電気自動車の「充電迷子」にならないための完全ガイド【決済・料金・自宅設備】

電気自動車の「充電迷子」にならないための完全ガイド【決済・料金・自宅設備】
電気自動車の「充電迷子」にならないための完全ガイド【決済・料金・自宅設備】全 19 枚

電気自動車(BEV)に興味をもったら、どの車にしようか悩ましいところで国産、輸入車を含めて実は結構な車種があり、性能はもちろんデザインや使い勝手、ディーラー網など購入するにあたり検討すべき点は多い。その中でもう一つ検討しなくてはならないのが充電についてだ。

◆やはり基本となるのは自宅充電
充電器のキモとなる『200V』を全力で活用しよう

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現在の一戸建は基本的に100Vで家庭の電気を賄っているが、BEV充電には100Vでは出力が低いため長時間の充電時間となるので可能であれば200Vがあった方が良い。じつは現在の建物だと200Vに対応するように作られていることも多いという。理由としてIHコンロや大型冷蔵庫、大型エアコンなどが200V対応で作られていることが多く、それらを家庭で使うことが多くなったことで、建築時に200V対応にしている場合があるそうだ。

家で充電したい場合は200Vの引き込みや、家での充電設備を用意して配電盤の整備が必要となる。現在契約しているアンペア数で、生活とEV充電が両立できるのかなどの検討を行い、必要に応じてアンペア数や契約プランを変更した方がお得になる場合もあるので必ず各社電力プランのチェックが必要だ。

家庭用EV充電設備は200V電気を取り込み、3kWもしくは6kWの普通充電と呼ばれる機械で充電することになる。家で充電する場合は電気の契約にもよるが、家族が電気を多く使う時間帯を外して、深夜の電気料金が安い時間に充電すると良いと言われていて、そうすれば家庭の電気契約に少し料金を足す程度でEVライフを送れる可能性もある。

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自宅充電ができ、なおかつBEVの移動距離が多くない、遠くへ行かない、と言うのであればほぼ全ての移動を自宅充電で賄うこともできるし、週末に出かけることが多いであろう大型ショッピングモールでは、長い時間滞在することもあり普通充電器を多く設置している場合があるので買い物ついでに充電することも可能だろう。その際は充電スポットに車両を入れてケーブルを繋ぎ、決済手段を選択し充電を開始することになる。

◆多岐に渡る決済方法が外での充電を悩ませる

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大型ショッピングモールや、ガソリンスタンドのエネオスが展開する充電器ではセブンイレブングループのnanaco(ナナコ)やイオングループのWAON(ワオン)などで決済できる場合もある。その際は充電時間の上限時間が決まっていることが多いが、1時間あたり数百円という値段になるが充電カードを作らなくてもBEVを運用することもできるのだが、高速道路のSA/PAや公共施設、自動車ディーラーなどではこれらのnanacoやWAONといった流通系カードでは決済できない。

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ではどうするかというと各社充電器に対応した充電カードが必要になる。これはクレジットカードと紐付けし、決済はクレジットからの引き落とし、充電器で充電する際の認証時に必要なカードとなる。クレジットカード単体での認証を行うシステムが徐々に普及し始めているとはいえ現状では多くないため、この充電カードを持っていた方がスマートだし充電までの時間も短くて良いだろう。最近はアプリで決済ができるようになっているものも普及し始めているが、結局クレジットカードと紐つける必要はある。充電器との接続時の認証が充電カードなのかアプリなのかの違いだ。

そしてこの充電カードは、BEVメーカーで用意している場合と、用意していない場合がある。国産も輸入車も多くのBEVをラインナップしているメーカーでは大抵用意しており、自社のユーザーに対して優遇があるし、メーカーごとに充電料金が違う場合がある。充電カードを用意していないメーカー車両を購入した場合どうしたら良いのかといえば、e-Mobility Powerカード、おでかけCard、エコQ電カードの3種からどれかを選ぶ方がほとんどだろう。それぞれカード発行手数料が必要だったり月会費が必要だったりする。さらに急速充電器や普通充電でも、さまざまなカードにより同じ充電器なのに料金が違うことも起きる。

e-Mobility Powerは東京電力、中部電力、トヨタ、日産、ホンダ、三菱、日本政策銀行が株主となり全国に充電インフラの整備を行っている会社だ。そのため、国内の充電器のほぼ全てがe-Mobility Powerの決済ができるよう利便性を高めている。独自路線をとる新興の充電インフラ会社もあるので、その場合は違う決済方式を採用している。

