も (日経・15面)

●中古車競売価格16%高、1月新年度需要高く(日経・20面)

●ガソリン店頭184.6円、3カ月ぶり下落、調整金下げで (日経・20面)

《福田俊之》

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