偏光サングラスでもHUDが見やすく、東レが「広幅ナノ積層フィルム」を発売

パノラマHUDデモ
パノラマHUDデモ全 3 枚

東レは18日、斜め方向からの光のみを反射する特性を持つ広幅ナノ積層フィルム「PICASUS VT」の販売を開始したと発表した。このフィルムをHUD(ヘッドアップディスプレイ)技術に適用することで、フロントガラスの広い範囲にわたって二重像のない高鮮明な表示を実現するとともに、偏光サングラス着用時にも表示がクリアに視認できる。

HUDは、運転に関連する情報をフロントガラス上に表示することで、運転中に進行方向から目線が逸れることを防ぎ、ドライバーの安全性向上に貢献する運転支援技術だ。現在は、フロントガラスのドライバー正面の一部分に、速度や交差点案内などの情報表示を行っているが、近年、マップナビゲーションや警告表示などのタイムリーな運転支援情報を、より広い範囲に鮮明に表示するための新たな投影技術の検討が進んでいる。

上:従来HUD技術、左下:パノラマHUD技術、右下:AR-HUD技術上:従来HUD技術、左下:パノラマHUD技術、右下:AR-HUD技術

東レは、独自のナノ積層技術と光学設計技術により、正面から見た際にはガラス並の透明性を備え、斜めからの光に対して選択的に反射率を制御できるPICASUS VTのHUDへの用途展開を進めてきた。このフィルムは、ガラス面で反射しないP偏光の映像を発する光源と組み合わせることで、フィルム面でのみ映像を反射し、大面積にわたり高鮮明な情報表示が可能となる。また、偏光サングラス着用時でも高い視認性を確保できる。

東レは、このフィルムに関する材料設計や製造設備・プロセス技術を深化させた結果、ほぼすべての自動車フロントガラスに適用可能な1600mm幅のフィルムロールを供給できる体制を構築した。現在、顧客評価も本格的に開始している。

二重像レスの高鮮明かつ偏光サングラスにも対応した情報表示が実現できれば、運転支援情報を少ない視点移動でドライバーへ伝達できるとともに、日差しの強い環境下でも視認性を確保できるため、運転時の安全性向上が期待できる。また、パノラマHUDにおける表示性の課題を解決することで、開放感のあるデザイン性に優れた車内空間の実現に貢献するという。

《森脇稔》

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