そんなe-Mobility Powerが発行する充電カードは

急速・普通併用プラン:発行手数料1980円、月会費4180円、急速充電27.5円/分、普通充電3.85円/分
普通充電プラン:発行手数料1980円、月会費1540円、急速充電なし、普通充電3.85円/分

になる。

多くのBEVを発売している日産のZESP3というカードは

シンプル:事務手数料1650円、月会費1100円、急速充電99円/分、普通充電3.3円/分
プレミア100:事務手数料1650円、月会費4400円に急速充電10回(100分)普通充電(600分)を含む。急速充電44円/分、普通充電3.3円/分
プレミア200:事務手数料1650円、月会費6600円に急速充電20回(200分)普通充電(600分)を含む。急速充電38.5円/分、普通充電3.3円/分
プレミア400:事務手数料1650円、月会費1万1000円に急速充電40回(400分)普通充電(600分)を含む。急速充電33円/分、普通充電3.3円/分

になる。これだけ見ても事務手数料・発行手数料の違いや月にどれくらい充電を行うかで自分が入るプランが変わってくる。

輸入車で多くのBEVをラインナップしているメルセデスベンツではMercedes me Chargeカードを用意しており

急速・普通併用プラン:発行手数料無料、月会費5720円(1年間無料)。急速充電16.5円/分、普通充電 無料
普通充電器用:発行手数料無料、月会費3000円(1年間無料)。急速充電なし、普通充電無料

と言った具合にユーザーにとって優遇されたプランになっている。もちろんメルセデスを購入したユーザーだけが入れるプランなのは言うまでもない。

◆使い勝手を考えれば『自宅充電+α』が最適解か?

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現金決済の充電器というのはほぼ無い。以前30分500円という充電器を使ったことがある。500円を充電器の横にある投入箱に入れるとスイッチが入り、ケーブルを接続してスタートを押すと充電が開始するというもの。最初500円は高いと感じたが、自分が契約するe-Mobility Powerのカードでは1回30分あたり825円(税込)となるので、結果的に30分500円の方が安かった、というレアなケースもあるが現金決済は基本無いと思った方が良い。

ちなみに筆者が契約しているe-Mobility Powerのカードは急速・普通併用プランで、2024年12月の利用料金は月会費4180円と充電料金9912円、消費税が1281円のトータル14092円だった。1か月で13回充電を行っているが、全てが30分きっちり充電しているわけではなく、10分や20分という短時間もあれば、ホテルの普通充電に5時間25分挿して充電するといういろいろなパターンが存在している。

急速充電の場合は充電器の出力が強くても弱くても時間課金のため、最長30分充電を行った場合でも充電量に差が出る。ホテルなどの普通充電に関しては同じ電気量を流し続けるので時間が長ければ長いだけたっぷり充電されるが料金もかかる。この5時間25分という充電でもちろん満充電になっており、その日の移動に関してはその後充電を行わないで走りきれている。

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充電は時間課金なので、大容量充電器で必要な電気が充電できたのなら、充電をやめて移動しても良い。むしろそういう使い方をした方が、料金も時間も無駄にならない。ぜったい30分充電しなくてはならないということでは無いので、充電量やコストに合わせて充電を止めるのも手法の一つとなる。現状〇〇ペイやQRコード決済などは対応していないことがほとんどなので、充電カードを作るのが一番良い。作らなくても充電できる場合もあるが、ゲスト認証などは割高になったり、その場でスマホをつかって会員登録するなど手間と時間がかかる。

BEVを購入するのであれば、まずは自宅充電設備を整えて有利な電力会社を探し、日々のランニングコストや利便性を上げる事を第一に考えて、外出時の充電プランとして自分が購入するBEVメーカーにはどのような充電プランが用意されているのか、自分の行動範囲で使いやすい充電カードを調べて、頭の片隅に入れておいた方がいいだろう。

《雪岡直樹》

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