<新連載>リアスピーカー不要!? メインユニットをフル活用する「バイアンプ接続」の真実[魅惑のハイエンド・カーオーディオ]

「バイアンプ接続」が可能な市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。
「バイアンプ接続」が可能な市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。全 3 枚

「とことん音にこだわる」というカーオーディオの楽しみ方がある。当連載では、この魅力と実践法のいろいろを解説していこうと試みている。今回は「ハイエンドの入り口」とも言うべき、「 バイアンプ接続」というやり方について説明していく。

◆標準システムでは、メインユニットの2つの出力でフロントスピーカーが鳴らされるが…

早速バイアンプ接続とは何なのかを説明しようと思うのだが、その前にスピーカーを市販セパレート2ウェイモデルに交換する場合のスタンダードなシステムレイアウトについておさらいしておきたい。

スタンダードなセパレート2ウェイの鳴らし方は、以下のとおりだ。メインユニットの右フロント出力を右側のスピーカーの手前に設置した「パッシブクロスオーバーネットワーク(以下、パッシブ)」に接続し、左フロント出力を左のパッシブに接続する。そして各パッシブの内部回路にて、左右それぞれのフルレンジの音楽信号がツイーター用の高音信号とミッドウーファー用の中低音信号とに分割される。

対してバイアンプ接続ではパッシブがバイアンプ接続に対応している必要があり、そのパッシブにはツイーター用の入力端子とミッドウーファー用の入力端子とが個別に装備されるので、以下のような接続法が実行されることとなる。

「バイアンプ接続」の接続図。「バイアンプ接続」の接続図。

◆メインユニットのすべての出力を、フロントスピーカーにあてがえる!

接続法の実際を説明しよう。メインユニットの右フロント用の出力を「 右パッシブ」のミッドウーファー用の入力端子に、左フロント用の出力を「 左パッシブ」のミッドウーファー用の入力端子に、右リア出力を右パッシブのツイーター用の入力端子に、左リア出力を左パッシブのツイーター用の入力端子に、それぞれ接続されることとなる。

つまりメインユニットに備わっている4ch分の出力のすべてがフロントスピーカーを鳴らすために使われることとなるので、リアスピーカーは鳴らせなくなる。その点はデメリットとも言えるわけだが、フロントスピーカーを鳴らすコンディションはぐっと良くなる。スピーカーは同一でありながらも、サウンドクオリティはワンランク上のスピーカーへと交換したかのように向上するのだ。

そうなる理由は主には2つある。まず1つ目は「スピーカーの駆動力が上がるから」だ。

『ダイヤトーン・DS-G400』のパッシブクロスオーバーネットワーク。『ダイヤトーン・DS-G400』のパッシブクロスオーバーネットワーク。

◆余裕を持って各スピーカーをドライブでき、緻密な制御も行える!

というのもスタンダードな接続法では、メインユニットの1ch分の出力でツイーターとミッドウーファーの2つのユニットを鳴らすわけだが、バイアンプ接続では1つずつのスピーカーユニットに1ch分の出力があてがわれるので、より余裕を持って各スピーカーをドライブできる。

そして、より緻密なサウンド制御も可能となる。上級メインユニットの多くには「タイムアライメント」という機能が搭載されているが、そのようなメインユニットを使っている場合には左右のフロントスピーカーと左右のリアスピーカー、この計4つのスピーカーから放たれる音の到達タイミングを揃えられる。

しかしフロントスピーカーがセパレート2ウェイの場合、ツイーターとミッドウーファーは別々の場所に取り付けられることになるので、それらを「1つのスピーカー」として扱うことには限界も生じる。

でもバイアンプ接続を実行すれば、ツイーターとミッドウーファーに対して個別にタイムアライメントをかけられる。このことも、音に大きな違いをもたらす。

今回は以上だ。次回は市販メインユニットで可能となる「ハイエンドスタイル」について説明する。乞うご期待。

《太田祥三》

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